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静岡県の川勝平太知事の発言が「地域差別」ではないかと物議をかもしている。

報道によると、川勝知事は3月13日、磐田市のサッカー女子チームが県庁を表敬訪問した際に「磐田は文化(水準)が高いんですよね。浜松より元々高かったわけでしょ」などと発言したという。

さらに、同日の記者会見で真意を問われると「歴史的事実で市民の共通認識だ」として、浜松市を下げる意図はなく、発言の撤回をしない考えを示した。

しかし、隣り合う2つの市を比較して、片方を下げるような指摘は「地域差別」とも受け止められ、ネット上では「地域(しかも自分の県の)の分断を図る知事なんて聞いたことがない」などの声も上がっている。

県西部出身の男性は取材に「そもそも磐田と浜松の文化を比較するという発想がなく、逆に新鮮ですね。どういう根拠に基づいて言っているのか知りたいです」と語る。

「浜松出身者でも磐田というと、ジュビロくらいしか思いつかない」「浜松はあまり文化的な街ではないと思います。浜松はやっぱり工業の街、発明の街じゃないかな」とも。

人によって捉え方はさまざまありそうだが、浜松を引き合いにした「磐田は文化が高い。浜松より元々高かった」という知事の発言は、浜松市やひいては浜松市民に対する名誉毀損にあたらないのだろうか。大阪府出身の西口竜司弁護士に聞いた。

●「浜松市民」弁護士の解説

--川勝知事の発言は浜松市や浜松市民への名誉毀損になりえるでしょうか

私も大阪出身者ということもあり、浜松と磐田の違いはよくわかっていません。磐田はジュビロのイメージ、浜松は徳川家康や餃子のイメージです。

今回の発言の真意はわかりませんが、浜松市民からすれば不快な発言かと思います。

このような発言が名誉毀損にあたるかといえば、名誉毀損罪(刑法230条)の対象である「人」というのは、法人も含まれますが、浜松市民というだけでは対象にあたりません。

したがって、今回のケースでは名誉毀損罪は成立しませんし、同様に侮辱罪も成立しません。

また、民事的な責任追及についても、誰かの具体的な利益を侵害したものとはいえないので、損害賠償請求も難しいと考えます。

結局のところ、今回の発言が問われるのは「政治的な責任」ということになってきます。知事の発言を受けた浜松市民のみなさんが選挙でどのような判断を下すかということになります。

私が住んでいる関西地方では「京都と比べて大阪は…」「神戸と比べて大阪は…」なんて話題があがることがよくあります。

どこまでの発言が許されるかは悩ましいところですね。いずれにしても不快な発言は避けたいと思います。

奇しくも昨日、しょうもないギャグを言ったら「大阪人ですね」と言われました。褒められたんかな。

【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/