iPhoneやMacBookを自分で修理できるApple公式サービスが更新され「修理後のAppleへの連絡」が不要に
Apple製デバイスを自分で修理できる「Self Service Repair」の内容が2023年6月20日に更新されました。今回の更新では修理可能デバイスが追加された他、「修理完了後のAppleへの連絡」が不要になり自分で修理を完結できるようになっています。
Apple expands Self Service Repair and updates System Configuration process - Apple
「Self Service Repair」はAppleが2022年4月に開始した修理プログラムで、ユーザーはAppleから修理用部品を購入したり修理マニュアルを受け取ったりして自分でデバイスを修理できます。2022年4月のサービス開始当初は修理可能デバイスは「iPhone 12シリーズ」「iPhone 13シリーズ」「iPhone SE(第3世代)」に限られていましたが、2022年8月には「M1搭載MacBook Air」と「M1搭載MacBook Pro」が修理可能デバイスに加わり、自分で修理できる製品が増えつつありました。
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新たに、Appleは「iPhone 14シリーズ」「M2搭載MacBook Air」「M2搭載MacBook Pro」を修理可能デバイスに加えることを発表しました。加えて、修理完了後に必須な「System Configuration」がユーザー自身で実行できるようになることも発表されています。
「System Configuration」は修理完了後に「Apple純正製品の認証」「ファームウェアの更新」「Touch IDやFace IDのセキュリティ認証」などを行う操作で、これまでは修理完了後にAppleに連絡して実行してもらう必要がありました。今回の変更により「System Configuration」を自身の手で実行できるようになったため、ユーザーはAppleへの連絡不要で修理後のデバイスを使い始められます。
記事作成時点では、「Self Service Repair」はアメリカ、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランド、スペイン、スウェーデン、イギリスで利用可能ですが、日本はサービス対象外です。また、Appleは他の地域へのサービス拡大時期を明らかにしていません。
なお、近年はデバイスをユーザー自身の手で修理する「修理する権利」の確立を目指す動きが活発化しており、Apple以外の大手ハードウェアメーカーもユーザー向けの修理部品提供を始めています。例えば、GoogleはiFixitと提携してPixelシリーズ用の修理用部品の販売を2022年に開始しています。また、MicrosoftもSurfaceシリーズ向けの修理用部品を2023年6月から公式オンラインストアで販売しています。
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一方で、自動車業界では「ユーザーによる修理を認めるためにシステムへのアクセスを可能にすると、命に関わる重大な問題が発生する」とも懸念されており、修理する権利と安全確保の両立が課題となっています。
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