『Rakuten最強プラン』(楽天モバイルのプレスリリースより)

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「すべての日本国民に、最強の携帯電話料金プランを提供したい!」。楽天モバイルの三木谷浩史会長が発表会見で高らかに宣言した「Rakuten最強プラン」。

2023年6月1日に提供が始まったが、スマホユーザーの間での人気はいかほどか――。モバイル市場専門の調査会社「MMD研究所」(東京都港区)が2023年6月21日、「Rakuten最強プランに関する調査」を発表した。

野球で言えば、ホームラン級の新料金プラン、それとも三遊間ヒット、あるいは空振り三振? ユーザーたちの評価は――。

東京23区、名古屋市、大阪市でもつながりやすくなる

楽天モバイルは、自社回線の整備ができていないエリアをパートナー回線であるKDDIから借りて補ってきた。これまでパートナー回線は月5GBの制限があったが、今年6月1日に発表した「Rakuten最強プラン」では、金額に変更がないままデータ容量を無制限で利用できるようになった。

また、同時にKDDI回線とのローミング(通信網を利用できるサービス)協定にも大きな変更があった。これまで対象外だった東京23区、名古屋市、大阪市がエリアに追加されたのだ。大都市でもつながりにくいとされたのが楽天モバイルの弱点だったが、通信品質の向上が期待されるわけだ。

なお、5月末までに楽天モバイルに契約した人は「Rakuten最強プラン」に自動移行されるため、各自でプラン変更をする必要はない。

さて、MMD研究所の調査は、18歳〜69歳の男女2万5000人が対象だ。まず、「Rakuten最強プラン」を知っているかと聞くと、「内容まで理解している」と回答した人は11.2%だった。

これを、楽天モバイルメイン利用者と他社メイン利用者でみると、楽天モバイルメイン利用者は52.2%、他社メイン利用者は8.0%が「内容まで理解している」と答えた。「言葉は聞いたことがあるが、内容はよく知らない」まで含めると、楽天モバイルメイン利用者の約9割(89.1%)は、少なくても名前は聞いたことがあるわけだ【図表1】。

楽天モバイルメイン利用者(1750人)を対象に、「今後も楽天モバイルを利用するかどうか」を聞くと、「継続利用意向がある」が77.1%、「他社乗り換え意向がある」が20.6%、「解約意向がある」が2.3%となった【図表2】。引き続き、「Rakuten最強プラン」を利用したいという人が8割近くに達した。

「最強プラン」の人気理由、「安い」「ポイント貯まる」...

次に、2023年5月以前に契約した楽天モバイルメイン利用者(1729人)を対象に、「Rakuten最強プラン」が導入される前に感じていた不満を聞くと(複数回答可)、「通信が途切れることがある」(30.0%)が最も多かった。次いで「通信速度が遅い」(20.4%)、「Rakuten Linkの音質がよくない」(19.6%)、「楽天モバイル回線につながりにくい」(16.5%)と続いた【図表3】。

つまるところ、通信回線の質の問題を挙げる声が多かった。ただし、「特に不満は感じなかった」(44.8%)という人が半数弱おり、回答者の中で最多だった。

他社の利用者は、「Rakuten最強プラン」をどう思っているのだろうか。他社メイン利用者の中で、具体的な乗り換え検討先がある3843人を対象に、「どのサービスに乗り換えたいか」と聞くと(複数回答可)、「楽天モバイル」(30.7%)が最も多く、次いで「ahamo」(28.0%)、「MVNO(格安スマホ)」(25.4%)、「UQ mobile」(20.9%)、「Y!mobile」(20.6%)、「povo」(15.9%)と続いた【図表4】。

ユーザーはいったいどういう理由で、「Rakuten最強プラン」を継続して利用したい、あるいは乗り換えたいと考えているのだろうか――。

そうしたユーザー2307人を対象に、その理由を聞くと(複数回答可)、「料金が安い」(57.1%)が最も多かった。次いで「ポイントを貯めている」(37.4%)、「楽天のほかのサービスを使っている(28.3%)、「プラン内容がわかりやすい」(19.1%)、「Rakuten Linkで通話料金をかけずに通話できる」(18.0%)と続いた【図表5】。

最後に、他社から「Rakuten最強プラン」への乗り換えを検討している913人を対象に、「Rakuten最強プラン」の発表が乗り換え意向に影響があったかを聞くと、「発表を受けて楽天モバイルに乗り換えたくなった」が42.3%、「発表前から乗り換え予定だった」が25.6%となった【図表6】。発表のインパクトは強かったようだ。

