「世界で通用する小売業になる年にしたい」と抱負を語る柳井正社長。(撮影:吉川忠行)

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ユニクロを展開するファーストリテイリング<9983>は12日、東京都中央区の東京証券取引所で2006年8月期の決算説明会を行った。売上高は連結で前期比16.9%増の4488億円、経常利益は同24.8%増の731億円、当期純利益は同19.3%増の404億円と2ケタの増収増益を達成した。

 同社は理由として◆国内ユニクロ事業の新規出店による売り上げ増◆M&Aした仏子会社など連結子会社の増加――などを挙げた。国内ユニクロの売上高は、直営店の増加や既存店の売り上げ増により、前期比7.7%増の3936億円だった。

 会見の席上で、柳井正社長は、「将来性のあるブランドを展開するグローバルな企業へと脱皮する転換期にある」と、今後も積極的な海外展開やM&Aを推進していく考えを表明した。また、今期の抱負については「今年は『グローバル化元年』。世界で通用する小売業になる年にしたい」と語った。

 07年8月期の連結業績予想は、売上高は前期比19.3%増の5355億円、経常利益は同10.1%増の805億円、当期純利益は10.0%増の445億円を見込んでいる。

 同社は今後、大型店の出店を加速し、09年8月期までに累計で100店舗まで伸ばしたい考え。今期の出店目標として掲げている20店舗については、「ほぼ間違いなく達成できる」(同社担当者)と自信を見せた。また、海外事業に関しては、今期赤字だった英国・中国・韓国での来期黒字化を目指すとした。

 今決算は、昨年9月、柳井体制が復活した後迎える初めての決算。同社では、03年に玉塚元一前社長が柳井氏から経営を引き継いだが、05年8月に業績の伸び悩みなどを理由に解任。創業者の柳井正会長が「再ベンチャー化」を掲げ、再び社長に就任した。

 柳井社長は「経営を執行する面での人材はまだ不十分」と現経営体制の課題を述べ、「グローバル事業への転換期に入り、当面は権限を集中しなければ前に進まない」と今後も同社長に権限を集中させた経営を継続するとあらためて強調した。【了】

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