セルフレジで「レジ袋」2枚とっちゃった! 支払いは1枚分なのに…これって犯罪?
セルフレジが普及して、セルフレジ万引きのような新手の犯罪も発生しているが、より微妙なのは、レジ袋の持ち帰りだ。
弁護士ドットコムにも、支払いをしないまま持ち帰ってしまった人の相談が寄せられている。この人の場合、商品を登録する際に、入力を忘れてしまったそうだ。
また、東京都内の会社員Aさんは、1枚分のお金だけ払って、精算を終えた後、袋を2枚とってしまったことに気づいたが、元に戻すのが面倒だからと、そのまま持ち帰ってしまったという。
レジ袋の持ち帰りについて、どんな罪になる可能性があるのか。吉田要介弁護士に聞いた。
●窃盗罪や占有離脱物横領罪が成立する可能性
レジ袋分のお金を払わずにわざと持ち帰った場合、どんな犯罪になるのか。
「レジ袋といえど、精算せずに持ち帰ることが許されている訳ではないので、レジ袋分のお金を払わずにわざと持ち帰った場合、『他人の財物を窃取した』として、窃盗罪(刑法235条)が成立します」
登録ミスで気づかずに持ち帰った場合、罪に問われるのか。
「登録ミスで気づかずに持ち帰った場合、『他人の財物を窃取した』という認識がなく、故意がないといえるので、窃盗罪は成立しません。しかし、後に登録ミスしたことに気づいたにもかかわらず、レジ袋をお店に返還するか、その代金を支払わなかった場合は、自身の元にあるレジ袋を横領したといえ、『占有を離れた他人の物を横領した』として、占有離脱物横領罪(刑法254条)が成立する可能性があります。
なお、登録ミスに気づかなかった場合は、何の犯罪も成立しません。もっとも、民事上、レジ袋の代金債務は残りますので、店に請求された場合は、レジ袋の代金を支払う必要があります」
1枚分のお金だけ払って、2枚取ってしまったことに後で気づいたにもかかわらず、持ち帰った場合はどうなるのか。
「気づいたのが店内であれば、店外に出る前に再精算等せずに店内を出ることは許されないと思いますので、店内を出た時点で、支払っていないレジ袋について、窃盗罪が成立し、気づいたのが店外であれば、占有離脱物横領罪が成立する可能性があると思われます」
【取材協力弁護士】
吉田 要介(よしだ・ようすけ)弁護士
千葉県弁護士会所属。日弁連子どもの権利委員会事務局次長、千葉県弁護士会刑事弁護センター委員。法律を「知らないこと」で不利益を被る人を少しでも減らすべく、刑事事件、少年事件、家事事件、一般民事事件等幅広く手がけ、活動している。
事務所名:ときわ綜合法律事務所
事務所URL:http://www.tokiwa-lawoffice.com