今回は「ゴディバ カフェ」をご紹介します(筆者撮影)

喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。

そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第37回となる今回、訪れたのは「ゴディバ カフェ」です。

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ひそかに飲食チェーンがしのぎを削っているジャンル、それがモーニングです。集客の弱い時間帯である午前中の売り上げを強化すべく、朝の数時間だけ提供される限定メニューの数々は、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。

今回ご紹介するのは、高級チョコレートの代名詞「ゴディバ」のモーニングセット。2023年4月より「ゴディバ カフェ」の一部店舗にて、販売を開始した新メニューです。

ベルギーワッフルのモーニングセットが税込630円、クレープのモーニングセットが税込730円と、朝限定メニューならではの、お得な内容となっていました。

ゴディバの新業態ゴディバ カフェは2020年にスタート


ゴディバ カフェは駅チカを中心に10店舗を展開(筆者撮影)

ゴディバの日本事業は、2019年に投資ファンドMBKパートナーズに売却されて以降、新業態を次々と発表しています。攻めの一手、イケイケという印象です。

2020年に「ゴディバ カフェ(GODIVA café)」を開店したのを皮切りに、2022年には、ショッピングモール内でクレープを販売する「GODIVA dessert(ゴディバ デザート)」、2023年には、駅構内で手土産にぴったりなワッフルやプリンを販売する「GODIVA GO!(ゴディバ ゴー)」をオープンしています。

数日前の8月4日には、有楽町駅の目の前に「GODIVA Bakery(ゴディバ ベーカリー)ゴディパン本店」がオープンしたばかり。

今回ご紹介する「ゴディバ カフェ」は、2023年8月現在、関東にある駅直結の商業施設を中心に出店し、10店舗を展開しています。「モーニングセット」の取り扱いがあるのは、半数ほどのようです。

ゴディバ カフェのモーニングメニューは2種類


(筆者撮影)


(筆者撮影)

「ゴディバ カフェ」のモーニングメニューは2種類です。販売時間はオープンから午前11時までとなっています。

・モーニングセットA ベルギーワッフル チョコレートムース添え 税込630円
・モーニングセットB オレンジチョコレートクレープ 税込730円

上記どちらかのデザートプレートに、ドリンクがセットになっています(サイズ展開がある商品はレギュラーサイズで提供)。

・コーヒー(ホット/アイス) Rサイズ単品税込390円
・カフェラテ(ホット/アイス) 税込530円
・Gショコラ(ホット/アイス) 税込390円
・紅茶(ホット) 税込460円
・紅茶(アイス) Rサイズ単品税込420円
・ハーブブレンドティー カカオベリー(ホット) 税込480円
・ハーブブレンドティー カカオミント(ホット) 税込480円

ちなみに「Gショコラ」は、チョコレートドリンクです。Gはゴディバの頭文字だそうで、同名で固形チョコレートも販売していますが、それとは全く違う商品です。

ドリンクを単品購入した場合、価格は税込390円から530円になるので、一番高い「カフェラテ」を注文した場合、ベルギーワッフルは実質100円、クレープは実質200円ということになります。つまりはお得です。

ゴディバのベルギーワッフルモーニングセット630円


ゴディバ カフェモーニングセットA ベルギーワッフル チョコレートムース添え630円(筆者撮影)

「モーニングセットA ベルギーワッフル チョコレートムース添え」は、お皿の上にワッフルとディッシャーですくったまんまるいチョコクリームがのっています。チョコクリームは、ココアパウダーでおめかし。思わず写真に撮って、インスタグラムにアップしたくなるようなかわいい朝ごはんです。

アイスの「Gショコラ」をセットにしたのですが、さすがのゴディバ。うっとりとするような、芳醇かつ上品な香りが口の中に広がります。


サイズは小さめながら、厚みがあってバターの良い香りがするワッフルです(筆者撮影)

「ゴディバ」は、ワッフルが主力商品の売店「ゴディバ ゴー」をオープンしているほどなので、味もハズレなし。表面はパールシュガーでカリッとした歯触り、中はもっちりふわっな食感でした。

チョコクリームは柔らかく濃厚でしっとり。とにかくチョコの高級感がすごい。甘さ控えめではあるものの、けっこう甘いのですが、安いチョコレートにはない、独特の旨味と苦味と相まって、味の深みが底なし沼のようです。


ふわふわほろにがチョコクリームは、贅沢な大人の味わい(筆者撮影)

ワッフルは軽く温めてあるので、上にチョコクリームをのせると、熱でじんわりとクリームが溶けていくのですが、ワッフルの表面にチョコクリームが染みたところが、なんともおいしく、ほっぺたが落ちそうになります。

女性向けのスイーツを褒める際に、乙女心とか、女子力とかそういう言葉での訴求をよくみかけますが、ゴディバのチョコクリームはさらにワンランク上の、大人のいい女の味がしました。

