【六川亨の視点】2023年10月7日 J2リーグ第38節 大宮アルディージャvsレノファ山口FC
J2リーグ第38節 大宮アルディージャ2(1−0)1レノファ山口FC
14:03キックオフ NACK5スタジアム大宮 入場者7,820人
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9月16日の第35節、大宮はホームで熊本に0−3と完敗した。試合後はサポーターがゴール裏に居残り、なかなか帰ろうとしなかった。やっと原崎政人監督やスタッフがサポーターとの話し合いに応じたことで納得したようだが、まだまだ予断を許さない状況に変わりはなかった。なぜなら徳島と大分とのアウェーゲームに連敗すれば、他のチームの状況次第ではあるが、第38節、残留争いを演じている山口に敗れれば降格が決定する可能性もあったからだ。
ところが14位の徳島、8位の大分に1−0と2連勝。クリーンシートでの連勝は2020年7月の松本と金沢に勝って以来の“快挙”だった。そして迎えた山口戦、「この状況ですので勝点3を取るしかない。前半はタテに速い攻撃ができた」と原崎監督が振り返ったように、15分に東洋大からのルーキー室井慧佑が貴重な先制点をゲットする。室井はこれで今シーズンは28試合に出場して4ゴールと救世主的な働きを見せている。さらに後半はアンジェロッティが意表を突いたミドルで追加点を奪った。
大宮の3連勝はもちろん今シーズン初めてで、5月17日のいわきに敗れて以来“定位置”だった最下位から暫定的ではあるが脱出して21位に浮上した(金沢は8日に試合があるため)。『6ポイントマッチ』である20位の山口に勝ったことで勝点差は6に縮まり、栃木、いわき、仙台、熊本などの背中が見えてきた。この日は静岡ダービーで清水が1−0で磐田を下したため順位が入れ替わり、さらに東京Vが大分に1−0で勝ったことで3位に浮上と上位陣にも変動があった。優勝争いはもちろん、残留争いも混沌として、目の離せないJ2リーグと言える。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。