新年度の「配当利回り」が高い企業30社ランキング
まもなく新年度入り。インカムゲインを重視する投資スタイルなら、高配当銘柄には今から注目しておきたい(イメージ写真:ELUTAS/PIXTA)
上場企業の約7割を占める3月決算の銘柄は、3月27日に今期(2023年度)の期末配当を受け取るための権利付き最終売買日を迎える。中間配当は昨年9月末に権利確定済みということもあり、すでに投資家の関心は来期(2024年度)の配当利回りに向かいつつある。
そこで今回は、3月18日に発売された最新の『会社四季報』2024年2集(春号)の配当予想をもとに、来期の年間配当利回りが高い銘柄を先取りしてランキングした。なお、配当予想に幅がある場合は下限値の利回りで集計している。
来期の予想年間配当利回りが6.04%でトップとなったのはMS−Japan。一般事業会社の経理や財務、人事、総務など管理部門や、弁護士や公認会計士、税理士など士業を中心に、人材関連サービスを展開している。来2024年度まで配当性向100%の方針を掲げており、2月に買収した豪州の人材紹介・派遣会社の寄与などで大幅増益、増配の見通しだ。
長期的に減配しない累進配当企業も
北関東を地盤に分譲住宅事業などを手がけるケイアイスター不動産も予想利回り6%超えで、2位にランクインした。業績は今2023年度が前期に続き減益予想と軟調に推移しているが、来2024年度は在庫調整が進んで粗利率が改善し、増益に転じる見込み。これに伴い、増配の見通しとなっている。
4位の東洋建設は海上土木の大手で、任天堂創業家の資産運用会社が大株主となっている。2025年度まで配当性向100%の方針で、来2024年度は5%超の予想利回りだ。
福岡県北九州市に本社を構える鋼材や建設機材の専門商社の小野建は、予想配当利回り5.2%で5位。来2024年度は再開発や半導体工場の案件で工事請負が好調の見通しで、配当も増額となる予想となっている。
半導体や液晶の専門商社で韓国SKハイニックス社製品の取り扱いが大きいシンデン・ハイテックスも、予想配当利回りは5%超。配当性向は3割をメドで、来2024年度は今期苦戦している半導体、液晶が上向き増益となることにともない、配当水準も向上する見通しだ。
予想利回り4.93%で15位のナガセ、同4.84%で24位の安藤ハザマは、ともに「日経累進高配当指数」の構成銘柄。「累進配当」とは、長期的に減配せず増配か配当据え置きを続けることで、配当水準の安定性という点から注目が高まっている。
両社は高利回りであることに加え、過去10年間以上、実績ベースで累進配当を継続。ナガセは高校生向け受験塾「東進ハイスクール」や中学受験塾「四谷大塚」を展開。安藤ハザマは大型土木に強みを持つ準大手ゼネコンの一角だ。
『プロ500』春号では上位100社まで掲載
このように、今回取り上げた上位30社には来期に高利回り予想となっている企業が目白押し。3月18日に発売となった『会社四季報プロ500』2024年春号では上位100社までの完全版ランキングを掲載している。
もちろん、足元の予想配当利回りが高かったとしても、株価が大きく下落して配当収入を上回る売却損となってしまっては元も子もない。また、業績や財務状況が悪化すれば一転して減配や無配に転落するリスクがある。高い配当性向方針が期限付きの場合も、その後の配当水準が大きく下がる可能性がある。
1月からスタートした新NISA(少額投資非課税制度)の投資先としても人気が高まっている高配当利回りの銘柄だが、中長期の投資を考える際には特に、業績や財務状況、配当方針なども考慮して、高い配当水準を維持できる銘柄を選別することを心がけたい。
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(島 大輔 : 『会社四季報プロ500』編集長)