驚異的なスタッツを残している三笘薫、プレミアリーグでトップの数字とは?
世界最高と呼ばれるイングランドのプレミアリーグで最もチャンスを作り出している「運び屋」は日本代表が誇る世界的ドリブラーだという。
先日のドイツ代表との親善試合でも切れ味鋭いドリブルでDFヨシュア・キミッヒを翻弄していた三笘薫(26歳)は、所属クラブのブライトンでも類稀なテクニックを披露している。今季プレミアリーグで全4試合に先発出場して第2節のウルヴァーハンプトン戦で8月の月間最優秀ゴールにノミネートされるソロゴールを決めたほか、リーグ最多タイの3アシストを記録している。ゴール関与数(得点+アシスト)では、マンチェスター・シティでゴールを量産するノルウェー代表FWアーリング・ハーランドの7回(6ゴール1アシスト)に次いでリーグ2位タイの4回という数字を残しているのだ。
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三笘薫は8月のプレミアリーグ月間最優秀選手賞にもノミネートされており、受賞すればトッテナムの韓国代表FWソン・フンミンに次いでアジア人史上2人目の快挙となる。そんな三笘薫の今シーズンの驚異的なスタッツを見ていこう。
[写真]=Getty Images
■アシスト期待値
今シーズンのプレミアリーグで180分以上(360分中)に出場している選手の中で、三笘薫は90分毎のオープンプレーからの「アシスト期待値」で堂々のリーグ1位に立っている。アシスト期待値というのはアシストの可能性を示しており、その選手のパスがどれほどゴールを生み出しそうだったかを数値化したもの。今ではお馴染みとなったゴール期待値(xG)のアシスト版だ。
データ会社『Opta』によると、今季の三笘薫はオープンプレーから90分毎に「0.47」のアシスト期待値を記録しているそうだ。フル出場すれば、およそ2試合に1回はアシストをマークする計算になり、出場時間が180分以上ある選手としては1位の数値だ。ちなみに、2位はマンチェスター・ユナイテッドの絶対的な創造主であるポルトガル代表MFブルーノ・フェルナンデスで「0.39」。そして3位はマンチェスター・シティで軽やかな足技を見せているポルトガル代表MFベルナルド・シルヴァの「0.37」となっている。
世界的な名だたるチャンスメーカーを差し置いて三笘薫は1位に君臨しているのである。もしケガもなく試合に出続け、このペースでアシストを積み重ねていけば最終的には「18アシスト」にも及ぶ。プレミアリーグの1シーズンの最多アシスト記録は、2002−03シーズンのティエリ・アンリと2019−20シーズンのケヴィン・デ・ブライネが叩き出した「20アシスト」のため、三笘薫は“オープンプレー”からだけで偉大な記録に迫る可能性があるのだ。今季は絶対的なアシスト王であるマンチェスター・シティのデ・ブライネがケガで長期離脱を強いられているため、現在アシストランクで1位タイに立っている三笘薫にとっては、個人賞を獲得する絶好のチャンスかもしれない。
■チャンスの質
やはり三笘薫と言えばドリブルだ。今季プレミアで「キーパス」と呼ばれるチャンス演出のパス本数で、三笘薫はブルーノ・フェルナンデスやブカヨ・サカ(アーセナル)と並びリーグ2位の14本をマークしている。唯一、三笘薫を上回っているのはブライトンの同僚であるドイツ代表MFパスカル・グロスで16本だ。
注目すべきは、どのようにチャンス演出のパスを生み出しているかだ。チャンスメーカーには色々なタイプがおり、アシスト王争いに絡む選手の多くがパサータイプだ。ブルーノ・フェルナンデスやデ・ブライネ、そして三笘薫と並んで今季3アシストを記録しているウェストハムのMFジェームズ・ウォード・プラウズなどは、どちらかというと一発のパスでチャンスを生み出す選手だ。さらに彼らはセットプレーのキッカーとしてもアシスト数を稼ぐことができる。
一方、三笘薫の代名詞となっているのはドリブルだ。彼の「キーパス」の半数は自らボールを運んだ後に送ったパスだ。ドリブル後に7本のキーパスはプレミアリーグで最多だという。もちろん、ラストパスを送るだけでなく、三笘薫は自らシュートまで持ち込むこともある。ボールを運んだ後のチャンス演出数(シュートかラストパス)のランキングを見ると、彼はマンチェスター・シティのイングランド代表MFフィル・フォーデンと並び11回でリーグ1位なのだ。
スター選手揃いのマンチェスター・シティにおいて、これだけ個の力でチャンスを生み出す23歳のフォーデンも凄いのだが、それでも三笘薫は別格だろう。というのも、『Opta』によるとフォーデンのドリブルは敵陣方向に前進した距離が平均で4.93メートル。どちらかというと、高い位置で貰って軽く運んでチャンスを作るといった印象だ。対して、三笘薫は平均で8.79メートルも前進している。フォーデンの倍近くボールを前方に運んでから好機を演出しているのだ!
