【草笛光子さんインタビュー】日々を楽しく過ごすコツは…「ときにはわがままに映っても」本音を伝えること!?
俳優人生70年以上、そして今年卒寿(90歳)を迎える草笛光子さん。新たにスタイルブックを出版されたとのことで、お話を伺いました!草笛さんといえば、自然体の美しさや、幅広い世代から「格好いい!」と支持されるファッションが魅力的。ドキドキで本人にお会いしたら…本音トークが炸裂!?
【画像を見る】美しいグレーヘアに赤いドレスが映える草笛光子さん
――スタイルブック『草笛光子のクローゼット』から5年。第2弾となる『草笛光子 90歳のクローゼット』が2月3日に発売されましたが、その中で「私のクローゼットは度胸の塊。コノヤロウという気持ちで着ちゃうの」とおっしゃっていたのが印象的でした。今日の赤いドレスも、そのような気持ちで着られたのでしょうか?
”洋服に負けない強い気持ちを持つ”という意味合いで言ったのだと思うんだけど、自分としては茶目っ気のつもりで(笑)。わたしは洋服をどう着ればいいのかとか、おしゃれについて難しいことは言えないけど、何を着るにしてもやっぱり愛嬌がなきゃいけないって思っています。
愛嬌と言っても、変な愛嬌をふりまくのではなく、洋服には心が出ると思うの。その人の人間性みたいなものが洋服から伝わってくるんです。だから、洋服を選ぶときや着るときはつねにそこを意識してますね。
――『草笛光子 90歳のクローゼット』を出すにあたって、「同世代の人たちを元気にしたい」という思いがあったとうかがいました。
そんな偉そうなこと言えません。当初はお断りしたんですが、大変な世の中になりましたでしょ、だからこそ止まらずに挑戦していかないといけないなと感じたんです。わたしはモデルではないからあまり気取らず、普段ぽく撮りました。スタイルが良いわけではないわたしを見ると、8頭身でなくてもこんな風に着こなせるのだと皆さん勇気が湧くのかもしれないし。でも、人のお役に立てる女優になりたいという思いはいつもあります。
”いい子”になろうとは思わない
――草笛さんが、松竹歌劇団に入団されたのが17歳のときです。それから70年以上、俳優人生を歩んでらっしゃいますが、仕事をするうえで心がけていることはありますか?
細かく言えば、いろいろありますけど、これまでにたくさんの方たちと出会ってきました。現場で何度もお会いしてつながり続ける方もいるし、一度っきりで終わってしまうご縁もあるんです。でもやっぱり、仕事には人柄が出ますよね。その人柄が作品にも出ると思うんです。
わたしは”使っていただいている”だけ。つねに使われる身だからこそ、”いい身”にならなきゃって思っています。
――「いい身になる」とはどういうことですか?
いい表情をしているなとか、楽しそうだなっていうところで、見ていればわかりますよね。だからと言って、わたしはゴマなんてすりませんよ。わたしは”いい子”になろうとは思わない。どちらかと言えば、みんながドキッとするようなことをポンって言うのが好きなのね(笑)。
でも、仕事はちゃんとやって残さなきゃダメ。だって、作品はいつまでも残り続けるんですから。
――ある雑誌のインタビューで、「楽しく生きていれば、いつお迎えがきてもいいじゃない?」ともおっしゃってましたが…。
え、そんなこと言ってたの?(笑)
――はい(笑)。でも、その記事を読んだときに「楽しく生きる」って日々忘れがちだけど、大切なことだなと思いました。
そうですね。わたしのモットーというほどではないけど、ときにはわがままに映っても自分の思ったことは伝えるようにしてます。うわべだけで話しているよりも、こうしてしゃべっている時間が楽しかったら、夜も気持ちよくぐっすり眠れると思わない?
――たしかに、そう思います。
でもそれがイヤな女に映るときもあるかもしれないけど、いちいちそんなことを気にしていたら生きていけませんよ(笑)。思ったことを素直に口に出して言える日本人って、少ないと思いませんか?
いい子になるのは楽ですよ。わたしも今年90歳になるけれど、いろんな人から年齢について聞かれるんです。そのときに「人生、大変でしたよ」って答えるのは楽だけど…何ていうのかな、「しんねりむっつり(※態度が陰気で思ったことをはっきり言わない様)」が好きじゃないの。そこで、やっぱりウイットに富んだ言葉をポンっと言いたいわね。そうやって、どこかひっくり返すような楽しい雰囲気を作るのが大好きなんです。
人に感動してもらわなければ、生きてる意味がないですから
――普段、息抜きする時間はありますか?
