ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから1年です。広島でも被爆者らが停戦を訴えました。

14歳のときに被爆した森下弘さん(92)。ウクライナとロシアを訪れたことがあり、終わらない戦闘に心を痛めています。

森下 弘さん「1年も経ってまだ続いているということが1番心配。支援疲れというか忘れてしまわないように(ウクライナ支援を)ずっと継続していくことが大切」

森下さんがウクライナを訪問した時の映像には、チョルノービリ原発事故で強制退去させられた人たちと一緒に踊る姿がありました。

森下 弘さん「もうあれから20年くらい経つ。みんな良い市民になり家族・子どもがあり、そういう人たちが今の戦争のために犠牲になったり苦難を強いられたり、そういう人たちのことを常に心を痛めている」

戦闘が長期化しウクライナの日常が戻る見通しは立ちません。森下さんは5月のG7広島サミットで国際社会の力により戦闘を止められるよう願っています。

森下 弘さん「広島・長崎のような核による悲惨な状況、核を使用されるということを絶対止めてほしい。核が増強される戦争が続いている。それでも皆の意志で止めることができるという希望を託したい」

県内7つの被爆者団体はロシアのプーチン大統領が「戦争を継続する意思を表明したことは大変遺憾」だとして侵攻の即時停止と撤退を求めました。

県被団協 箕牧智之理事長「広島の被爆者は1日も早くこの戦いに終止符を打たれることを願っています」

県被団協 佐久間邦彦理事長「武器よりも軍事よりもやはり外交だ。話し合いである」

広島市の松井市長はロシアがアメリカとの核軍縮条約「新START」の履行停止を表明したことをうけ、核戦力の拡大に懸念を示しました。

松井一実市長「核兵器をめぐり対立するロシアや中国に対しても被爆者が望む核のない世界という理想を追求してもらいたい」

またウクライナの中高生の声も届いています。生徒らはロシアの侵攻前から交流がある広島市の大学のイベントにオンラインで参加し、一時的に国外へ非難したことや今の心情を訴えました。

ウクライナの高校生「あした何が起こるか、どうなるかというのが分からないという気持ちは一生忘れられない。きょうだけを生きるということをしなければならない」

ウクライナの現状を知ってもらおうと広島文化学園大学が開催しているイベントにはウクライナの中高生およそ20人がオンラインで参加しました。

生徒らはこの1年、一時的に国外に避難しても文化の違いで過ごしにくかったことなどを伝えました。生徒の学校は去年3月爆撃によって崩壊するなどしていて今も警報が鳴れば防空壕に入る生活を余儀なくされています。

ウクライナの高校生「もう大きい音にも防空壕に入ることも慣れてしまった」「これまで習ったことは時間、家族を大切にすることです」

この大学では2020年から現地の子どもたちと交流し今は支援を続けています。25日はウクライナの教育について報告されます。