東京の隣に位置し、横浜市・川崎市を中心とした利便性の高い都市部、海岸の良好な環境が人気の湘南地域、多くの人から支持される観光地・箱根など、エリアごとに多彩な魅力を持つ神奈川県。この記事では、そんな神奈川県にスポットを当て、基本情報、魅力、移住支援などについて紹介していきます。

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神奈川県の基本情報

まずは神奈川県の基本情報として、県の人口、面積や県土の特徴、県内総生産と県民所得について解説します。

人口
2022年8月1日時点、神奈川県の推計人口総数は923万5,529人です。都道府県別の人口ランキングでは東京都に次ぐ全国2位となっています。2006年5月に長らく日本第2位だった大阪府を抜きました。

世帯数は430万5,564世帯で、1世帯あたりの平均人員は2.15人。首都圏の他都県と同様に単身世帯も多いことから、世帯あたり人員数は全国平均を下回っています。

県土
神奈川県の面積は約2,416平方メートルで、日本の都道府県では第43位。香川県、大阪府、東京都、沖縄県に次いで、日本で5番目に小さい県です。

面積は決して大きくないものの、県の東側・南側は東京湾と相模湾に面し、県の西側には関東山地の一部を構成する丹沢山地が広がるなど、海あり、山ありの起伏に富んだ地形が特徴です。こうしたことから、同じ神奈川県内であっても、エリアによってまったく異なる風景が見られます。

県内総生産と県民所得
続いて、経済の面から神奈川県の概要を見ていきましょう。ここで紹介する数値はすべて2019年現在のものです。

生産面から見た神奈川県全体の経済活動を表す県内総生産は、名目で35兆2,054億円、物価変動の影響を除いた実質で34兆9,225億円となっています。名目の県内総生産を米ドルに換算すると3,239億ドル(為替レートを2019年度平均値1ドル=108.68円とした場合)となり、2019年の名目GDPデンマークの3,476億ドルやコロンビアの3,234億ドルに匹敵します。

また、神奈川県外に勤めている県民の所得等を含む、一人あたりの県民所得は319万9,000円です。ただし、この県民所得は企業の所得なども含むため、純粋に個人の所得水準を表すものではありません。

神奈川県の地域区分

神奈川県は、大きく横浜地域・川崎地域・横須賀三浦地域・県央地域・湘南地域・県西地域という6つの地域に分けられます。地域によって特徴がかなり異なるため、それぞれのエリアの概況を解説していきます。

横浜地域

中華街やみなとみらいなど日本有数の観光スポットを抱える横浜地域

約377万人(2022年9月1日現在)の人口を誇る、県庁所在地・横浜市からなる横浜地域。都心部には企業本社や商業施設が立ち並び、中華街やみなとみらいエリアといった多くの観光地を抱えている点が魅力です。

川崎地域
約154万人(2022年9月1日現在)の人口を抱える川崎市からなる川崎地域は、東京に隣接していることから、高密度な住宅地や商業地が広がります。東京湾沿岸には工業地帯もあり、通勤者も多くなっています。

横須賀三浦地域
県南東部の横須賀市、鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町を含む横須賀三浦地域。「海軍の街」として知られる横須賀市や、古都の歴史を感じられる鎌倉市、別荘地としても人気の高い逗子市・葉山町など、さまざまな魅力が混在するエリアです。

県央地域
県下第3の都市である相模原市のほか、厚木市、大和市、海老名市、座間市、綾瀬市、愛川町、清川村からなる県央地域。東京へのアクセスが良い郊外住宅地が広がる一方、北西部は相模湖をはじめ自然豊かな点が特徴です。

湘南地域
平塚市、藤沢市、茅ヶ崎市、秦野市、伊勢原市、寒川町、大磯町、二宮町から構成される湘南地域は、相模湾を望む人気エリアです。特に江ノ島周辺や大磯周辺は、首都圏からも近い観光地として知られます。

県西地域

自然豊かな県西地域(写真は金時山からの眺望)

県西地域は小田原市、南足柄市、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町、箱根町、真鶴町、湯河原町からなります。箱根や湯河原といった全国的にも有名な温泉地、小田原城などの人気観光地が多くあるエリアです。

広がる地域格差
人口減少社会にある日本のなかでも、利便性の高さから人口が増え続けている神奈川県。しかし、人口増加は東京へのアクセスの良い横浜地域や川崎地域、ブランド住宅地として人気の高い湘南地域などに偏っています。

