中学受験の費用はいくらかかる? 費用の内訳と平均額を統計から紹介
子どもにはできるだけ良い教育を受けさせたいと願うのが親心です。独自のカリキュラムの導入や、施設や設備が充実している私立中学に、子どもを入学させたいと考えている人もいるでしょう。しかし、中学受験にはその準備も含めてまとまった費用がかかります。本記事では、中学受験にどのような費用がかかるのかについて、内訳と調査から判明した平均値を紹介します。
中学受験費用の内訳
中学受験に必要となる費用の内訳にはどのようなものがあるのでしょうか。また、それぞれの費用がどのくらいになるのかについて解説します。
受験料
まずは中学入試の受験料です。中学受験の場合、志望校のほかに併願校を数校受験するのが一般的です。当然、多く受験すればそれだけ費用がかかることになります。受験料は学校によって異なりますが、相場は私立校で2~3万円、国立大付属中学で5,000円程度です。
ちなみに、東京都内の名門校として知られる麻布中学、慶應義塾中等部、武蔵中学などの場合が3万円で、早稲田中学が2万7,000円、開成中学が2万8,000円です。
仮に受験料3万円の学校5校を受験すると、15万円かかることになります。さらに、学校見学や、受験当日の交通費なども別途かかります。
塾代
中学受験を目指す子どもは、塾に通うことが前提になっているのが現状です。塾代は、中学受験にかかる費用の中で最も大きな割合を占めます。塾代は月額の授業料のほかに、夏期講習、冬期講習、模擬テスト代などが別途かかってきます。
文部科学省が2018年度に行った学習費調査の結果によると、小学生の場合、塾代に相当する「補助学習費」は年間で34万8,000円になります。これは中学受験を予定している児童以外も含みますが、目安にはなります。中学受験準備は小学4年生からスタートするのが一般的であるため、小学6年までの3年間塾に通うとすると104万4,000円かかることになります。
出典:文部科学省 平成30年度子供の学習費調査の結果について
参考書代
受験校によって試験問題の傾向が異なるため、塾で使用するための教材とは別に学校別対策として参考書や問題集を購入する人もいるようです。ただし、塾によっては受験校ごとに万全の対策を立てて授業や自宅学習の指導を行っていて、課題や宿題をこなすだけで手いっぱいになることもあります。
通信費
近年では参考書だけではなく、iPadなどのタブレットを使用する塾も増えています。タブレットは塾から支給される場合もありますが、そうでない場合は購入費用がかかります。また、タブレット購入費用が塾代に含まれる場合でも、月々の通信費は別途必要です。
交通費
塾が家の近所でない場合はバスや電車などの交通費、また子どもを自家用車で送迎する場合はガソリン代がかかります。さらに、志望校見学や受験当日の交通費も必要です。親が付き添いをする場合は親の分、また受験する学校が遠方の場合は宿泊が必要になることもあるので、子どもと親の分の交通宿泊費がかかります。
その他の費用
先述した費用のほかにも、さまざまな諸雑費がかかります。たとえば、塾の休憩時間や移動時間に食べるおやつやお弁当代、文房具代、願書用の写真代や面接用の洋服代などです。面接の洋服代は、子ども用と親用の2セット新調するとなると、かなり高額になります。
塾代以外の費用を合計すると、ざっと100~150万円程度かかる計算になるため、受験をする場合はあらかじめ費用の算段をしておいたほうがよいでしょう。
中学に合格した後の費用
努力が実り、めでたく中学校に合格できたとしても、喜んでばかりはいられません。中学入学に際しては、さらにまとまったお金が必要です。中学に合格してからどのような費用がかかるのかを、私立中学を例に試算してみます。
入学金
入学金は、入学の際に授業料とは別に学校に一括して納入するお金のことで、金額の相場は20~40万円程度です。志望校以外に併願校、滑り止め校など複数受験している場合は注意が必要です。
志望校以外の学校に入学金を支払ってしまうと、そのあとに志望校に合格した場合でも返金を求めることができません。通常、「入学を辞退しても一切返還しない」という不返還特約が設けられているためです。
入学しないかもしれない学校に、20~40万円もの支払いをしなければならないのは、頭の痛い問題です。2001年に消費者契約法が成立して以降、裁判で一部返還が認められる判例も出てきました。納付する金額のうち、入学金以外の部分が返還される可能性もあります。
授業料
授業料は、学校に対して支払う教育に対する基本的な対価で、狭義では学費を指します。公立中学校の場合は無料ですが、私立では有料になります。前述の学習費調査によると、私立中学校の授業料の相場は42万8,574円です。1年間にかかる学校教育費の中で40.0%を占め、最も大きな割合になります。
入学金以外の納付金
初年度には、入学金以外に施設費や設備費などがかかります。前述の学習費調査によると、入学金のほか、施設整備資金,学級費,PTA会費などを合わせた学校納付金は30万5,130円になり、授業料に次いで大きな割合を占めます。
施設費や設備費は学習環境やクラブ活動用の施設などを充実させ、維持管理するための費用です。学校によって初年度のみの場合と、毎年納入する場合があります。
また、学校によっては初年度や年度初めに寄付金を募ります。ほとんどの場合、寄付は任意ですが、1口10万円2口以上などのまとまった金額になります。
このほか、初年度は制服や体操着などの購入費用もかかります。それぞれ夏用、冬用を揃えるとなると、かなりの金額になります。私立の制服代は公立に比べて高めのうえ、ベストやカーディガン、コート、カバン、ベルトなども学校指定になっている場合があります。
図書・学用品・実習材料費
副教材としての図書や文房具類、体育用品および実験・実習材料などの費用もかかります。前述の学習費調査によると、これらにかかる金額は5万198円です。
給食費
給食がある学校の場合は給食費も必要です。ただし、私立中学は給食ではなく、お弁当のところが多いため、給食費の代わりにお弁当を用意する費用がかかることになります。
修学旅行・遠足・見学費
修学旅行や遠足、社会科見学のための費用は、前述の調査によると8万2,578円です。公立中学校の同費用が2万6,217円であるため、私立の場合は3倍以上の高額になっていることがわかります。
教科外活動費(部活動費)
教科外活動費は主に部活動にかかる費用のことです。前述の調査によると5万5,796円です。部活動によっては道具代、ユニフォーム代、遠征費などが高額になることもあります。
通学関係費
通学のための交通費です。前述の調査によると、公立の場合が3万7,666円であるのに対し、私立は14万765円です。公立中学校の場合は徒歩または自転車通学が可能な場合が多いのですが、私立の場合は電車やバス通学になる場合があるため、費用が高くなっていると考えられます。
まとめ
子どもの将来の進学や、充実した施設、教育理念への共感などから私立中学を目指したいと考えている家庭も多いでしょう。しかし、中学受験費用は塾代だけでもかなりの金額がかかりますし、合格してからも授業料や諸費用がかかり続けます。中学卒業から大学卒業まではさらに学費がかかるので、長期的に見据えて資金計画を立てておくことをおすすめします。