2023年上半期「売れた商品TOP30」北海道東北版

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(写真:ABC/ PIXTA)

2023年上半期「売れた商品ランキング」全国版、関東版、近畿版、中部版に続いて、今回は北海道・東北のランキングを紹介する。全国のスーパー、コンビニ、ドラッグストアなど、約6000店舗の販売動向を追っている「インテージSRI+」のデータを基に作成した。

ここでは、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島の東北に北海道を加えた7道県を「北海道・東北」とした。全国との違いを確認するため、「全国差」として北海道・東北版の値から全国版の値を差し引いた値も出している。

「北海道・東北」で何が売れたのか

売り上げが伸びた商品ランキング1位の検査薬は、前年比175.1%(全国差−63.3ポイント)、2019年比260.3%(全国差−128.8ポイント)と全国と比べて伸び幅が限られている。コロナ感染が他の地域ほどは拡大しなかったことや、国から承認された医療用・一般用の抗原検査キットを取り扱う店舗の割合が他の地域よりも少なかったことなどが要因と推察される。

7位のビタミンB1剤は前年比132.2%(全国差−19.6ポイント)と全国ほど伸びておらず、強心剤にいたっては前年比108.9%(全国差−67.2ポイント)とランクインしなかった。北海道ではインバウンド需要の寄与が見られたものの、北海道・東北全体ではインバウンド需要関連の商品は伸び悩んだようだ。

5位の総合感冒薬で前年比137.7%(全国差−9.9ポイント)、9位の口腔用薬で前年比129.2%(全国差−12.1ポイント)と感染症治療薬の伸びが弱かったことからも、コロナ感染やインバウンド需要が比較的落ち着いていたと見て取れる。

一方、14位のミネラルウォーター類は前年比119.5%(全国差+3.1ポイント)、2019年比157.6%(全国差+12.7ポイント)と大きく伸長。とりわけ東北にて2019年比の伸びが見られている。足元では、500ml程度の大きさのペットボトル飲料の販売が伸びており、低価格帯のプライベートブランド商品の寄与が見られた。東北の一部地域で顕著な気温上昇が観測されており、外出中の水分補給の需要が高まったことがミネラルウォーター類の需要拡大につながったと考えられる。

全国と比較した菓子類の伸びについては、大小が入り交じっている。20位のキャンディでは伸びが小さく、27位の煎餅・あられでは伸びが大きい。北海道・東北は少子高齢化が進んでいる地域とされている。キャンディ市場を牽引しているのは若年層に人気のグミであるのに対し、煎餅・あられの購入者は高齢層が中心だ。少子高齢化という人口動態が菓子類の好不調に影響したのかもしれない。

「売り上げが落ちた」商品は?

続いて、販売金額が落ちたもののランキングを確認したい。

1位の体温計は、前年比・2019年比ともに全国よりも減少が大きく、コロナの感染が他の地域よりも弱かったためと考えられる。ところが、同じ感染対策の商品である4位のマスクは2019年比231.8%(全国差+14.8%)と他の地域よりも大きく伸長した。

とりわけ伸長したのが北海道で、春花粉の飛散時期である2月から4月にかけて顕著な伸びが見られた。北海道は春花粉の飛散が他の地域よりも少なく、マスクの市場規模がコロナ前は限られていたため、コロナ禍の販売増が強くあらわれたようだ。



(木地 利光 : 市場アナリスト)