バスがウインカー出したら譲らないと「違反」!? 現役バス運転手が語る! やりがちな「妨害運転」の実態とは

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後続車が気をつけたいバスへの交通ルールとは

 街中には一般ドライバーが運転するクルマのほか、タクシーや路線バスなどさまざまなクルマが走っています。
 
 事故などを引き起こさないよう道路交通法に定められている通り、すべてのドライバーは交通ルールを守る必要があります。
 
 そんななか、一般道路を運転する路線バスに関して、広く周知がなされていない交通ルールがあるといいます。今回は、現役で路線バスを運転しているAさんに話を聞きました。

バスがウインカー出したら譲らないと違反!? (画像はイメージ)

 街中でたびたび見かける路線バスはあらかじめ設定された路線を、決められた時間に合わせて走行しています。

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 そんな路線バスには、あまり早いスピードで走行していないことからクルマを運転するユーザーのなかには走行速度が遅いなどと感じている人もいるかもしれません。

 路線バスの走行速度がゆっくりなのにはいくつか理由あります。例えば路線バスの座席にはシートベルトが設置されていないことです。

 これは道路運送車両の保安基準第22条の3によって規定されており、「専ら乗用の用に供する自動車であつて、乗車定員10人以上のもの(高速道路等において運行しないものに限る。)」は、「運転者席及びこれと並列の座席」にシートベルトを備えることとなっています。

 このため、バスの乗客用の座席にはシートベルトの設置が義務づけられていません。

 ほかにも、短いスパンで設けられた停留所に停車することから乗車下車が頻繁にあったり、立席定員も設けられているため、走行速度を落とした安全なスピードで走行しているといえます。

 そんななか、過去2022年1月に現役で路線バスを運転しているバス運転手のつぶやき(@busdriver_bot)さん(以下:バスの運転手Aさん)は以下のような投稿をSNSでおこないました。

「免許持ってる人でも知らない人多くて驚きなんですが、バスが発車の合図でウインカー出してたら後続車は譲ってくださいね!

 バスは図々しいとか強引だとかじゃなく、ちゃんと道交法で決まってることなんで!!!」

 バスの合図について、道路交通法第31条の2(乗合自動車の発進の保護)では、バスが発車でウインカーを出していた場合、周囲のクルマは譲る必要があると規定があります。

 仮に妨害した場合、乗合自動車発進妨害違反に該当し、違反点数1点、反則金6000円が科されます。

 しかし未だこの法令に関して広く周知されていないようで、路線バス運転手Aさんは、交通ルールに関する現状や実態について以下のように説明します。

「未だこの法令について認知されたという印象はなく、変わらずバスが優先されていないと感じています。

 路線バスはシートベルトもないので立っている人いて、なかにはお年寄りで立っている人もいます。

 そのため細心の注意を払って運転をしていますが、一般車のなかにはバスの目の前ギリギリに割込んで来たり、対向車がバスの直前で右折してきたり、停留所から発車しているバスをクラクションを鳴らしながら通過したりと、バスに急ブレーキを踏ませるような一般車なども目にすることがあります。

 2車線道路では基本的にバスは1番左車線を走っていることが多いですが、コンビニなどの店舗に入るためにバスの直前に割込んできてブレーキかけて減速して左折するクルマも多くいます」

 バスなどへの発進保護が法令で定められているものの、クラクションや追い越しなど、一部ドライバーの中で交通ルールを守れていないのが現状といえるでしょう。

 ではバスを見かけた際、一般ドライバーはどのような行動をするのが良いのでしょうか。

 これについてAさんは以下のように話します。

「運転している際にバスがいたらできるだけ『気をつけよう』という意識を持って、バスの発車を妨げ、急ブレーキをかけさせるようなことはしないよう心がけていただきたいです。

 また『意地でも追い越さなくちゃ!』ではなく、『発車するかもしれないから安全に近づいて大丈夫なら通過しよう』と思ってもらえると良いと思います」

※ ※ ※

 路線バスを見かけた際は、走行速度がゆっくりであっても追い越しなどをせず思いやりを持った行動を取るよう心がけましょう。