彼の代表作と呼べるウルヴァーハンプトン戦での単独突破からのゴールに至っては、ハーフウェイラインを8メートルほど超えた左サイドのタッチライン際でパスを貰ってから、ゴール前まで走行距離50メートルのドリブルで敵の守備網を切り裂いてネットを揺らした。前進した距離に換算すると約38メートルだった!
■規格外の運び屋
無論、プレミアリーグ内に限った話ではない。データサイト『Fbref』によると、前方方向に9メートルほど進んだドリブル回数において三笘薫はプレミア最多の28回。欧州5大リーグで見ても、リヨンに所属するFWラヤン・シェルキ(29回)に次いで2位だという。敵陣ボックス内にボールを運んだ回数も、チェルシーのラヒーム・スターリング(17回)に次いで欧州2位の15回。レアル・マドリードのブラジル代表FWロドリゴ(13回)やミランのポルトガル代表FWラファエル・レオン(11回)の上に立っているのだ。
そのボックス内に運んだ回数のランキング上位10名のうち、最もトラップミス(4回)とボールロスト(1回)が少ない選手が三笘薫なのだ! だから三笘薫をサイドで孤立させて一対一を仕掛ける、“戦術ミトマ”とも呼ぶべきアイソレーションが日本代表やブライトンで可能になっているのだ。
さらにパス、ドリブル、被ファウルなどゴールを生み出したアクションでも、アスレティック・ビルバオのスペイン代表FWニコ・ウィリアムズと並んで6回で欧州5大リーグの1位に立っている。ちなみに、同ランキングで彼ら2人に次いで3位につけているのは、今季モナコで躍動している南野拓実だ!
果たして日本が誇るドリブラーは世界最高峰のリーグでどれほど数字を伸ばしていくのか? 三笘薫のドリブルとチャンスメークに注目したい。
(記事/Footmedia)
先日のドイツ代表との親善試合でも切れ味鋭いドリブルでDFヨシュア・キミッヒを翻弄していた三笘薫(26歳)は、所属クラブのブライトンでも類稀なテクニックを披露している。今季プレミアリーグで全4試合に先発出場して第2節のウルヴァーハンプトン戦で8月の月間最優秀ゴールにノミネートされるソロゴールを決めたほか、リーグ最多タイの3アシストを記録している。ゴール関与数(得点+アシスト)では、マンチェスター・シティでゴールを量産するノルウェー代表FWアーリング・ハーランドの7回(6ゴール1アシスト)に次いでリーグ2位タイの4回という数字を残しているのだ。
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三笘薫は8月のプレミアリーグ月間最優秀選手賞にもノミネートされており、受賞すればトッテナムの韓国代表FWソン・フンミンに次いでアジア人史上2人目の快挙となる。そんな三笘薫の今シーズンの驚異的なスタッツを見ていこう。
[写真]=Getty Images
■アシスト期待値
今シーズンのプレミアリーグで180分以上(360分中)に出場している選手の中で、三笘薫は90分毎のオープンプレーからの「アシスト期待値」で堂々のリーグ1位に立っている。アシスト期待値というのはアシストの可能性を示しており、その選手のパスがどれほどゴールを生み出しそうだったかを数値化したもの。今ではお馴染みとなったゴール期待値(xG)のアシスト版だ。
データ会社『Opta』によると、今季の三笘薫はオープンプレーから90分毎に「0.47」のアシスト期待値を記録しているそうだ。フル出場すれば、およそ2試合に1回はアシストをマークする計算になり、出場時間が180分以上ある選手としては1位の数値だ。ちなみに、2位はマンチェスター・ユナイテッドの絶対的な創造主であるポルトガル代表MFブルーノ・フェルナンデスで「0.39」。そして3位はマンチェスター・シティで軽やかな足技を見せているポルトガル代表MFベルナルド・シルヴァの「0.37」となっている。
