Photo: Courtesy of Georgia Tech

26年の歴史を誇るジョージア工科大学によるガスマン楽器コンペティション。今年の最終候補者による10の楽器が先日発表されました。

このガスマン楽器コンペティションは、非常にユニークで一見奇妙にも見えるような革新的な楽器を世界に紹介してきたことでも有名です。

さらに、その後実際に製品が商業化されたり、音楽家向けのツールとして世に出たものも多く存在します。teenage engineeringの「OP-1」やROLIの「Seaboard」、「Orba」など、その後有名になった楽器もあるのです。

今回は、後の有名な楽器になるかもしれない、あるいは音楽の未来を担うかもしれない、そんな10の楽器を紹介します。ユニークな発想とたしかなデザイニングや設計を持った楽器がたくさん登場しますよ。

Bone Conductive Instrument (BCI)

「骨伝導楽器」という名のこの「Bone Conductive Instrument(BCI)」は、難聴を持つ人々が音楽を作ったり聴いたりするためのプロジェクトとして始まりました。

一方でこれは、たしかに楽器であり、音楽の再生や演奏が可能です。BCIを自分の身体に押し当てることで、顎に当たる振動によって、サウンドを体内に送り音を聴けるとのこと。

さらに、ユーザーそれぞれの身体的特徴に合わせた反応を可能にしています。固有の触覚フィードバックシステムにより、あらゆる聴力レベルに合わせて、演奏したり再生したりできます。

The Circle Guitar

一見すると普通のギターに見える「The Circle Guitar」は、ホイールに搭載された16個の磁石によって弦を弾く楽器です。動画を見るとよくわかりますね。

ホイールの回転のリズムや弦を弾く強さなどをプログラムすることで制御が可能。また、磁石が弾いてくれるので、両手すべての指でコードを押さえられるのです。

一見すると伝統的なギターですが、革新的な方法でギターを演奏したり、鳴らした音楽を制御や編集することもできる楽器というわけです。

Sonògraf

「画像のソニフィケーション(可聴化)」をコンセプトに作られた「Sonògraf」は、画像を音声に変換する最初の機器というわけではありませんが、非常に優れた機器といえるでしょう。

まず、紙に描いた絵をカメラで撮影します。その画像の左から右へとタイムラインのように線が流れていき、描かれた絵によって音が変化していくというもの。絵を描き加えてスキャンし直したり、新たな紙に描いた絵を次のタイムラインに追加したりもできて、音のカスタマイズも可能です。

オーディオビジュアルアートを生み出すツールでもあり、リアルタイムでパフォーマンスを行なうためのコンソールにもなるという部分も素晴らしいですね。

Vocal Chords

作曲家兼プログラマーのMax Addaeが開発した「Vocal Chords」。こちらは、歌いながらその場で歌声を変調させたり、エフェクトをかけるというものです。

ストレッチセンサーを搭載した3本のゴム製の弦を操作することで、それぞれ異なるエフェクトを制御します。弦を引っ張る、伸ばす、弾く、といった動作によってエフェクトを加えていき、歌声を加工していく楽器です。

BodyMouth

「体全体が口となり、楽器となる」そんなコンセプトを持つのが「BodyMouth」です。

この楽器は、体のさまざまな部分に取り付けられたセンサーによって、それらがどのように動いているかを測定します。得られたデータを専用のソフトウェアを利用してリアルタイムでボーカルシンセサイザーの数値としてマッピングされます。

そのようにすることで、パフォーマーの体が楽器になり、踊りながら歌えるようになるのです。

動画を実際に見ると、ダンスのパフォーマンスとそれに呼応する音が相乗効果を生み出していて、新たな芸術表現の可能性を感じるものと思えます。

The Babel Table

カナダのミュージシャンであり現代アーティストのJean-Francois Laporteが開発したのが「The Babel Table」。

大小さまざまなラテックスの膜やチューブのようなものに圧縮空気を送ることで、打楽器のような鼓動音やグリッチ感のある電子音、あるいはシンセサイザーのような音を生み出します。

空気をどこにどのくらい送るかといった絶妙なコントロールで不思議な音やノイズを生み出すのです。

X.E.K.I. (eXpressive Electronic Keyboard Instrument)

「X.E.K.I.」は、伝統的なキーボードと体の動きやジェスチャーを組み合わせたような楽器です。

片手でキーボード部分を操作しつつ、下に付けられたノブを動かしたり、楽器自体を動かすことでピッチや音色が変化していきます。これにより音のパターンが非常に多くなり、ユニークな楽器となるのです。

最も不思議なトロンボーンのようなものと考えると良いかもしれませんね。

The Lorentz Violin

一瞬ミシンか何かのように見える弦楽器「The Lorentz Violin」。

ギターのピックアップと回転する磁気ディスクにより音を生み出します。ユーザーは弦がついたスライダーを調整したり、ディスクの回転速度をコントロールすることで音を変化させていきます。

内蔵スピーカーから流れる音は、シンセサイザーのようでいて、古いレコードのような有機的で奇妙な味のある音になるのです。

Thales

こちらはアイスホッケーのパックに見える「Thales」。

内部に、磁石、加速度計、ジャイロスコープ、磁気センサーが内蔵されていて、このThalesの動きを計測し、磁場を用いて音を鳴らせる楽器です。

動画の後半では実際に演奏していますが、インダストリアルっぽい音だったり、いい感じのノイズだったり面白い音が生まれています。

Yuan

「Yuan」は、タンバリンに取り付けられたセンサーによって音を生み出すという楽器です。

このセンサーは、明るさや触覚、動きを検出して音に変換します。4つのタンバリンを、触ったり動かしたり、光源に近づけたり離したりすることで音を操作し別の音が生まれていく様子は非常に興味深いです。

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