【闘病】30代で「乳がん」ステージ4! AYA世代の子育てママ

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今や女性の9人に1人が罹患すると言われる「乳がん」は、若い世代でも油断できない疾患です。中でも注目されてきているのが、「AYA世代」と呼ばれる年代のがんです。AYA世代とは、思春期(15歳~)から30歳代までの世代のことで、日本では、毎年約2万人のAYA世代ががんを発症すると推定されています。30代で乳がんを発症し、抗がん剤による治療を行いながら子育てを頑張っているみゅうさん(仮称)に、抗がん剤治療による副作用、治療中の子育てなどについて、話を聞きました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2022年1月取材。

体験者プロフィール:
みゅうさん(仮称)

1986年生まれの女性、結婚し1児の母。2019年に子どもを出産し、幸せな時間を過ごしていたが、1年後に乳房の大きなしこりを発見した。乳腺外科を受診し、マンモグラフィ、乳腺エコー、生検を実施したところ、30代で乳がんが発覚。手術、抗がん剤による薬物療法を実施。再発・再々発もあり、現在もホルモン治療と経口分子標的薬による治療を継続中。

記事監修医師:
寺田 満雄(名古屋市立大学乳腺外科病院)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

幸せ絶頂期に襲い掛かってきた乳がん

編集部

まず、みゅうさんの患った乳がんについて教えてください。

みゅうさん

乳腺にできるがんとのことで、初期症状としては乳房のしこりがありました。人によっては乳房にえくぼのような窪みができたり、ただれたり、乳腺から分泌物が出ることもあります。

編集部

病気が判明したときはどのような気持ちでしたか?

みゅうさん

乳がんを発症したのは2020年5月でした。1年前に念願の子どもを出産したばかりで幸せの絶頂だっただけに、突然崖から突き落とされた感覚でした。子どもが生まれたばかりでしたから、「どうして今なの?」「いつまで生きられるの?」と目の前が真っ暗になりました。一方で「夫や子どもががんに罹患したのではなくて良かった」という気持ちもあり、気を取り直して抗がん剤治療を行いました。

編集部

病気が判明した経緯について教えてください。

みゅうさん

初めて異変に気付いたのは、授乳中に大きなしこりが乳房にあるとわかったときです。急いで近所の乳腺外科に連絡し、受診しました。その日のうちにマンモグラフィ、乳腺エコー、生検を行ったところ、「乳がん」と診断を受けました。授乳期乳がんは悪性度が高く進行が早いケースが多いそうです。

編集部

医師からはどのような治療が実施されたのでしょうか?

みゅうさん

乳房の腫瘍が大きかったので、手術前にEC療法とドセタキセルという抗がん剤投与を6か月継続して受けました。薬物治療で乳がんが小さくなったところで、手術を行いました。

編集部

手術後に再発もあったそうですが。

みゅうさん

手術後にホルモン治療を行っていたところ、半年後に局所再発が判明しました。再発した腫瘍も手術ですべて取り除き、放射線治療を実施。また、その後経口抗がん剤も服用していました。しかし、それから4か月目に肺、肝臓への遠隔転移が判明したため、今後はホルモン治療と経口分子標的薬も服用していく予定です。

家族と友人からの愛が大きな力になった

編集部

発症後は心境にどのような変化があったのでしょうか?

みゅうさん

今まで当たり前にやっていたこと、全てのことに感謝することが増えました。朝起きて一日過ごせるありがたさ、身体の痛みもなく普通に過ごせることに幸せを感じます。息子のわがままでさえも幸せに感じます。一方で、どうしても治療の影響で子育てを大変に感じたり、ホルモン治療の影響で更年期症状のようなイライラや落ち込みがあったりして、大変だと感じることもあります。

編集部

生活にも変化はありましたか?

みゅうさん

生活面では、家族や友人からの愛を強く感じます。また、手術が終わってからInstagramで闘病生活を発信するアカウントを作成しました。同じように治療を頑張っている人に勇気をあげられればと思って続けています。今ではそこを通じて沢山の「心友」(SNSの友達)から沢山の愛をもらっています。

編集部

治療中に大変なことはなんですか?

みゅうさん

辛かったのは抗がん剤、放射線治療、経口抗がん剤による倦怠感の副作用がありながらの子育てと家事でした。家族も協力はしてくれましたが、やはり母としての役割がありますから。ほかにも、がん保険に入っていなかったため、高額な治療費がこれからもずっと負担となることに申し訳なさがあります。

編集部

副作用にはどのようなものがありますか?

みゅうさん

辛いと思ったのは、関節痛、倦怠感、術後の傷の痛み、それと頭痛でした。よく抗がん剤による脱毛の話を聞きますが、私はそうなることに抵抗感はありませんでした。髪が抜ける前にと思い、夫とは沢山の写真を撮りました。抗がん剤治療を終えてからも、坊主頭の方が楽で、バリカンを使っていたこともあります。

息子の存在が何よりも心の支えになっている

編集部

治療の心の支えになっているものについて教えてください。

みゅうさん

心の支えになっているのは、何よりも息子の存在です。2歳の息子は私が不安な気持ちになっていると、「僕がいるからね」と言って抱きしめてくれます。病院に行くことも理解してくれています。夫も一緒に闘ってくれていますし、友人やインスタの心友からも応援の言葉をもらっており、それらすべてか心の支えとなっています。

編集部

現在の体調はいかがですか?

みゅうさん

今はがんがステージIVになり、身体のだるさが強くなって来ている感じです。気持ちの持ちようだと信じて、普通に過ごせていることに日々感謝しています。がんは必ず小さくなると信じているので、病気のことをなるべく意識しないようにして過ごしています。

編集部

乳がんを普段意識していない人に伝えたいことはありますか?

みゅうさん

私は、病気になってから普通の生活がどれほど幸せなことなのか気付きました。がんだけではなく、ほかの病気にも誰もがなり得ます。日頃からしっかり検診を行い、自分の身体の状態をチェックしてほしいです。

編集部

みゅうさんから医療従事者に伝えたいことはありますか?

みゅうさん

私の場合は、寄り添ってくれる良い先生に恵まれたので、とても感謝しています。しかし、インスタグラムの心友は診察時に冷たい態度を取られ、傷ついていました。例えどれほど忙しくても、患者に寄り添った一言を診察時には伝えてほしいと思います。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いできますか?

みゅうさん

AYA世代のがん患者は年々増えています。早期に発見できれば高い確率で治る病気です。他人事とは思わずにしっかりと検診を受けてください。また、一日一日を大切に、健康でいられることに感謝して、楽しく笑って免疫力をアップさせていきましょう。

編集部まとめ

最近増加傾向にある若い世代のがん、「AYA世代」のがんは社会的な課題です。ですが、自分でしこりを探しても、よくわからない人もいると思います。大切なことは、普段の自分の状態を知っておき、しこりのある・なしではなく、変化があったときに気が付けるようにすることです。そのためにも普段からセルフチェックし、変化があったら医療機関の受診、また定期的な乳がん検診を心がけると良いでしょう。

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