世界的な名だたるチャンスメーカーを差し置いて三笘薫は1位に君臨しているのである。もしケガもなく試合に出続け、このペースでアシストを積み重ねていけば最終的には「18アシスト」にも及ぶ。プレミアリーグの1シーズンの最多アシスト記録は、2002−03シーズンのティエリ・アンリと2019−20シーズンのケヴィン・デ・ブライネが叩き出した「20アシスト」のため、三笘薫は“オープンプレー”からだけで偉大な記録に迫る可能性があるのだ。今季は絶対的なアシスト王であるマンチェスター・シティのデ・ブライネがケガで長期離脱を強いられているため、現在アシストランクで1位タイに立っている三笘薫にとっては、個人賞を獲得する絶好のチャンスかもしれない。
■チャンスの質
やはり三笘薫と言えばドリブルだ。今季プレミアで「キーパス」と呼ばれるチャンス演出のパス本数で、三笘薫はブルーノ・フェルナンデスやブカヨ・サカ(アーセナル)と並びリーグ2位の14本をマークしている。唯一、三笘薫を上回っているのはブライトンの同僚であるドイツ代表MFパスカル・グロスで16本だ。
注目すべきは、どのようにチャンス演出のパスを生み出しているかだ。チャンスメーカーには色々なタイプがおり、アシスト王争いに絡む選手の多くがパサータイプだ。ブルーノ・フェルナンデスやデ・ブライネ、そして三笘薫と並んで今季3アシストを記録しているウェストハムのMFジェームズ・ウォード・プラウズなどは、どちらかというと一発のパスでチャンスを生み出す選手だ。さらに彼らはセットプレーのキッカーとしてもアシスト数を稼ぐことができる。
一方、三笘薫の代名詞となっているのはドリブルだ。彼の「キーパス」の半数は自らボールを運んだ後に送ったパスだ。ドリブル後に7本のキーパスはプレミアリーグで最多だという。もちろん、ラストパスを送るだけでなく、三笘薫は自らシュートまで持ち込むこともある。ボールを運んだ後のチャンス演出数(シュートかラストパス)のランキングを見ると、彼はマンチェスター・シティのイングランド代表MFフィル・フォーデンと並び11回でリーグ1位なのだ。
スター選手揃いのマンチェスター・シティにおいて、これだけ個の力でチャンスを生み出す23歳のフォーデンも凄いのだが、それでも三笘薫は別格だろう。というのも、『Opta』によるとフォーデンのドリブルは敵陣方向に前進した距離が平均で4.93メートル。どちらかというと、高い位置で貰って軽く運んでチャンスを作るといった印象だ。対して、三笘薫は平均で8.79メートルも前進している。フォーデンの倍近くボールを前方に運んでから好機を演出しているのだ!
彼の代表作と呼べるウルヴァーハンプトン戦での単独突破からのゴールに至っては、ハーフウェイラインを8メートルほど超えた左サイドのタッチライン際でパスを貰ってから、ゴール前まで走行距離50メートルのドリブルで敵の守備網を切り裂いてネットを揺らした。前進した距離に換算すると約38メートルだった!
■規格外の運び屋
無論、プレミアリーグ内に限った話ではない。データサイト『Fbref』によると、前方方向に9メートルほど進んだドリブル回数において三笘薫はプレミア最多の28回。欧州5大リーグで見ても、リヨンに所属するFWラヤン・シェルキ(29回)に次いで2位だという。敵陣ボックス内にボールを運んだ回数も、チェルシーのラヒーム・スターリング(17回)に次いで欧州2位の15回。レアル・マドリードのブラジル代表FWロドリゴ(13回)やミランのポルトガル代表FWラファエル・レオン(11回)の上に立っているのだ。
そのボックス内に運んだ回数のランキング上位10名のうち、最もトラップミス(4回)とボールロスト(1回)が少ない選手が三笘薫なのだ! だから三笘薫をサイドで孤立させて一対一を仕掛ける、“戦術ミトマ”とも呼ぶべきアイソレーションが日本代表やブライトンで可能になっているのだ。
さらにパス、ドリブル、被ファウルなどゴールを生み出したアクションでも、アスレティック・ビルバオのスペイン代表FWニコ・ウィリアムズと並んで6回で欧州5大リーグの1位に立っている。ちなみに、同ランキングで彼ら2人に次いで3位につけているのは、今季モナコで躍動している南野拓実だ!
果たして日本が誇るドリブラーは世界最高峰のリーグでどれほど数字を伸ばしていくのか? 三笘薫のドリブルとチャンスメークに注目したい。
(記事/Footmedia)