「こんなときどんな服を着ればいいかわからない」のあるあるなお悩みに合わせたアイテムやコーディネートを、30〜40代の今を生きる3人の個性豊かな女性の日常とともに紹介していきます。第24回は「白リネンシャツ」の着まわし。1枚でも羽織りとしても使えるし、見た目にも涼しげ。でもシワが寄りやすく、くたびれて見えるデメリットも。1日着ていてもきちんと見えるコツを、ベーシック好きなミキの着こなしで紹介します。

中に着る服とパンツの色をリンクさせきちんと見せて

●7/13 木曜日 AM10:23。カフェで転職活動

ミキ:貴重なひとりきりの平日。転職の情報を調べたくて、隣町まで30分車を走らせ、気になっていたオシャレなカフェに来た。新しいことをはじめるときは、はじめての場所で緊張感をもつと姿勢を正してシャキッとできる。

真面目な気分をあと押ししてくれるシャツ×クロップドパンツスタイルに、赤い靴で気分を上げて。シャツの下が透けるから、ニュアンスベージュのタンクトップを仕込んだ。パンツと色のトーンを揃えたらおしゃれさが増したし、きちんと見えた。

「子どもたちも自立してきているし、私もまたいつでもフルタイムで働けるなとは考えてるんだよ」と夫に話してから3か月が経った。あのときは場の流れで言った部分もあったけど、あれから将来のことを考える時間が増えた。考えていることは口に出してみると輪郭が浮き彫りになる。自分で思っていた以上に、フルタイムの仕事に復帰したかったんだ。社員で働くなら1歳でも若いうちに転職活動した方がいいに決まっている。将来を考え直すには、まだ間に合うのかな。

転職サイトを見てびっくりした。リモートワークで働ける仕事がたくさんある。時短勤務OKな仕事もいっぱいある。正社員なのに週4OK? わぁ。私が会社を辞めた13年前から時代は変わったんだ。週3のパート勤務の私が、いきなりフルタイムに変わってバリバリ働いて家事と両立…って、体力的な不安があったけれど、なんだか希望がもてる!

と思ったのも束の間、やっぱりリモートワークOKでお給料のいい仕事はIT関連ばっかり。13年間、ろくにPCも触らない生活だった私が条件に当てはまるわけもなく、時代に取り残された人間になっていることに焦りと悲しみが湧いた。40歳の私は一体、どんなことならできるんだろう。最近仕事復帰したママ友に連絡してみようかな。

「私は簿記2級取ったから経理の求人を探して今の会社に採用してもらったよ〜。他のママ友は調剤薬局事務の資格取って薬局勤務したりとか、宅建取って不動産売買してすっごい稼いでたりとか、介護福祉士の資格取って訪問介護の仕事したりとか、社労士の資格とって開業した子とかもいるよー。まず資格じゃない?」

13年前の社会知識で止まっている私がすぐ仕事にありつけるほど甘くはなかった。一瞬でも希望を抱いた私が愚か者だった。資格かぁ。そもそも私、なにがしたいんだろうな。まずはそこから考えなくちゃいけない。

でも、こうやって自分だけのことに向き合える時間は、なんだか新鮮で、ぜいたくで、すごく楽しい。

中のカラータンクを主役に質素に見えないように

●7/16 日曜日 夫と2人でランチ

ミキ:夫と2人でランチに出かけた。じりじりと焼かれるような暑さの日は、腕を露出するよりも長袖のシャツで肌を覆った方が暑さから身を護れる。日焼け対策にも冷房の寒さ対策にもなるし、今日みたいに羽織りにすれば暑いときは脱いだらいい。水色のタンクトップをインして夏らしい清涼感を意識。色のメリハリがあるとコーディネート全体にもメリハリが出て、リネンのクタッと感が気にならなくなる。スカートを合わせて女性らしさと涼しさもプラスした。

「なにか資格を取ろうと思って」と夫に相談。「無理して働かなくていいよ」と言われたけど、そうじゃなくてこれは自分の人生のためということ、自分のことに向き合うことが楽しくなっていることを話したら「前向きな理由なら、それは応援する」と言ってくれた。

簿記? 宅建? 調剤薬局事務? 介護福祉士? 社労士? どんな資格があれば今の時代を乗りきれるのかもわからないとこぼしたら「時代がどうとかじゃなくて、やりたいことじゃないと続かないでしょ。あと、ミキは自分が興味ない勉強は苦手なんだから」と痛いところをつかれた。「人と接する仕事の方が好きなんじゃないの?」

ケーキ屋でのパートもそろそろ7年になる。ひたすら同じ仕事の繰り返しだったけど、お客さんと接するのが楽しかったから続けてこられた。しかもケーキ屋というものは、多くの人がだれかのためを思って買いに来る。ケーキが並ぶショーケースの前で、だれかのためを想いながらどれにするかを選ぶ、お客さんの真剣な顔を見るのが好きだった。

もつべきものは夫。私のことをよくわかってくれてる。だれかのためになる仕事がいいな。介護福祉士かな。それかヨガインストラクターとかもいいかな? 「いずれにせよ勉強するなら時間が必要でしょ。パートやめたら? ぜいたくはさせてあげられないけど、ミキが欲しいものを買うくらいのお金は一応俺にだってありますから」

私、家庭をもってよかったな。未来の応援をしてくれるのは両親だけだと思ってた。こうして夫が将来のことをサポートしてくれるって、すごく幸せ。

これから先、私だって夫のためのサポートができる人でいたい。ずっと一緒に生きていくためにも、私の人生、新しく切り開いていかなくちゃ。

 

●今回のキーアイテム:白リネンシャツ

涼しく着られるリネンだから、夏でも長袖が着たい人におすすめのアイテム。今回のミキはダボっとしたオーバーサイズを選んでカジュアルに着こなしていますが、コンパクトに着るトレンドも戻ってきているので、きれいめ派の人はジャストサイズを選んで同じような着こなしをするのもよいでしょう。合わせるものを選ばないので、オンでもオフでも便利です。

【今回の主人公は…ベーシックな服装が得意の“ミキ”】

40歳のミキ。専業主婦。夫、中1の息子、小四の娘、義母と生活中。近所のケーキ屋さんで週3パート勤務。158cm、標準体型。やさしげなオーラがあり誰からも親しまれるがそれが裏目に出て舐められることも。どんな場にも対応できるベーシックな服装が得意。地味になりがちなことが悩み。