子宮頸がん検診の流れを女医が解説 はじめての検査でも楽に受けるためのコツ

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頭では「がん検診」の必要性を理解していても、実際に受けるのは億劫だと感じる人は多いのではないでしょうか。とくに若い女性にとっては、婦人科の検診となるとハードルが高いかもしれません。今回は「子宮頸がん検診の検査の流れ」などについて、婦人科医の土屋先生(土屋産婦人科 院長)にMedical DOC編集部が伺いました。

子宮頸がんとは? どんな人がなりやすい?

編集部

まず、子宮頸がんについて教えてください。

土屋先生

簡単に言えば、子宮から腟へと細長く突き出たような部分を子宮頸部と言うのですが、その子宮頸部にできるがんのことです。発症の頻度はとても多く、子宮がんのうち、およそ7割が子宮頸がんです。

編集部

若い人にとても多いと聞きました。

土屋先生

そうですね。とくに最近は20~30代の若い女性の患者さんが増えてきています。また、年間約1万人の女性が子宮頸がんを発症し、約3000人が亡くなっているという報告もあります。

編集部

子宮頸がんの原因はなんでしょうか?

土屋先生

「HPV(ヒトパピローマウイルス)」の感染が主な原因であると考えられています。子宮頸がん罹患者のほとんどがHPVに感染しており、ごく稀な例外ケースを除くと、HPVの感染が子宮頸がんの原因であると言っていいでしょう。

編集部

HPVについて、もう少し解説をお願いします。

土屋先生

HPVは、皮膚や粘膜に感染するウイルスで、100以上の種類が存在します。このうち、子宮頸がんの患者さんから多く検出されているのが「高リスク型HPV」と呼ばれる15種類のウイルスです。

子宮頸がん検診の流れを産婦人科医が解説 検査は何分で何をする? 痛みはある?

編集部

子宮頸がん検診の必要性について教えてください。

土屋先生

子宮頸がんは早期に発見して治療すれば治るがんです。初期であれば子宮を残す手術が可能なので、妊娠、出産も可能です。そして、早期発見のためには、定期的な子宮頸がん検診が必要になってきます。

編集部

子宮頸がん検診は、どのような流れでおこなわれるのですか?

土屋先生

問診をした後に、視診・細胞診・内診をおこないます。検査全体を通しても、一般的な検査時間は10分ほどです。視診では、クスコと呼ばれる機械で子宮の入り口にびらんがないかを調べます。さらに、頸部の細胞診をおこなった後、内診では左手の指を腟の中に入れて、右手でお腹を押して子宮や卵巣の大きさを確認します。何らかの所見が見つかった場合には、超音波検査に進むこともありますが、子宮頚がん検診の項目には含まれていないので、別途費用がかかる場合が多いと思います。

編集部

細胞診とはなんですか?

土屋先生

細胞診では、医師が子宮頸部から、専用のヘラやブラシなどで細胞をこすり取って、細胞診の専門家が顕微鏡で調べます。細胞診で痛みを感じる人はほとんどいません。器具を入れるときに違和感を覚える人もいる一方、全くなんともない人もいるため、個人差はあるようです。細胞を採取する際に擦れるような感覚があるかもしれませんが、基本的に痛みはないでしょう。検査後、多少出血することもありますが、大きな心配はいりません。

子宮頸がん検診を受けるうえで知っておきたい知識 検診は何歳から何年おきに受けるべき?

編集部

子宮頸がん検診を受ければ、子宮頸がんかどうかがわかるのですか?

土屋先生

結果としては「異常なし」のほか、軽度・中度・高度・異形成があり、この場合は子宮頸がんに進行する「疑いがある」ということで精密検査が必要となります。ただし、「要精密検査」と書かれていても、「要精密検査=がん」ではありませんので、怖がらず、速やかに、子宮頸がんの精密検査が実施できる医療機関を受診しましょう。また、稀ではありますが、検診で「子宮頸がん」という結果が出ることもあります。そういった場合も、速やかに子宮頸がんの治療をしてくれる医療機関を受診してください。「精密検査不要」という結果が出たとしても、定期的に検診を受けることをおすすめします。

編集部

子宮頸がん検診は、何歳くらいから受けたらいいですか?

土屋先生

子宮頸がん検診は、20歳から、2年に1回定期的に受診することが推奨されています。しかし、これはあくまで「最低でも2年に1回」と捉えていただきたいです。また、個人的には1年に1回は受けた方がいいと思っていますし、それ以外にも例えば性交渉のパートナーが変わった際には、検診を受けるのをおすすめします。子宮頸がんの初期は自覚症状がなく、気づかないうちに進行していることもありますので、症状がなくても検診は受けましょう。

編集部

子宮頸がん検診の費用はどのくらいかかりますか? 入院の必要はありますか?

土屋先生

地域や自治体によって異なるので、お住まいの子宮頸がん検診の費用を調べてみてください。当院がある東京都練馬区の場合は、補助を使うと700円で受けることができます。なお、補助は2年に1回しか使えないので、それ以外に受けるときは自己負担での受診となります。ただし、その際も何らかの症状があれば医療保険が適用されるので、例えば当院だと、3割負担で初診料880円と子宮頸がん検診960円の合計1840円で受診することができます。なお、子宮頸がんの検査は日帰りでできるので、入院は不要です。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

土屋先生

2013年から8年の間、予防のためのHPVワクチンの積極的な接種推奨が差し控えられていたという背景もあり、若くても子宮頸がんに罹患(りかん)する女性が増えています。その一方、諸外国と比較すると日本の子宮頸がん検診の受診率は、まだまだ低いという現状があります。先述したとおり。がんの前段階、またはがんの初期に発見することができれば、子宮を温存した治療が可能です。婦人科に抵抗がある女性も多いとは思いますが、検査時間もかからず、痛みもありませんので、ぜひ定期的に検診を受けていただきたいと思います。加えて、現在はワクチンも「接種勧奨」となりましたので、併せてご検討いただきたいです。

編集部まとめ

今回は、「子宮頸がん」と「子宮頸がん検診」について解説していただきました。子宮頸がんは、原因がはっきりしており、早期に発見することで治療可能ながんです。HPVワクチンも、以前とは違って現在は「接種勧奨」となっているので、子宮頸がんにならないためにも接種を検討したいですね。

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