お客様駐車場が用意されているコンビニエンスストアなどで、「鍵の付けっぱなし」と「エンジン掛けっぱなし」の車を見かけます。

よく見る光景ですが、ふとした気持ちで起こした行為がトラブルへ発展する可能性があります。

「ちょっとだけなら」の気持ちがトラブルに?

「ちょっとだけなら大丈夫」との軽い気持ちで鍵を車内に放置したまま、エンジンをかけたままの状態で車をコンビニエンスストアの駐車場に放置すると、トラブルに繋がるケースがあります。

道路交通法(道交法)の第71条5号にて、「車両等を離れるときは、その原動機を止め、完全にブレーキをかける等当該車両等が停止の状態を保つため必要な措置を講ずること」との法律があります。

つまり、車の所有者は駐車場に車を置いたら、パーキングブレーキをかけてエンジンを停止し、車が発進しないよう措置をしてから離れなければなりません。法律を無視したら道交法違反となり、「停止措置義務違反」で違反点数1点、およそ5,000円から7,000円の反則金が課せられます。

あるコンビニエンスストアの駐車場での風景©長谷川 優人

「コンビニエンスストアの駐車場なら公道ではないから、道交法に関係ないのでは?」とお考えの人もいるでしょう。

しかし、公道ではない私有地でも道交法違反で責任を追及される可能性があります。道交法72条により、私有地でも交通事故が発生した際は最寄りの警察へ連絡すること、事故の状況報告が義務付けられているからです。

コンビニエンスストアやスーパーマーケットのお客様駐車場、コインパーキングなどは「不特定多数が出入りできる場所」に当てはまるため、道交法の対象となるケースが多いそうです。

例えば、「パーキングブレーキをかけずに、エンジンが動いている状態で車をコンビニエンスストアの駐車場へ放置している」としましょう。その駐車場に少し緩い傾斜がついていたら前後に車が動いてしまうかもしれません。

もし、車が勝手に動いて他車や歩行者と接触すればれっきとした交通事故となり、警察に連絡する義務が発生します。パーキングブレーキをかけずにエンジンが動いている状態で放置した経緯が判明すれば、道交法第71条5号の違反を追及されることとなるでしょう。

駐車場で起きたトラブル・事故は当人の責任

お客様駐車場の利用方法について、大手コンビニチェーンである「セブン・イレブン」のお客様相談担当よりお話を伺いました。

「店舗駐車場は、お買物をされるお客様のご利用、配送車両の利用を本来の使用目的として設置しております。 本来の使用目的以外の長時間駐車のお断り、アイドリングストップのご協力をお客様にお願いをしております。

しかしながら、駐車場の管理は、各加盟店の責任者が行い、対応を判断しております。

加盟店責任者に、お客様対応について指示や強制はできかねますが、マナー違反があった際には店舗を担当の弊社経営相談員より打ち合わせし対応を検討してまいります」とのこと。

コンビニエンスストアのお客様駐車場に掲示されている注意看板©長谷川 優人

また、他の大手コンビニエンスストアチェーンで店舗オーナーを務めている人は次のように語ります。

「エンジンをアイドリング状態で駐車場を利用するのはご遠慮いただきたい旨と、駐車場内でのトラブルは店舗側で責任を負わない点を看板による掲示で伝えています。

看板による掲示にとどめているのは、店舗側では責任を取らないという”意思表示”をあらかじめ行っておくことで、利用客とのトラブルを避ける意味合いもあります。

厳格にアイドリング禁止などと表記したり、いつでも動かせる状態で車から離れたりしている人を見かけても、注意・警告だけでは解決が難しいのが実情です。

そのため、何か事故が起こったとしても「あくまで当店は駐車スペースを提供しているだけ」というのは明記したい。

事故・事件を起こした当人が責任を負わなければならない点を理解していただきたいと思っています。」

©Nagahisa_Design/stock.adobe.com

店舗オーナーが語るように、店舗駐車場で起きたトラブルは、関わった当人が責任を負うのは、筆者も含めた利用者側の人々が把握しなければならないポイントでしょう。

鍵をかけず、かつエンジンが動いている状態で車を放置すれば、勝手に動き出してしまう可能性があります。もし、事故が起きても言い逃れはできないでしょう。

夏の暑さや冬の寒さで、エアコンを使って車内の温度を保ったままでいたい人も多いと思います。加えてキーを車内に残し、車を放置していれば、車両そのものの盗難被害に遭うかもしれません。

しかし、周囲との事故やトラブルを避けるためにも、鍵の付けっぱなしとエンジン掛けっぱなしの状態で車を離れるのは避けるべきでしょう。加害者・被害者にならないよう、駐車場の利用マナーを見直してみてください。