横須賀三浦地域や県西地域では、一部を除き人口減少が続いており、地域格差が広がっている状況です。

神奈川県の魅力

エリアごとに多彩な表情を持つ神奈川県ですが、移住するとどのような魅力があるのでしょうか。ポイントを3つ紹介していきます。

都内への交通アクセスが良い
県内には東海道新幹線やJR東海道線・横須賀線、東急東横線・田園都市線、小田急線、京浜急行線、相鉄線、横浜市営地下鉄など多くの鉄道路線が走っており、都内への交通アクセスが良いのが魅力です。

また、相鉄線・東急線の相互直通運転、横浜市営地下鉄の延伸など、さらなる交通アクセスの向上も計画されています。神奈川県は、都内のオフィスに勤める人でも手軽に移住を検討できるエリアといえるでしょう。

遠くないところに豊かな自然

海も山も魅力にあふれる(写真は湯河原町のさつきの郷)

神奈川県は、移住・定住促進のキャッチフレーズとして「ちょこっと田舎でオシャレな神奈川で暮らそう」を掲げています。

横浜・川崎を筆頭とした大都市を抱えながらも、海・山・川といった豊かな自然が近くにそろっており、自動車や電車で少し行けば各種レジャーを楽しめるのも神奈川県の魅力です。

江ノ島や湘南、鎌倉、箱根、中華街・みなとみらいなど全国的に有名な観光スポットも多く、遠くに行かなくても充実した休日ライフを過ごせるエリアといえるでしょう。

子育てしやすい環境
都内へのアクセスが良く、都内に勤める家族連れの移住も多い神奈川県は「子ども・子育て支援推進条例」を定めるなど、「子どもを生むなら神奈川 子育てするなら神奈川」と思える県を目指し、子育て環境の整備の推進を図っています。

子育て応援施策の一例として、神奈川県では子育て世帯向けに「かながわ子育て応援パスポート」を発行しています。これは、パスポートを提示すると協力事業者・店舗が設定する優待サービスを受けられるという制度です。

神奈川県の移住支援

実際に神奈川県への移住を検討する際に活用したい、県内自治体が提供する移住・定住の支援策を紹介していきます。

住宅取得奨励金制度
人口減少が進む県西地域や県央地域の一部自治体では、自治体内で新たに住宅を取得した人に対して一定の奨励金を交付する、住宅取得奨励金制度が設けられています。

たとえば県央地域に位置する清川村では、全員が移住者である世帯が村内に新築住宅(村内業者が建築したもの)を取得した場合、最大100万円の奨励金が交付されます。また、中古住宅取得でも最大80万円の交付を受けられます。

このほか、箱根町は40歳未満の若者世帯が町内に住宅を取得した場合、取得費用の1/10(上限100万円)の補助が受けられるという制度を実施。松田町でも、町内で新たに住宅を取得した人に対し10万円の奨励金を交付しています。

空き家バンク
地方を中心に顕在化する空き家問題の解消に向け、空き家の所有者と空き家を必要とする人をつなぐ制度が「空き家バンク」です。

神奈川県においては、県西地域の小田原市・湯河原町・真鶴町が連携して組織する「県西空き家バンク連絡会」が同地域の空き家バンクを運営。そのほか相模原市、海老名市、三浦市、箱根町など県内の多くの自治体でも運営されています。

神奈川県へお得に移住したいという人は、空き家バンクの利用を検討するのもいいでしょう。

お試し住宅
神奈川県へ移住したいと思っても、知らない土地にいきなり定住するのはハードルが高いと感じる人もいるかもしれません。そうした移住希望者に向けて、県内の一部自治体では「お試し住宅」と呼ばれる制度を実施しています。

たとえば、大井町では町外からの移住を考えている人に向け、お試し住宅を2週間あたり2万円で最大8週間貸し出す移住体験を実施。山北町も、「ホタルの家」と名付けられたお試し住宅を2週間あたり2万円で最大14週間貸し出しています。

また、三浦市では「三浦トライアルステイ」と題し、お試し居住やイベント体験がセットになった移住希望者向けプログラムを実施しています。

まとめ

横浜市や川崎市、湘南地域などを抱える神奈川県は、都内へのアクセスの良さから東京圏の一部として認識されています。一方で、県央地域より西側の豊かな自然が残るエリアは人口減少が進んでおり、移住・定住促進支援に力を入れる自治体も多くなっています。

生活利便性をある程度確保しつつ、自然豊かな環境で暮らしたいという人は、「ちょこっと田舎でオシャレな神奈川」への移住を検討してみてはいかがでしょうか。