画面付きイヤホン「JBL TOUR PRO 2」をSwitchで使ったらこんなことが便利だった
2023年3月に発売された斬新な完全ワイヤレスイヤホン「JBL TOUR PRO 2」を購入してじっくりと使ってみました。同製品には、イヤホンを収納する充電ケースにカラーディスプレイが備わっているのが大きな特徴です。
このメリットは、スマートフォンでアプリを開かなくても、ケースからイコライザなどの設定を変更できること。また、Nintendo Switchのような家庭用ゲーム機と接続する際にも便利でした。
⬛︎「JBL Tour Pro 2」とは
JBL TOUR PRO 2は、JBLが2023年3月10日に発売したハイエンド帯の完全ワイヤレスイヤホン。充電ケースに1.45インチのカラータッチディスプレイが搭載されています。公式オンラインストアでの価格は3万3000円。ANC(アクティブノイズキャンセリング)をはじめ、2台のデバイスに同時接続可能な「マルチポイント」もサポートするなど、機能は充実しています。
▲JBL TOUR PRO 2。最大40時間のワイヤレス再生が可能。充電ケースはQi規格のワイヤレス充電にも対応する。なお、2020年に発売された前世代モデル「JBL CLUB PRO+ TWS」と比べると、30%サイズダウンしているなど、抜本的にデザインが刷新されている
⬛︎ケースから行えた14の操作
JBL TOUR PRO 2をスマートフォンと接続する際には、iOS/Androidを問わず「JBL Headphones」アプリを介して行います。
▲(左)「JBL Headphones」アプリからは多彩な設定操作が可能。(右)ただし、デバイスと接続できていない状態では、設定画面が表示されない
スマートフォンアプリから利用できる設定・カスタマイズの方が、項目数は多いのですが、日常利用において頻繁に使う操作は、イヤホンケースからの操作で十分という印象を受けました。アプリのことは一旦置いておき、ここではケースからの操作について、解説します。
▲誤動作防止にロック画面がある。スライドして解除
ケースのディスプレイは通常はロックされているので、まず右スワイプでロック解除します。すると機能がの画面が表示され、左右スワイプ操作で14の機能の画面を切り替えて表示できます(※イヤホン本体のソフトウェアバージョン5.5.0、ケースのソフトウェアバージョン1.5.5の場合)。
▲この画面のアイコンは左から順に、ANC(環境音が聞こえなくなる)、アンビエントサウンド(周りの音が聞こえるようになる)、トークスルー(自分の声を含めた会話を聞こえやすくなる)。タップしてモードを選択する
ケースで操作できることはさまざま。筆者が今回のレビューで確認したのは、
(1)再生コントロール
(2)音量調整
(3)ANCなどのモード切り替え
(4)イコライザーの切り替え
(5)タイマー
(6)空間オーディオのモード切り替え
(7)画面の明るさ調整
(8)壁紙変更
(9)通話中の自分の声の大きさ(ボイスアウェア)
(10)自動再生・停止機能のオン・オフ
(11)スマホの通知連携のオン・オフ
(12)イヤホン本体の捜索機能
(13)懐中電灯機能
(14)移動中の睡眠などにつかえる「SilentNow」
の14個。なお、SilentNowなどの一部機能については、スマートフォンのアプリ「JBL Headphones」から「機能のショートカット」として追加しておく必要があります。
▲「スマートケースの設定」→「機能のショートカット」を選択すると、ケース画面に表示する機能を選択できる(画面は全てオンにしている状態)
項目が多すぎて、正直いきなり全部を使いこなすのは無理ですね。ちなみに、ファームウェアのアップデートによって、利用できる機能が今後さらに追加される可能性もあるでしょう。
⬛︎ケースの画面のメリットは主に3つある
言ってしまえば、上記のような設定操作は、スマートフォンのアプリからでも行えます。さらに、ANCの切り替えなどは、イヤホン本体のタッチセンサーからでも行えます。では、ディスプレイ付きケースのメリットは何になるのでしょうか?