ゴディバのオレンジチョコレートクレープモーニングセット730円


ゴディバ カフェモーニングセットB オレンジチョコレートクレープ730円(筆者撮影)

「モーニングセットB オレンジチョコレートクレープ」は、オレンジがのったクレープにチョコクリームを包み込み、果肉入りのオレンジソースとチョコソースがトッピングしてあります。

セットドリンクはホットコーヒーをセレクト。コーヒーの煎り具合は、深すぎず浅すぎず。チョコレートとの相性を考えた、飲みやすい癖のない味でした。


ホットコーヒーの紙コップにまでこだわりが詰まっています(筆者撮影)

紙コップで出てくるのですが、「ゴディバ カフェ」のイメージカラー、落ち着いたブルーグレーの発色も美しいうえに、表面にエンボスで模様も入っていて、紙コップなのにラグジュアリーでプレミア感があって、さすがの一言。


繊細なデコレーションにうっとり。味はもちろんのこと見た目も大切(筆者撮影)

クレープは、高級ホテルのパティスリーで出てくるような、単品注文で1000円とか2000円してもおかしくないような美しいビジュアルで、食べる前から心が踊ります。

クレープ生地は薄くてカリカリではなく、厚めでもちもちしたタイプでした。中にはチョコレートクリームがたっぷり入っています。ワッフルと同じクリームで、甘さと苦さと旨味が三位一体となった深い味わいは、オレンジとの相性抜群です。


チョコのコクとオレンジのすっぱさは相性抜群です(筆者撮影)

オレンジは缶詰のものではなく、フレッシュオレンジでした。店員さんに確認したところ、冷凍のものを使用しているそうです。シロップ漬けにはない、爽やかなすっぱさがたまりません。

食べればわかる、決して安くはないであろう原材料費と、この美しいデコレーションにかかる手間を考えると、税込730円という価格設定は本当に安いと思います。

ゴディバ カフェの「ファン化力」がすごかった

「ゴディバ カフェ」を訪れて、まず驚いたのはその安さです。ホットコーヒーSサイズの単品価格が税込350円。「スターバックス」や「タリーズ」などの、カフェチェーンと同じぐらいの価格設定になっているのです。


看板メニューのGショコラも、税込390円とお手頃価格(筆者撮影)

こういうことを書くと必ず「安くない、コーヒーが350円は高い」とおっしゃる方もおられるのですが、「ゴディバ カフェ」は、10店舗中9店舗が、駅構内もしくは隣接する商業施設内にあり、提供されているメニューの味も当然ながら「ゴディバ」に恥じないクオリティなのです。

つまりは「ゴディバの味と雰囲気を、最高の立地で安価に楽しめるなんて最高」ってやつです。少なくとも私は、こんなに安くて申し訳ないぐらいだと思いました。


全てがリーズナブルという訳ではなく、ケーキは1000円超えのものも(筆者撮影)

私が訪れたのは、巨大ターミナル駅の地下街にある商業施設だったのですが、カフェチェーンと同じように、カウンターでセルフオーダーするシステムではあるのですが、入店しただけでリッチな気分になれる店づくりが徹底されています。

安さと高級感が高度にミックス

「ゴディバ」というブランドが持つ高級志向は、カフェでも健在です。広々とした店内は、ブルーグレーを基調としたシックで落ち着いた内装で、ベルベット張りのベンチソファ席や、包み込むようなデザインのハイバックシングルソファなど、大手カフェチェーンの店舗ではおよそ出会えそうにない、趣向を凝らしたリッチなインテリア。

50席ほどの店内は、テーブル席、カウンター席、シングルソファ席など、さまざまな人数での来店とシチュエーションに対応できるレイアウトで、ゆったりとスペースを設けて客席が配置されています。

座るとそれだけでホッとできて、ゆっくりと、美しいモーニングを食べていると、慌ただしい朝の駅ナカというのを一瞬忘れそうになります。


店内にはオリジナルデザインの自販機も設置されていました(筆者撮影)

一度利用すれば、「ゴディバ」そのものの好感度が爆上がりする。「ゴディバ カフェ」は、そんな魅力に溢れています。「ゴディバは高いから、めったに買わない」というお財布の紐締めまくり屋の私が、「今度贈答品が必要な際は、ゴディバで買おう」と、思ってしまうほどファンになったのでした。

人通りが多いターミナル駅にある、煌びやかだけどシックで美しい店舗は、前を通るだけで「ゴディバ」のブランド力を発信するプロモーションツールとしても有効でしょう。そして、恐る恐る入ってみると、そのお得さに驚き、商品力の高さを再確認し、贈呈品としての利用を考える……。

利用客たちを虜にする優秀なファン化促進ツールとしても優秀だなと感じつつ、「ゴディバ」のマーケティング力に震え上がった朝でした。

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。


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(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)