新卒で就職したことをきっかけとして、1人暮らしを始める人も多いのではないでしょうか。なかには、1人暮らしをする物件の家賃や、今後必要となる生活費がわからず、不安な人もいるかもしれません。

そこでこの記事では、新卒1人暮らしの適正家賃について、初任給の平均や生活費の平均から解説します。

新卒でもらえる初任給の平均

Job総研2022年 初任給実態調査によると、2022年の新入社員の初任給平均額は23万6,000円でした。一番多かったのは21万円で17.5%、次いで24万円が14.0%、23万円が12.3%、22万円が11.4%です。また、初任給からの実際の手取平均額は19.7万円でした。

初任給が振り込まれる時期として一番多いのは4月後半で88.6%、5月前半が6.1%、5月後半が5.3%でした。つまり入社後1~2ヶ月分の生活費は貯蓄や親の援助で賄わなければならないでしょう。

1人暮らしの支出額の平均

2022年総務省統計局による家計調査によると、勤労している単身世帯34歳以下の平均支出額は次のとおりです。

対象が34歳以下であるため新卒の人よりも支出額は多い可能性がありますが、支出額の合計は1ヶ月あたり平均16万919円でした。そのなかで住居にかかる費用は3万6,380円です。

新卒1人暮らしの理想の家賃

家賃として理想的な額は、給与の手取り額の4分の1から3分の1ほどです。手取りとは、給与から源泉徴収される、所得税や社会保険料を差し引いた額のことをいいます。ちなみに、住民税は前年度の所得額に応じて決められるため、新卒の会社員の場合は住民税の支払いはまだ発生しません。

手取り額別の理想の家賃は次の表のとおりです。

新卒で1人暮らしの物件を決めるときは上記の表を参考にしてみてください。たとえば、手取り17万円だとしたら4万2,500円から5万7,000円の範囲で物件を探すとよいでしょう。

1人暮らしを始めるときにかかる初期費用

1人暮らしを始めるときにかかる費用は家賃だけではありません。ここでは、家賃以外にかかる初期費用について解説します。

敷金・礼金・仲介手数料・前家賃など
物件を契約するときには、基本的に敷金、礼金、前家賃を大家さんに支払います。それとは別に、物件の仲介を依頼した不動産業者には仲介手数料を支払います。前家賃は必ず発生するものではありませんが、契約時に前家賃として先に1ヶ月分の家賃を請求されるケースがほとんどです。

敷金、礼金の相場は家賃1~2ヶ月分ですが、物件によっては3ヶ月分以上請求されることもあります。ただ、敷金は物件の原状回復のためにあらかじめ請求される費用であるため、傷や汚れをつけずにきれいな状態で退去すれば、一部が戻ってくる可能性はあります。

そのほか、鍵交換にかかる費用、火災保険料などがかかることが一般的です。

家具や家電
家具や家電がついていない物件に住むなら、自分ですべてそろえなければなりません。一度に家具や家電を購入するのは負担が大きいかもしれませんが、新たに1人暮らしをする人向けにセットでお得に購入できるサービスもあります。

物件によっては、ガスコンロやエアコンがあらかじめ設置してあるところもあります。そういった物件を選べば自分で用意するものが減るため、初期費用の節約になるでしょう。

日用品
新たに生活を始めるためには、日用品もすべて用意しなければなりません。ティッシュやトイレットペーパーなどの紙物、タオルなどをそろえていきましょう。

自炊をする予定であれば、鍋やフライパンなどの台所用品も必要です。自炊をする予定がなくても、最低限お皿、コップ、カトラリー類は用意しておくことをおすすめします。

日用品は住んでいくにつれ必要なもの、必要ではないものがわかってくることもあります。まずは必要最低限のものだけ購入し、あとは暮らしながら必要に応じて買い足していく方法でもよいでしょう。

1人暮らしの物件を決めるときのポイント

新卒で初めて1人暮らしをするときに、物件の決め方がわからないという人も多くいます。ここでは、1人暮らしの物件を決めるポイントについて解説します。

事前に相場を調べておく
不動産会社に相談に行く前に、住みたい地域の家賃の相場を調べておきましょう。そうしておくことで、実際に紹介された物件の家賃が適正かどうか判断しやすくなります。相場よりも大幅に家賃が低い物件には、騒音や近隣問題などがあるかもしれません。逆に、特筆すべき理由がないにもかかわらず相場よりも高い物件は、交渉次第で相場まで家賃を下げてもらえる可能性もあります。

物件情報サイトなどを利用して、駅からの距離、間取り、広さ、築年数によってどのくらいの家賃になるのか調査してみましょう。

必ず内見をする
物件情報に詳細な写真が掲載されていると、だいたいの雰囲気がつかめたので内見なしで契約してしまう、という人もいますが、写真と実際の印象が異なることはよくあります。物件の写真は広く見えるように明るく広角に撮影されていることが一般的です。

そのため、実際に見に行ってみると日当たりが悪く薄暗い、圧迫感があり狭く感じる、といったことが起こり得ます。また、周辺住民の雰囲気や騒音がどの程度あるのかを調べるためには現地に行くことが一番です。現地調査、周辺環境の確認も兼ねて、物件まで足を運び内見するようにしてください。

家賃だけで選ばない
新卒の場合、これから家賃を支払っていけるのかどうか不安に思う人も多いでしょう。そのため、家賃が予算以下であることを最重要視して物件を探す人もいます。

しかし、安いには安いなりの理由があることが多く、家賃の安さだけで物件を選んでしまうと、住みづらさを感じて短期間で引っ越しをしたくなるかもしれません。その場合には、引っ越し費用に加え、再度敷金・礼金、仲介手数料が発生してしまうため、金銭的にもムダになります。

家賃だけではなく、自分にとって本当に住みやすい物件なのかどうか、よく考慮して選んだほうがよいでしょう。

条件には優先順位をつける
物件を選ぶときには、さまざまな希望や条件を設定することも大事ですが、すべて自分の希望どおりである物件を見つけることはかなり難しいでしょう。新卒の場合、4月から住み始めなければならないため、物件決めにはリミットがあります。希望する物件の条件には順位をつけ、どうしても譲れない条件以外は譲歩することをおすすめします。

ただ、駅からの距離があまりに遠い物件に住むと、毎日の通勤に疲れ果ててしまうかもしれません。新生活は慣れないことも多く、心身ともに疲れやすくなります。長く住むことを前提に、慎重に考えてみてください。

まとめ

1人暮らしの理想の家賃の額は、手取りの4分の1から3分の1程度です。新卒の平均給与(額面23万6,000円、手取り19万7,000円程度)から考えると、4万5,000円から6万円ほどになるでしょう。

新生活は引っ越しや家具・家電の購入などで、大きなお金が出ていきます。さらに家賃も毎月支払っていかなければなりません。物件に求める条件をよく吟味し、無理なく家賃を支払える物件を選ぶようにしてください。

物件を決めるときは写真だけだとわからないことが多いため、実際に内見することをおすすめします。