アップルの新製品「Apple Vision Pro」、他社のゴーグル型デバイスと何が違う?
米アップルが発表した新型「MacBook Air」や、ゴーグル型ヘッドマウントディスプレー「Apple Vision Pro」に対して、株価の反応は芳しくなかった。iPhoneに続く世界的ヒットになるかは不透明だ、と見る投資家が多かったからだろう。しかしながら、ティム・クックCEO は、Vision Proによって「空間コンピューティング」という新しい世界を開拓すると宣言した。アップルが目指すデジタル技術とは。そこに日本企業が関わる余地はあるのか。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)
「Apple Vision Pro」発表もアップル株下落のワケ
6月5日、米アップルは年次の開発者会議(WWDC23)を開催した。同社は新型の「MacBook Air」などに加え、ゴーグル型ヘッドマウントディスプレー(HMD)の「Apple Vision Pro」(Vision Pro)も発表した。同日の米株式市場では、アップルの株価は上昇したものの、上昇を維持できず引けにかけて売られた。終値は、前営業日対比約0.8%安だった。
今回の株価下落の要因の一つは、Vision ProがiPhoneに続く世界的なヒットを実現するのかは不透明だ、と見る投資家が多かったことだろう。また、アップルが、生成AI(人工知能)などの新しい発表を行わなかったことも、株価の上値を抑えたとみられる。
今後、アップルは、いつでも、どこでも、安心、快適にネット空間に接続できる技術の確立を目指すだろう。常に、ネットとリアルな世界がつながり相互に作用しあう。それが、Vision Pro発表時にティム・クックCEOが提唱した、「空間コンピューティング」の基本的なコンセプトといえる。
そのコンセプト実現のため、わが国企業の製造技術の重要性は一段と高まるだろう。空間コンピューティングの分野で、日本企業が新しい製品を実用化し、より多くの収益を手にすることも期待できるかもしれない。まさに、新しい収益分野の開拓に取り組むべきチャンスを迎えているともいえる。