今期・来期とも増益予想で過去10期「減配なし」に限定し、配当利回りの高い順にランキングした

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長期保有で安定して高い配当利回りが期待できる銘柄は新NISAでさらに注目されそうだ(画像:topic_da/ PIXTA)

インフレを示す指標が落ち着きをみせ、欧米で続いてきた利上げがそろそろ終わるのではとの観測から株式市場も復調の兆しを示している。中国の景気低迷懸念は強まるものの、インバウンドの急回復、生産活動の正常化など日本経済のプラス面にも光が当たる。

9月15日(金)に発売した『会社四季報』2023年4集(秋号)でも「増額」や「続伸」などの好調な見出しが目立った。

過去10期「減配なし」の企業を対象

会社四季報では毎回複数のランキング企画を用意しており、秋号では巻末にもランキング企画を掲載するなど、計6本のランキングを載せている。ここでは、その中から、NISA拡充を前に脚光を浴びる配当利回りランキングをお届けする。

純利益予想が10億円以上の会社に絞るなど新たに条件を追加したうえで、今期・来期とも増益予想で過去10期「減配なし」に限定し、配当利回りの高い順にランキングしてみた。

ランキングトップは配当利回りが5%超え

1位となったのは橋梁・建築の宮地エンジニアリンググループ。今期は中国自動車道の大規模更新工事が引き続き貢献し、九州の護岸工事用ケーソンの納入も効く。さらに民間の鉄道橋も順調で利益が急反発する見通し。8月に大幅増配を発表しており、配当利回りは5%を超えてきた。

ゲームや2.5次元舞台を展開するマーベラスが2位。ゲームが堅調のうえ、舞台の回復もあり利益が上向く見通し。安定配当を続け利回りは5%近い水準だ。

ビッグモーター問題やカルテル問題で揺れる損保業界からはSOMPOホールディングスが3位、MS&ADインシュアランスグループホールディングスが5位と大手が上位に顔を出した。いずれも今期増配を計画しており、株価下落局面でも配当利回り5%水準では押し目買いが入り下げ渋った。

ただ、下値の堅さは配当予想が維持できる前提と思われ、事態が深刻化して業績に影響が及ぶようなことになればこの前提も崩れかねないので注意が必要だろう。

代表的な割安業種だった商社からは兼松が9位に入った。ICTが好調で北米の鋼管が堅調、航空機部品も伸びて最高純益を更新する見通し。連続増配で利回りは4%を超える。

連続増配組も多数ランクイン

過去10期すべて「増配」の会社も少なくない。前述のMS&ADに続き、利回りが高かったのが7位に入った静岡地盤の不動産会社のヨシコン。業績に多少の凸凹はあるものの純利益10億円台を維持。今期は増益が予想され、増配が続きそうだ。

そのほか、17位丸井グループ、18位積水ハウス、19位三菱HCキャピタル、23位ノエビアホールディングス、35位ヒューリック、36位みずほリース、38位イエローハットなども連続増配中。増配を競うリース各社は利回りの高さも目立つところだ。

大企業で高利回り企業を探せば、時価総額10兆円のKDDIが利回り3.27%で惜しくもランク外となったが、時価総額9兆円超の三井住友フィナンシャルグループが連続増配で高利回りとなり26位、時価総額6兆円超で同じくメガバンクのみずほフィナンシャルグループも連続増配で21位にランクインしている。

長期で保有して安定的に高い利回りを享受できる、減配知らずの高配当銘柄は引き続き底堅い値動きが期待できる。業績好調でも出遅れている企業は引き続き注目だろう。

配当利回りランキングトップ50


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(山内 哲夫 : 東洋経済 記者)