旨みたっぷりの「のどぐろ」が人気!冬の旬を味わえる話題の鮨店
南青山に移転した、鮨の名店『くろ粼』。その跡地に、店の設えをそのまま受け継ぎ、愛弟子が新たな店を構えた。
『くろ粼』の伝統を継ぎながらも新しい風を吹かせる、期待に溢れる一軒。その魅力に迫っていく。
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※コロナ禍の状況につき、来店の際には店舗へお問い合わせください。
仄暗い店内で存在感が際立つ、樹齢350年の尾州檜を用いたカウンター。額装されたチベットの古布など、『くろ粼』時代に築かれた空間がそのまま残る
“鮨不毛地帯”といわれていた渋谷に、革命を起こした『くろ粼』。
昨年2月に南青山に移転し、一時代を築いた渋谷の店は『仲野』とその名を変え、新しい大将へと継承された。
当時の面影をそのまま残したつけ台に立つのは、『くろ粼』で個室を任されていた仲野雄太さん。
師匠の黒粼一希さんとは、浅草『金太楼鮨』時代から約20年間の付き合いだそうで、まさに“右腕”ともいえる存在。
まぐろは『やま幸』から仕入れる。「中トロ」は軽く漬けにして浸透圧で水分を抜き、旨みを凝縮して提供。『くろ粼』のスタイルを踏襲したものだ
昨年自身の名を冠して開いた“新店”では、『くろ粼』の仕入れルートを生かして極上の鮨ダネを仕入れつつ、持ち前の明るい人柄と確かな腕前で早くも評判を集めている。
この日のコースは、温かなすり流しから始まり、握りの間につまみを挟みながらテンポよく構成。
タネによって温度を変えて使い分ける赤酢のシャリは師匠譲りで、仕込みにひと手間をかける「のどぐろ」も健在だ。
スペシャリテも継承!
酒に浸けて蒸した後、皮目だけを軽く炙る。
余分な脂を落として身の旨さを引き立てた「のどぐろ」は圧巻の仕上がりだ。
端正な江戸前鮨と素材の良さが光るつまみが、日本酒を無限に呼ぶ
「白子のすり流し」。
アサリ、シジミ、ハマグリ、ホッキ貝の濃縮スープに白子を合わせ、トロリとした喉越しに。
コリコリとした食感が楽しい「本ミル貝」は、細かく包丁を入れて歯切れよく。
天然の「車海老」は蒸して旨みを引き出すのがポイント。
上品な甘みとねっとりとした舌触りに破顔する。
「トラフグの唐揚げ」は、通常刺身で提供する骨のない部位を贅沢に使用。
カニの風味と内子を卵でとじ込めた、「セイコ蟹の茶碗蒸し」はこの時季ならでは。
軽く漬けにして、肝を挟んだ「カワハギ」。料理はすべてコース(33,000円)より。
レアな日本酒をラインナップ!
全国から吟味した日本酒も充実。
岡山の米農家が作る「國平米」や、風味が抜群の福井「黒龍 八十八号」、茨城の新星「森嶋」など、都内では珍しいラインナップに心が踊る。
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「徐々に自分の色も出していければ」と仲野さん。
“くろ粼イズム”を継承する次代の名店に、期待値は高まるばかりだ。
『くろ粼』をオープンから支えた二番手が独り立ち!
仲野さんは18歳で鮨職人としてのキャリアをスタート。その後、黒粼さんの後を追って世田谷の『すし屋魚真』へ。
『くろ粼』ではオープン時から二番手として店を支え、個室を担当してきた。
■店舗概要
住所:渋谷区渋谷1-5-9
TEL:03-5774-1196
営業時間:[一部]17:30〜
[二部]20:30〜
定休日:日曜、不定休
席数:カウンター10席
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