住宅ローンは何歳までに借りるべき? 借入時と完済時の平均年齢も紹介します
住宅ローンの完済年齢が上がっているのはご存じでしょうか。住宅ローンは借入期間が長期にわたる人も多く、完済年齢が70歳を超える人も少なくありません。
年齢が高いけれど住宅ローンを組みたいと考えている人にとって、何歳までに完済するように住宅ローンを組めばいいのか、悩むこともあるでしょう。そこで今回は、住宅ローンは何歳まで借りられるのか、完済時に70歳を超えるときの注意点などを解説します。
住宅ローンは何歳まで組める?
ARUHI住宅ローンの【スーパーフラット】では、借入期間が15年以上(申込者もしくは連帯債務者が満60歳以上の場合は10年)かつ完済時に80歳を超えることはできない、という制限があります。そのため、80歳までの年数が10年となる70歳まで借入可能です。
借入期間が15~20年である【フラット20】、21年~35年の【フラット35】も、満70歳未満まで契約できます。ただし、スーパーフラットと同じく申込者もしくは連帯債務者が満60歳以上となると借入期間は10年までです。
借入期間が36~50年と長期にわたる「ARUHIフラット50」では、申込時年齢の制限は満44歳未満と低くなっています。
このように、一般的に住宅ローンはおよそ70歳までは組むことはできますが、借入期間は10年と短く制限されます。35年のローンを組みたいのであれば、遅くとも完済時に80歳となる45歳までには契約しなければなりません。
住宅ローン借入時の平均年齢
住宅金融支援機構によるフラット35を契約する人を対象とした調査を引用し、住宅ローン借入時の平均年齢を紹介します。
上記をみると、住宅ローンを契約したときの平均年齢は徐々に上がっていることがわかります。これは、中心的な利用年齢層といわれる30歳代の利用率が年々減少している一方、50歳以上の利用率が上昇していることが要因です。
2021年度では、その前々年度まで4割を超えていた30歳代の利用率が36.2%と減少していますが、50歳以上は初めて2割を超える結果になりました。
※参考:住宅金融支援機構「2021年度 フラット35利用者調査」
返済にかかる平均期間
住宅金融支援機構の調査によると、2019年度の民間住宅ローンの約定貸出期間は次のとおりとなりました。
完済債権の貸出後経過期間は以下の表です。
上記によると、契約時は25年超30年以下の貸出期間で契約する人が多いけれど、実際は10年超15年以下で返済する人が43.2%と最多です。これには借り換えなどで一括返済する人も含まれるため一概にはいえませんが、繰り上げ返済などを利用して返済期間を契約時よりも短くしている人もいます。
※参考:住宅金融支援機構「2020年度 住宅ローン貸出動向調査」
住宅ローン完済時の平均年齢
2000年度の完済年齢は平均約68.3歳でしたが、2020年では平均約73.1歳と、20年で5歳ほど上がっています。借入時の平均年齢が高まっているだけではなく、借入金額も多くなっていることも原因だとされています。
住宅ローン返済のために定年後も働き続ける人や、年金で住宅ローンを返済しなくてはならない人も増えていく可能性もあるでしょう。
※参考:日本経済新聞「住宅ローン完済年齢上昇 平均73歳年金生活不安定に 審査、老後リスク吟味必要」
完済時に70歳以上となりそうなときの注意点
借入期間が長い、契約時の年齢が高い、といった事情で完済時に70歳を超えそうなときには、以下のような点に注意してください。
無駄遣いをせず支出を見直す
住宅ローン破綻を起こさないためには、退職前から家計の収支を見直し、無駄遣いを減らしていくことが基本です。収入が減ったときに生活レベルを急に下げるのは難しいため、収入が減っても暮らしていけるように、無理のない生活を心がけましょう。
70歳代になって住宅ローンの返済が残っていても、すでに会社を退職している人も多くいます。年金収入だけになっても住宅ローンを支払い続けられるのか、預貯金の残高や退職金なども確認しつつシミュレーションしてみてください。
自分で計算するのが難しいときには、ファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。
繰り上げ返済を利用する
通常、住宅ローンは繰り上げ返済できます。繰り上げ返済とは、まとまったお金ができたときに予定よりも大きな額を返済することです。基本的に利息分ではなく元本から返済されるため、その分にかかっていた利息を節約できます。
しかし、住宅ローンには住宅ローン控除があり、ローンの残高に応じて13年間は税負担を軽減できます。金利や残高によっては繰り上げ返済しないほうが、トータルでは支出が少なくなることもあるため、繰り上げ返済をするかどうかの選択は慎重に行ってください。
借入時の年齢が高いときの選択肢
借入時の年齢が高く、完済まできちんと返済できるのか不安な場合は、親子ローンやリバースモーゲージ型住宅ローンを利用する、という手もあります。それぞれどのような特徴があるのか解説します。
親子ローン
親子ローンとは親子2人で契約する住宅ローンのことです。返済当初は親が返済し、残った残額を子が返済していくリレーローンと、2人で同時に返済していくペアローンの2種類があります。
親子リレーローンであれば、親が返済できなくなったローンを子が引き継げるため、親の年齢が高くても住宅ローンの審査にとおりやすくなります。
親世帯にとっては子世帯がローンの残高を負担することで安心感を得られますが、トラブルが起きても同居解消しにくいため、契約するときは親子で綿密な話し合いが必要です。また、親が早くに亡くなる、収入が減る、といったときに子への負担が重くなる点にも注意しなくてはなりません。
リバースモーゲージ型住宅ローン
リバースモーゲージ型住宅ローンとは、毎月利息分だけを返済し、契約者が亡くなったときに、自宅を売却して現金で一括返済するローンです。自宅を残すことはできませんが、亡くなる日まで住み続けられるうえ、毎月の返済額をおさえられます。
金融機関によりますが、リバースモーゲージ型住宅ローンにはリコース型、ノンリコース型の2種類あります。
ノンリコース型は、金利が高いものの、基本的に売却金額が元本に満たなくても残高部分の返済は免責され、価格が上昇し元本よりも高くなったときは余剰分が返還されます。住宅を次の世代に残さなくてもよい、という人におすすめです。
リコース型はリバースモーゲージ型住宅ローンでの残高は相続人が負担します。
リバースモーゲージ型住宅ローンの対象年齢は50~60歳からと高めであるため、高齢の人が住宅ローンを組みたいときにおすすめです。
まとめ
商品にもよりますが、住宅ローンは完済時の年齢が80歳となるまで組むことができます。そのため、希望する返済期間によって申し込みできる年齢の上限も変わってきます。4、50歳以上で住宅ローンを組むと、70歳を超えても返済が続く可能性もあるため、支出を見直し年金生活になっても返済できるように計画しましょう。
年齢の問題で住宅ローン契約が難しい場合は、親子ローンやリバースモーゲージ型住宅ローンといった選択肢もあります。親子ローンなら子どもとともに返済ができ、リバースモーゲージ型住宅ローンでは購入した住宅は残りませんが、利息分の支払いだけで住宅購入が可能です。