売れる要素てんこ盛り!スバルのクロスオーバーSUV「クロストレック」の完成度の高さ
SUBARUが2022年12月1日に“発表”した「スバル・クロストレック」に、23年4月に乗ることができました。
従来日本では「XV」と呼ばれていたモデルの3代目。海外と国内、名称を統一して今回は「クロストレック」と呼ばれるようになりました。
■ “いかにも”の雰囲気を醸すクロスオーバーSUV
▲都会からアウトドアシーンまで幅広く活用出来る多用途性を実現したクロスオーバーSUVと謳われる
▲バンパーやフェンダーまわりのクラディングやルーフレールがインプレッサとの差別化
全長4480mmのボディと、2670mmのホイールベース。基本プラットフォームは、23年4月20日に発表された新型「スバル・インプレッサ」と共用です。
ただし、昨今はSUVというかクロスオーバー的な車型の人気が高く、「デザイン開発はクロストレックからやりました」と、SUBARUのザイン部の井上恭嗣さんは教えてくれました。
▲右がオフショアブルーメタリック、左がオアシスブルー
4ドアでハッチゲートをそなえたボディは、基本的に共通ですが、クロストレックは、黒い合成樹脂製のクラディングをバンパーやフェンダーまわりに使って、いかにもの雰囲気をだしています。
最低地上高をクロストレックと新型インプレッサで比較すると、インプレッサが135mm(「e-BOXER」)であるのに対して、クロストレックは200mm。
全高を見ても、インプレッサは1450から1515mmで、クロストレックは1575mmです。フェンダーのクラディングでリフトアップしているように見えますが、立体駐車場に入れられます。
▲11.6インチモニターのインフォテイメントシステムは「Limited」に標準、「Touring」にオプション
▲大学医学部と構造を研究したというシートで、座り心地はいいし、ファブリックは滑りにくくて好感度大
▲後席は大人2名でも空間的余裕がたっぷり
■パワートレイン「e-BOXER」が提供するひとクラス上の走り
▲スポーティな走りを支援してくれる「e-アクティブシフトコントロール」搭載
クロストレックのパワートレインは「e-BOXER」1本。2リッター水平対向4気筒エンジンに、発進や急加速のとき働く小型モーターを組み合わせたマイルドハイブリッドです。
走りは、かなりいい感じです。ひと言でいうと、スムーズ。かつ、乗り心地も静粛性も上がって、最低でもひとクラスは上に上がった印象です。
先述のとおり、モーターが手伝ってくれてストレスなく、すーっとクルマが発進。リニアトロニックとSUBARUが呼ぶ無段変速機も、遅れなく速度を上げていってくれます。
ボディをはじめ足まわりなどの剛性を見直したことで、操縦性が上がっているのも、走りだしてすぐ分かります。ステアリングホイール操作への車体の追従性は高く、街中でも楽しく走れました。
▲USB端子(タイプAとタイプC)それに音声入力端子もそなえる(写真のモデルはオプションのシートヒーター装備)
▲インフォテイメントシステムではモニターで4つのカメラによる車両周辺画像をみることが可能
2ピニオン式という電動パワーステアリングから、ボディ骨格に使う構造用接着剤の塗布面積を増やしたこと、さらにパワートレイン部のよじれ剛性まで、広範囲に手を入れた成果だそうです。
私は、房総半島の、高速道路と一般道(くねくね道あり)をAWD車で走りました。高速では「騒音と振動の抑制を徹底的に見直しました」というSUBARUの技術者の言葉どおり。快適なのです。
「SI(エスアイ)-DRIVE」というスバル車独自のトルクコントロール機構に加えて「e-アクティブシフトコントロール」が搭載されています。
「S(スポーツ)モード」を選んでいるとき、アクセルペダルやブレーキペダルの操作をクルマがみていて、スポーティに走りたいと判断したばあい、エンジン回転数を高めに維持してくれます。
自分でパドルを使ってマニュアルでエンジン回転数をコントロールもできますが、体験してみると、「e-アクティブシフトコントロール」に頼ったほうが、いい感じの加速感が得られました。
■クロストレックはかなり完成度の高いモデル
クロストレックは、スバル車のなかでも売れ線になるのは間違いない、と思わせる商品です。価格は前輪駆動「Touring」の266万2000円から、AWD「Limited」の328万9000円まで。
「Touring」に対して「Limited」は、装備が豊富な仕様。インフォテイメントシステム、デジタルマルチビューモニター、前席電動調節機能、225/55R18オールシーズンタイヤ(Touringは225/60R17)などが標準装備です。
結論としては、この価格で、この内容。かなり完成度の高いモデルに仕上がったと思います。クルマ好きなら一度試してみてもいい、と私は思いました。
▲荷室は後席使用時で315リッターの容量(後席バックレストは分割可倒式)
▲より広くより遠くを謳う「アイサイト」標準装備
【Specifications】
Subaru Crosstrek AWD
全長×全幅×全高:4480x1800x1575mm
ホイールベース:2670mm
車重:1550kg
エンジン:1995cc 水平対向4気筒+電気モーター(マイルドハイブリッド)
駆動:全輪駆動
最高出力:107kW@6000rpm
最大トルク:188Nm@4000rpm(+65Nmモーター)
変速機:無段変速(マニュアルモード付き)
燃費:16.4km@l(WLTC)
価格:288万2000円〜
>> スバル「クロストレック」
<文/小川フミオ>
オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中
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