ありますよ。いちばんの癒しは、『草笛光子 90歳のクローゼット』にも登場してもらったゴールデン・レトリーバーのサヴィちゃん。行きつけのお花屋さんの前で出会ったんだけど、わたしのボーイフレンドなんです(笑)。
会いたくなったらサヴィちゃんのお父さんに電話をかけるんだけど、サヴィちゃんもわたしからの電話ってわかるのね。その場でぐるぐる回って喜ぶんですって。もうすぐ着くなって頃に家の前で待っているんです。そうすると、遠くから私を見つけて、ブンブンしっぽを振って楽しそうに歩いてくるんです。
もう可愛いすぎて困っちゃうくらい。だからお別れするときがいつも悲しくて…。帰る後ろ姿を見ると泣きたくなるんです。
――今後の目標について挑戦してみたいことはありますか?
大きな目標はないけど、いい仕事をしたいとはつねに思っています。女優は、人に感動してもらわなければ生きてる意味がないですから。
――これからも草笛さんの作品を楽しみにしています。最後に、日々欠かさずしていることを教えてください。
毎日、亡くなった父と母に「今日もありがとうございます」「今日もいい1日でした」とお灯明をあげています。
――こんなことがあったのよと、報告をするんですか?
いろんな話をします。でも、いやな出来事を報告したら、「光子を助けに行かなきゃ!」って心配させちゃうからあまり言いません。
――(笑)。草笛さんは竹を割ったような性格というか、はっきりしているところが気持ちよくもあり、魅力的だなと思いました。もっといろいろなことを教えていただきたいです。
教えることは何もありませんよ。小さな子どもが「おばちゃん教えてよ」っていうのとは違うんですから。…なんて、いつもこんな感じで”そのまんま光子”でいるのがいいのかもしれないわね(笑)。
※草笛光子さんインタビューは、月刊誌『家の光』2023年4月号にも掲載されます。
http://www.ienohikari.net/press/hikari/yokoku/
※『草笛光子 90歳のクローゼット』(主婦と生活社)の詳細は下記より。
https://www.shufu.co.jp/bookmook/detail/978-4-391-15848-9/
【画像を見る】美しいグレーヘアに赤いドレスが映える草笛光子さん
――スタイルブック『草笛光子のクローゼット』から5年。第2弾となる『草笛光子 90歳のクローゼット』が2月3日に発売されましたが、その中で「私のクローゼットは度胸の塊。コノヤロウという気持ちで着ちゃうの」とおっしゃっていたのが印象的でした。今日の赤いドレスも、そのような気持ちで着られたのでしょうか?
”洋服に負けない強い気持ちを持つ”という意味合いで言ったのだと思うんだけど、自分としては茶目っ気のつもりで(笑)。わたしは洋服をどう着ればいいのかとか、おしゃれについて難しいことは言えないけど、何を着るにしてもやっぱり愛嬌がなきゃいけないって思っています。
愛嬌と言っても、変な愛嬌をふりまくのではなく、洋服には心が出ると思うの。その人の人間性みたいなものが洋服から伝わってくるんです。だから、洋服を選ぶときや着るときはつねにそこを意識してますね。
――『草笛光子 90歳のクローゼット』を出すにあたって、「同世代の人たちを元気にしたい」という思いがあったとうかがいました。
そんな偉そうなこと言えません。当初はお断りしたんですが、大変な世の中になりましたでしょ、だからこそ止まらずに挑戦していかないといけないなと感じたんです。わたしはモデルではないからあまり気取らず、普段ぽく撮りました。スタイルが良いわけではないわたしを見ると、8頭身でなくてもこんな風に着こなせるのだと皆さん勇気が湧くのかもしれないし。でも、人のお役に立てる女優になりたいという思いはいつもあります。
”いい子”になろうとは思わない
――草笛さんが、松竹歌劇団に入団されたのが17歳のときです。それから70年以上、俳優人生を歩んでらっしゃいますが、仕事をするうえで心がけていることはありますか?
