どうせ雪だし、クルマ駐車場に置いとけばいいや――こう考える人も多いのか、駐車場会社が都内の大雪に対し、降雪・積雪時の利用を控えてほしいと呼びかけています。置きっぱなしにした結果、トラブルになる可能性もあります。

雪で駐車場を出られなくても、課金が続く


2018年1月22日〜23日の東京大雪。20cmを超える積雪があった(中島みなみ撮影)。

 東京都心のコインパーキングに、利用者へ向けたこんな注意喚起が貼りだされました。「降雪・積雪が予想される場合にはご利用をお控えいただくことをお勧めいたします」。大雪のリスクを考えた行動にも、盲点があるようです。

 料金案内の看板に《降雪・積雪時のご利用について》の注意喚起が添えられていたのは、東京都新宿区内にある大手駐車管理会社の時間貸し駐車場です。その影響を次のように説明しています。

1.入出庫ができなくなります。ご連絡いただいても速やかな除雪作業はできません。
2.降雪・積雪が原因で出庫できない場合でも駐車料金は通常どおり課金されます。
3.コールセンターの電話がつながりにくくなります。
4.トラブルがあった場合でも、係員の到着が大幅に遅れます。

 遊休地を利用したコインパーキングの課金方法は多様ですが、鉄製の踏板を乗り越えなければならない駐車場では、特にノーマルタイヤでは雪でスリップして自力で乗り越えられないことが考えられます。また、凍結による動作不良で、起き上がった踏板が格納されない可能性もあります。

 踏板がないゲート式などの場合でも、ビルの谷間で雪が溶けにくく、路面が凍結し、車両の方向がうまく変えられない場合もあるようです。

 雪に弱い都心での運転に、ある程度のトラブルを予想している運転者は多いと思います。雪が降る前に駐車場クルマを停め、もし雪が降ってきたら、運転を控えてそのまま置いておこうと考える人もいるでしょう。

 駐車場運営会社は、この注意喚起の意図をこう話します。

「積雪で駐車場から車両が出られなくなるトラブルが多いのですが、雪による停電から機械が動かなかったり、まれに機械のトラブルもあります。都市部では公共交通も混乱することがあるので、現地対応に時間がかかりますし、除雪も行いますが、人的な対応には限りがあるので注意を呼びかけました」

 この注意喚起が貴重なアドバイスとなるのは、駐車場の運営側も雪によるトラブルに巻き込まれる可能性を事前に説明していることです。問い合わせの連絡が増えると、なかなか対応できない。連絡ができたとしても、雪による交通マヒで、なかなか現地に到着できない。こうした混乱は、雪害ではありがちな光景です。

 それでも駐車料金は通常通りの課金が続くことが告げられていますが、こうしたトラブルを避けるためには、どうしたらよいのでしょうか。

できるだけ外出自粛、外出する場合は積雪対応の装備を充実

 2023年1月23日、国土交通省は大雪に関する緊急発表を行っています。これによると、積雪・降雪時の対応の第一は、「不要不急の外出自粛」です。

 仕事上でも、避けられる外出は避けることは重要かもしれません。その上で、外出する場合の車両の備えが次のように呼びかけられています。

「冬用タイヤ装着、チェーン携行・早めの装着」
「懐中電灯、毛布、作業用の手袋、飲料や食料、スタックをぬけるための砂や専用のラダー、除雪用のシャベル」


東京都心のコインパーキングに貼られた注意喚起(中島みなみ撮影)。

 雪の少ない地域では、冬用タイヤの準備がなく、降雪時でもノーマルタイヤのまま走行するケースがありますが、目立たない積雪や凍結でも走行不能に陥ることがあります。チェーンを使う場合には、出発前に自力で装着できるかも確認しておくことが必要です。

 国土交通省はこのほかにも、最新の気象や交通の情報を確認して判断することを求めています。駐車でも走行でも、雪の日には特別な注意が必要です。