コロナ禍もようやく落ち着きました。今年のゴールデンウイークは久し振りに旅行やレジャーでたくさんお金を使い、早くも夏のボーナスを心待ちにしている人も多いのではないでしょうか? 今回は待ち遠しい夏のボーナスを取り上げていきます。

1.2023年夏のボーナスはいつ頃支給される?

賞与は給与とは別に支給される特別なお金です。一般的には年2回に分けて支給する会社が多いですが、年1回、年3回という会社もあります。そもそも給与と違って法律で支給が義務付けられているわけではありませんので、支給しない会社もあります。

呼び方も「夏季(期末)手当」、「賞与」、「ボーナス」、「決算手当」など会社によって異なりますし、支給時期も会社によって違います。支給月は、民間企業の場合は夏のボーナスは6月下旬から7月上旬くらいに支給する会社が一般的です。なお、公務員の夏のボーナス支給日は6月30日と法律で決められています。

2.今年入社したばかりの新入社員も支給されるの?

今年入社したばかりの新入社員の方は、自分達も夏のボーナスがもらえるのか気になるところですね。実は、夏のボーナスの算定期間は、一般的に前年10月~3月となっています。新入社員の方はまだその時期は入社していないので、制度上は支給の対象外です。

とは言え、がっかりするのは早いです。2022年度の産労総合研究所の調べでは、 新入社員に対して「何らかの夏季賞与を支給する」と回答した企業は全体の約8割。また、実際の夏季賞与・一時金の平均支給額は、大学卒で89,334円、高校卒で73,848円でした。昨年よりも景気が回復していることから考えると、今年の支給も期待できそうです。

もちろん金額は多くはないかもしれませんが、「給与とは別に支給される臨時の収入」と考えれば嬉しいですね。しっかり計画を立てて使いたいものです。

3.ボーナスから控除されるお金は?

ボーナスも給料と同じく、額面通りにもらえるわけではありません。健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、40歳以上の方はさらに健康保険料に介護保険料が加わった金額が控除されます。住民税が控除されない、というのはせめてもの救いですね。なお、年4回以上に分けて支給されるボーナスは給与に含めて計算するため、社会保険料の控除額は給与に合算して計算されます。

また、ボーナスの額が、健康保険では年度(4月1日から翌年3月31日まで)の累計で573万円を超えたとき、厚生年金保険では1回当たりの金額が150万円を超えたときは、それぞれ超えた分については保険料がかかりません。

控除額は、項目ごとに計算方法が異なります。

健康保険料

ボーナスの額の1,000円未満を切り捨てた額×健康保険料率

健康保険料率は、健康保険組合では組合ごとに違い、協会けんぽでは都道府県によって保険料率が異なります。東京都の場合10%(令和5年4月から適用)、労使折半なので実質従業員負担は5%です。

介護保険料

ボーナスの額の1,000円未満を切り捨てた額×介護保険料率

健康保険の被保険者のうち、40歳以上64歳以下の人について控除されます。協会けんぽの保険料率は全国一律で1.82%(令和5年3月分から適用)、労使折半ですから実質従業員負担は0.91%です。健康保険組合では組合ごとに料率は異なります。

厚生年金保険料

ボーナスの額の1,000円未満を切り捨てた額×厚生年金保険料率

厚生年金保険料の保険料率は全国一律18.30%(一般・坑内員・船員の場合。また厚生年金基金に加入している人を除く)。こちらも労使折半なので従業員の負担は9.15%です。

雇用保険料

ボーナスの税引き前の総支給額×雇用保険料率

コロナの影響で雇用保険料率は上昇傾向にあり、令和5年4月からは従業員負担分は一般業種で0.6%と、令和4年4月時点の0.3%から比べると倍になっています。

所得税

(ボーナスの金額-社会保険料)×税率(算出率)

給与の所得税計算とは少し異なり、原則、「前月の社会保険料等控除後の給与額」を「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて、ボーナスだけの税率を使います。例えば、「前月の社会保険料等控除後の給与額」が300,000円、扶養親族等の数が1人であれば、税率(算出率)は、6.126%です。

介護保険料を含めると社会保険料でも15%以上も控除されてしまうので、手取りは思ったよりも少ないでしょう。また、昨年度よりも健康保険料・介護保険料・雇用保険料が上がっているので、仮に昨年の夏のボーナスと同じ額だったとしても手取りは減る、という点は要注意ですね。

4.2022年の夏のボーナス支給額はいくらだった?

2022年度の夏のボーナスを支給した事業所の1人あたりの平均額は38万9,331円で、前年の夏と比べて2.4%増加しました。増加は2年ぶり。コロナ禍からの回復でようやく大企業を中心にボーナスの支給額も戻ってきた、というところでしょう。

ただし、やはり会社規模や業種によってボーナスの支給実績に差があるのが現状です。

出典:厚生労働省「毎月勤労統計」

従業員が多く会社の規模が大きいほどボーナス支給額が多くなる傾向で、30人未満の企業では、令和3年と比較して支給額が減少してしまっています。

出典:厚生労働省「毎月勤労統計」 (事業所規模5人以上)

業種によっても随分支給平均額が違いますね。コロナ禍で特に影響が大きかった「鉱業、採石業等」「飲食サービス業等」「生活関連サービス等」「運輸業、郵便業」といった業種で、ボーナスの支給額が大幅に増えていることからも、徐々に経済も回復しつつあることがわかります。自分の勤務先の業種をチェックして参考にしてみてください。

ちなみに、ここでの「労働者1人平均賞与額」は事業所で賞与を受けていない労働者も含めた全常用労働者が対象なので、賞与の支給を受けた人の実感としては、平均額は思ったよりも少ない、と感じるかもしれません。

5.2023年夏のボーナスは支給増が期待!?

昨年度の夏のボーナス支給額を確認したところで、今年の夏のボーナスは増えそうかどうかが、気になるところです。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の経済レポートによると、「コロナ禍の影響が一段と和らいだことに加え、良好な企業業績と雇用情勢により、2023年夏の民間企業(調 査産業計 ・事業所規模5人以上)のボーナスは、前年比+2.8% と2年連続で高めの伸びが見込まれる」とのことです。もちろんボーナスは個々企業や個人の業績などによって最終的には決まるので、実際に支給されてみないとわかりませんが期待できそうですね。

最後に、昨年の「夏のボーナスの使い道アンケート結果」をご紹介します。

【1位】貯金・預金……34.8%
【2位】旅行(宿泊を伴うもの)……7.8%
【3位】食品(ふだん食べるもの)……6.4%

出典:「第53回 Ponta消費意識調査 2022年6月発表」(株式会社ロイヤリティ マーケティング)

以下、外食、財形貯蓄、衣服、ローンや借入の返済などでした。ボーナスはしっかり貯める、というのが一般的なようですね。「もうすでに夏のボーナスの使い道が決まっている」という人もいるかもしれませんが、あなたは何に使いますか?