細かく言えば、いろいろありますけど、これまでにたくさんの方たちと出会ってきました。現場で何度もお会いしてつながり続ける方もいるし、一度っきりで終わってしまうご縁もあるんです。でもやっぱり、仕事には人柄が出ますよね。その人柄が作品にも出ると思うんです。
わたしは”使っていただいている”だけ。つねに使われる身だからこそ、”いい身”にならなきゃって思っています。
――「いい身になる」とはどういうことですか?
いい表情をしているなとか、楽しそうだなっていうところで、見ていればわかりますよね。だからと言って、わたしはゴマなんてすりませんよ。わたしは”いい子”になろうとは思わない。どちらかと言えば、みんながドキッとするようなことをポンって言うのが好きなのね(笑)。
でも、仕事はちゃんとやって残さなきゃダメ。だって、作品はいつまでも残り続けるんですから。
――ある雑誌のインタビューで、「楽しく生きていれば、いつお迎えがきてもいいじゃない?」ともおっしゃってましたが…。
え、そんなこと言ってたの?(笑)
――はい(笑)。でも、その記事を読んだときに「楽しく生きる」って日々忘れがちだけど、大切なことだなと思いました。
そうですね。わたしのモットーというほどではないけど、ときにはわがままに映っても自分の思ったことは伝えるようにしてます。うわべだけで話しているよりも、こうしてしゃべっている時間が楽しかったら、夜も気持ちよくぐっすり眠れると思わない?
――たしかに、そう思います。
でもそれがイヤな女に映るときもあるかもしれないけど、いちいちそんなことを気にしていたら生きていけませんよ(笑)。思ったことを素直に口に出して言える日本人って、少ないと思いませんか?
いい子になるのは楽ですよ。わたしも今年90歳になるけれど、いろんな人から年齢について聞かれるんです。そのときに「人生、大変でしたよ」って答えるのは楽だけど…何ていうのかな、「しんねりむっつり(※態度が陰気で思ったことをはっきり言わない様)」が好きじゃないの。そこで、やっぱりウイットに富んだ言葉をポンっと言いたいわね。そうやって、どこかひっくり返すような楽しい雰囲気を作るのが大好きなんです。
人に感動してもらわなければ、生きてる意味がないですから
――普段、息抜きする時間はありますか?
ありますよ。いちばんの癒しは、『草笛光子 90歳のクローゼット』にも登場してもらったゴールデン・レトリーバーのサヴィちゃん。行きつけのお花屋さんの前で出会ったんだけど、わたしのボーイフレンドなんです(笑)。
会いたくなったらサヴィちゃんのお父さんに電話をかけるんだけど、サヴィちゃんもわたしからの電話ってわかるのね。その場でぐるぐる回って喜ぶんですって。もうすぐ着くなって頃に家の前で待っているんです。そうすると、遠くから私を見つけて、ブンブンしっぽを振って楽しそうに歩いてくるんです。
もう可愛いすぎて困っちゃうくらい。だからお別れするときがいつも悲しくて…。帰る後ろ姿を見ると泣きたくなるんです。
――今後の目標について挑戦してみたいことはありますか?
大きな目標はないけど、いい仕事をしたいとはつねに思っています。女優は、人に感動してもらわなければ生きてる意味がないですから。
――これからも草笛さんの作品を楽しみにしています。最後に、日々欠かさずしていることを教えてください。
毎日、亡くなった父と母に「今日もありがとうございます」「今日もいい1日でした」とお灯明をあげています。
――こんなことがあったのよと、報告をするんですか?
いろんな話をします。でも、いやな出来事を報告したら、「光子を助けに行かなきゃ!」って心配させちゃうからあまり言いません。
――(笑)。草笛さんは竹を割ったような性格というか、はっきりしているところが気持ちよくもあり、魅力的だなと思いました。もっといろいろなことを教えていただきたいです。
教えることは何もありませんよ。小さな子どもが「おばちゃん教えてよ」っていうのとは違うんですから。…なんて、いつもこんな感じで”そのまんま光子”でいるのがいいのかもしれないわね(笑)。
※草笛光子さんインタビューは、月刊誌『家の光』2023年4月号にも掲載されます。
http://www.ienohikari.net/press/hikari/yokoku/
※『草笛光子 90歳のクローゼット』(主婦と生活社)の詳細は下記より。
https://www.shufu.co.jp/bookmook/detail/978-4-391-15848-9/