筆者視点で感じたメリットは、主に3つありました。1つ目は、ユーザーの操作工程が短くなることです。
▲音量は、最大「16」まで数値で調整
例えば、電車でイヤホンを装着して設定を変更するまでの手順で考えてみましょう。スマートフォンからの操作では、(1)イヤホンケースを開いて、(2)本体を耳につけ、(3)スマートフォンのロックを解除し、(4)「JBL Headphone」アプリを探して起動し、(5)アプリが起動するのを待ち、(6)機器が接続されるのを確認し、(7)デバイスを設定項目の階層を深く潜り、(8)ようやく機能のスイッチオン・オフを変更できます。設定している間に1駅くらい進みそうです。
しかし、ケースの画面から直接設定を操作できると、(1)イヤホンケースを開いて、(2)本体を耳につけ、(3)その流れでケースの画面ロックを解除し、(4)スワイプで画面を切り替え、(5)変更する--となります。3工程くらいカットできています。実際に、筆者の体感としてもケースから操作することがほとんどです。
▲「サポート」→「製品について」の欄で確認。イヤホンとケースのそれぞれのソフトウェアのバージョン・更新の有無がここでわかる
2つ目は、上述したようにファームウェアアップデートによって、ケースから利用できる機能を追加できること。さらに、ケースに表示させる機能をある程度は絞り込めます。
3つ目は、スマートフォン以外の機器に接続した場合にも、イヤホンの設定を素早く変更できることです。例えば、家庭用ゲーム機に接続した時に、ANCをオンにして、さらに空間オーディオをゲームに最適化したモードに切り替えるといった操作が可能になります。
⬛︎Nintendo Switchとペアリングして使ってみた
代表的な家庭用ゲーム機ということで、今回はNintendo Switchに接続して使ってみました(※ちなみに、Nintendo Switchは、発売当初はBluetoothオーディオ非対応だったのですが、2021年秋のアップデート(13.0.0〜)でワイヤレスイヤホンなども使えるようになりました)。
▲Nintendo Switchのホーム画面から「設定」→「Bluetoothオーディオ」と画面を進め、「登録する」を選択。デバイスの検索画面が開くので、そこに表示されたオーディオ機器を選択しよう
ちなみに、筆者は、製品開封後にまず「JBL TOUR PRO 2」をiPhoneとペアリングさせていたので、Nintendo Switchとの接続は、2台目のデバイスとなりました。
JBL TOUR PRO 2をペアリングモードに切り替えるには、右のイヤホンを「トン・トーーーーーン」という感じで2回タップして、2度目のタップをした指を、そのまま5秒間離さずにいましょう(※登録後の再接続にも同様の操作が必要でした)。
JBL TOUR PRO 2をゲーム機で使っていて便利に感じたケースでの操作は、
(2)音量調整
(3)ANCなどのモード切り替え
(4)イコライザーの切り替え
(6)空間オーディオのモード切り替え
の4つでした。
▲例えば「さっきまでスマートフォンで音楽を聴いていて、ゲーム機に接続を切り替えたからモードをゲーム用に切り替える」「シーンがムービーに変わったからモードを切り替える」といった操作を、ケースのディスプレイからサクッと行える。ちなみに、日常使いをしていると、この写真で見えるくらいの指紋はディスプレイに付く
なかでも、空間オーディオの切り替えには、ゲーム用のモードが用意されています。例えば、楽曲用のモードと比べると、ゲーム用を選択した場合にはアンビエンスが強めにかかり、反響音が増した印象になります。
ゲーム用の音響を選択した状態で、例えば、オープンワールドの某有名タイトル(そろそろ続編の発売で話題の…)のラスボス登場シーンでは、ビームが四方八方に発射されるシーンで、音もぐわんぐわんと動き回ります。映像とともに動き回るサウンドには、映画館にいるような迫力を感じました(ただし、ワイヤレスならではの遅延はあるので、ガードジャ○トのタイミングを音で見極めるような操作は無理です)。
一方で、残響が強すぎるなと感じる場面では、あえて楽曲用のモードを選んだ方がスッキリします。例えば、2DアクションやRPGなどを遊ぶときには、筆者としては楽曲用のモードを選択した方が好みでした。3Dアクションでも、シーンによっては、楽曲用にした方がしつこくなくていいと思うこともありました。
* * *
本稿ではあまり触れませんでしたが、JBL TOUR PRO 2の音質はハイエンド帯らしいクオリティで筆者の感覚ではかなり満足できるものでした。
普段、Apple Musicで楽曲を聴く機会が多く、低音域を多めで聴きたいので常にイコライザをBASSにして使っています。が、もちろん用途によっては切り替えられるので、好みやシーンが異なっても、問題なく活躍するでしょう。ANCの精度も高く、地下鉄でも全く問題なく楽曲を聴けて、満足できるレベルでした。電池持ちもかなり良い印象です。
これらを鑑みても、使い勝手や総合力という点で、スマートフォンのメーカー純正品と張り合える実力を秘めていると思います。例えば、iPhoneユーザーがもし「AirPods Proはちょっと…」と言うのであれば、「じゃあ予算があればJBL TOUR PRO 2試してみれば」と推薦したくなるくらい。
一見ガジェット感の強いアイテムのようにも見えますが、決してそうではありません。自腹購入して使ってみたことで、サードパーティ製の完全ワイヤレスイヤホンとしては、このスタイルが高いポテンシャルを秘めているということを実感しました。
<取材・文/井上 晃>
井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter
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