20GBでは、ライバルの「ahamo」「povo」「LINMO」より割安

ところで、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンク3社の寡占状態が続く携帯電話業界にあって、楽天モバイルは「アンチ大手3社」のヒーローとして固定ファンが少なくない。

「Rakuten最強プラン」はその名の通り、同社会長の三木谷浩史氏が「すべての日本国民に最強のプランを提供したい!」と発表会見で満を持して打ち出したプランだ。

それだけに、今回の調査結果は「Rakuten最強プラン」がユーザーたちにどう評価されたと言えるのか。野球で言えば、ホームランか、2〜3塁打か、ヒット? それとも空振り三振?

J-CAST 会社ウォッチでは、調査を行なったMMD研究所の担当者に聞いた。

――楽天モバイルメイン利用者で、最強プランの「継続利用度意向あり」が77%、「他社乗り換え意向がある」が20%。これをどう評価しますか?

担当者「(リリースへの記載はないが、)楽天モバイル以外を使っている方の他のサービスへの乗り換え意向は24.2%となっております。通信サービスの競争が激化する中で、どのサービスのユーザーも一定数乗り換え意向がある方が含まれることがわかります。そのなかで、楽天モバイルの他サービス乗り換え意向が20.6%という結果は、他のサービスよりも少し低く、楽天モバイルが他社に比べて流出を抑えていることが分かります。また、他社を現在利用している乗り換え意向者のうち、30.7%が楽天モバイルへの乗り換えを検討していることも踏まえると、楽天モバイルメイン利用者からの流出は他社からの流入で穴をあけずに済むとも考えられます」

――となると、「ヒット」であることは間違いなさそうですね。「Rakuten最強プラン」を利用したいという理由のトップは「料金が安い」、2位「ポイントを貯めている」などなど。楽天モバイルらしいといえば、らしいのですが、これをどう評価しますか?

担当者「楽天モバイルの強みとしている部分が、消費者にも評価された結果かと考えております。キャリアのサブブランドの20GBと比べてみると、『ahamo』は20GBで2970円、『povo』は2700円、『LINMO』は2728円(いずれも税込み)となっており、『Rakuten最強プラン』の2178円と比べると割高なため、『料金が安い』のがトップにくるのはうなずけます。ポイントに関しては、現在最も利用されているポイントが楽天ポイントであることや、楽天モバイルを利用した時のSPUのポイント倍率が高いことなどが楽天サービスユーザーに評価されていることがわかります」

「私も『mineo』から乗り換えてもいいかも」?!

――他社から楽天モバイルへの乗り換え意向者の42%が新プラン発表を受けて乗り換えを検討したとあります。やはり、三木谷会長の発表のインパクトが大きかったのですか。

担当者「料金は従来のままの新プラン発表にも関わらず、4割に影響があったのは、『パートナー回線無制限利用可能』という部分のインパクトが大きかったことが考えられます。これまで楽天モバイルの通信速度や通信制限、回線へのつながりにくさなどに不安を感じていた方が、今回の発表で不安が払しょくされ、検討しはじめたことが考えられます。一方、『発表に関係なく契約を考えていたのは25%』という部分ですが、やはり昨今の物価高を受け、より安く大容量を使えるサービスを求めている方が一定数いることがわかります。特に、Y!mobile、UQmobileユーザーの楽天モバイルへの乗り換え検討割合が高いことがわかっています。いったん大手キャリアからサブブランドに乗り換え、安い価格でも利用できることに安心し、より安い価格帯を求め乗り換え先を探していることが伺えます」

――なるほど。となると、長打クラスと言ってよさそうですね。

担当者「私は現在、20GBは『Rakuten最強プラン』と同じ金額の『mineo』(マイネオ)を使っていているのですが、『Rakuten最強プラン』に乗り換えてもいいかも、と思っています。楽天市場を利用する際、楽天モバイル契約していれば、SPUの倍率がもっとあがるのに、と思うことがよくあるので、パートナー回線利用制限がなくなったこの機会に乗り換えようかな、と考えています」

――じゃあ、ホームランかもしれないですね。

調査は2023年6月8日〜6月12日に18歳〜69歳の男女2万5000人にインターネットを通じてアンケートを行なった。(福田和郎)