見事2回目の優勝を勝ち取った埼玉県立越谷総合技術高等学校のメンバー。左から渋谷龍士さん、塚田雅大さん、大峰壮志さん、小林尋斗さん、蓮沼枢さん

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 全国情報技術教育研究会は11月12日、第42回全国高校生プログラミングコンテスト(高校プロコン)を開催した。会場は埼玉県南埼玉郡の日本工業大学。多目的講義棟「Learning Cube」7階ホールに選手や関係者およそ70人が集まった。新型コロナ禍で2020年は中止、21年はオンライン開催だった高校プロコン。今年は来賓を招かないコンパクトな規模ながら、3年ぶりにリアル開催を実現させた。全国の予選を勝ち抜いた8校が頂点を目指して戦った結果、埼玉県立越谷総合技術高等学校が優勝。18年に初優勝を飾って以来、2度目の栄誉に輝いた。

●全国から勝ち上がった8校が同時に戦い4校が決勝トーナメントに



 決戦の舞台はCHaserOnline2022。参加チームがプログラミングして作成した「化石採掘マシーン」が自律的に動き回り、マス目状のフィールドに散らばった化石やアイテムを探し出し得点を重ね勝敗が決まる。

 特に敵のコマに泥をかける「プット」は得点が高い。今回は、新たなルールがいくつか導入された。その一つがジオード。殻につつまれたブロックで、その殻を砕かなければ中のアイテムを得ることができない。

 もう一つはマルチマップ。これまでは1戦ごとに1枚のマップで戦っていたが、同時並行して複数のマップで戦う方式を採用。より多くのマップで戦わせることで、プログラムの実力がより公平に反映されるよう工夫を施した。簡易版のCHaserが全国のU-16プロコンで活用されているが、さすがその兄貴分。コマンドも多くアイテムやルールも高度だ。

 午前中の予選は準決勝に進出する4校を決めるリーグ戦。競技サーバーは八つのクライアント(コマ)が同時に接続できるようになっており、出場8校が一つのマップで一度に戦った。しかも1試合当たり4枚の複数のマップで同時進行する。2試合行ってそれぞれ順位を決め、順位を合計し、数が少ない順から4校が勝ち抜ける。

 決勝トーナメントに進出したのは、埼玉県立越谷総合技術高等学校(越谷)、愛媛県立松山工業高等学校(松山)、埼玉県立久喜工業高等学校(久喜)、北海道旭川工業高等学校(旭川)の4校だった。

●決勝トーナメントは1対1の勝負



 午後の決勝トーナメントでは1対1の勝負だ。ここでも同時に二つのマップで戦いが展開する。2回戦って3勝したチームが勝ち。越谷は、初戦で旭川を4対0のストレートで破り決勝に進出。また松山も同様に4対0のストレート勝ちで久喜を下し、いずれも全勝で決勝戦に臨んだ。決勝戦は越谷対松山の戦いだ。

 決勝戦、第1試合の表のマップでは、双方ジオードの中を探査しながらアイテムを集める静かなスタート。その後、コマが重なるほど両社のコマが接近する場面が多発。越谷がプットを決めるとすかさず松山がプット返しを決めるなど、激しいプット合戦も。結果、裏のマップも制した越谷が勝ち星2で先制した。

 第2試合では、表のマップで松山がプットを連発。越谷は応戦するも及ばず松山が1勝をもぎ取った。しかし裏のマップで越谷が勝利し1対1に持ち込んだ。決勝戦にふさわしい熱戦を繰り広げた結果、越谷が3勝1敗で松山を制し優勝した。

 閉会式で埼玉県立川口工業高等学校校長で全国情報技術教育研究会の染谷明生 会長は「優勝校を始め、ここまで勝ち上がった8校の皆さんは誇るべき成績をおさめた。胸を張ってそれぞれの学校に凱旋してほしい。今回の新ルール、ジオードの扱いに皆さんかなり苦労したようだ。今日の対戦でもその跡が見えたが、楽しんでプログラミングしたと思う。今後も、楽しむということを忘れずにプログラミングでの課題解決にあたって頑張ってほしい」と講評した。(ITジュニア育成交流協会・道越一郎)