今夏、舞台『ざんねんないきもの事典 〜いきものたちの逆襲〜』に出演が決まっている小川菜摘さん。原作は累計発行部数470万部超えの、子どもに大人気のシリーズ。家族連れのお客さんで客席が賑わうことが予想されます。今回の舞台の意気込みから、小川さんの人生についてまで、たっぷりと語っていただきました。

『ざんねんないきもの事典 〜いきものたちの逆襲〜』小川菜摘さんインタビュー

仕事にも家庭にも全力でパワフルな小川さん。今回の舞台をとても楽しみにしていると笑顔で話してくれました。

夫の浜田さんとの子育てエピソードも<写真>

「今回は演出の村上大樹さんとご一緒できるのがなによりうれしいですね。私、村上さんが大好きなんです。脚本も演出も素敵で、村上さんの表現される世界観、いわゆるナンセンスが抜群に面白くて! 愛もたっぷりとつまっているんです。演出の仕方も、役者に自由にやらせていただけますし、一緒に組み立てていく作業も、本当に楽しみです」

●結婚後はテレビの仕事をメインにすることに

ここ数年、あらゆる舞台で大活躍している小川さんですが、結婚してからしばらく舞台の仕事をお休みしていました。

「結婚して、夫(ダウンタウンの浜田雅功さん)が大阪からでてきて、子どもができて…、私が舞台を今まで通りやっていたら、家庭が回らないな、と思ったんです。それで、テレビの仕事をメインにして、舞台だけお休みすることにしました」

芸能界に入ったいちばんの理由は、舞台がやりたかったから。そんななか、舞台の仕事を休むのは苦渋の決断だったのではないでしょうか。

「子育ては子育てで、楽しんでやれていたんですよ。絵本を読み聞かせるときなんかは、色々な声色でセリフを読んだり、必要以上に気持ちが入りすぎたり(笑)。『フランダースの犬』で、ネロがパトラッシュと天国に召されるとき、毎回号泣しちゃうんですよ。これ、周りの役者さんは結構同じこと言っているので、あるあるだと思います(笑)ちなみに夫の場合は、『むかし、むかし、あるところに、桃太郎がいました。今はいません(笑)。おしまい』ってやってましたけど(笑)」

役者の小川さんは絵本でお芝居をし、芸人の浜田さんはオチをつけ…、なんと豪華な子育てなのでしょう。

●50歳で舞台に復帰。背中を押してくれたのは役者仲間たち

そして、小川さんが舞台に復帰したのは50歳の頃。じつに26年ぶりの舞台となります。年齢を重ねてからのチャレンジは勇気のいることでもありました。

「復帰の背中を押してくれたのは、渡辺いっけいさんでした。ドラマでいっけいさんとご一緒していたとき、『菜摘ちゃんはさ、舞台やらないの?』と言われて。子どももある程度大きくなっていたのもあって、家族とも相談し、復帰しよう、と決心しました」

復帰のきっかけとなったのが、『500歳の会』という舞台。その当時50歳だった役者が10人出演するから、「500歳」。小川さんに声をかけた渡辺いっけいさんをはじめ、そうそうたる演者の揃った舞台でした。

「『500歳の会』の出演者が、渡辺いっけいさんに、池田成志さん、山西惇さん、深沢敦さんなど、とにかく演劇界のすごい方々ばかりだったんですよ。「ああ、もう、私、ダーメだこれ!」とたじろぎましたね。でも、演者の皆様が『僕たちが支えるから思いきってやればいい』と言ってくれたおかげで、楽しく演じることができました。

●年齢を言い訳にせず、いくつになっても前のめりに生きていきたい

当時のチャレンジから、今に至るまでについて、小川さんはこう語ります。

「歳だからとか、もう体力的にとか、そう言ってしまったらそこでストップだな、って。それ以来、年齢で言い訳せずに挑戦するようにしています。

3年前には、梅沢富美男さんの明治座の舞台に呼んでいただいて、なんとオープニングでセンターに立って芸者さんの姿で踊ったんです。日本舞踊なんて文学座時代にもちょっとしかやっていなかったので、猛特訓をして。最初はお扇子の使い方も全然うまくできなくて、本当にできるのか不安でしたが、死に物狂いで練習しましたね。そのおかげで仕事の幅も広がりましたし、この歳でまだ役者としての引き出しを増やせたことに、本当に感謝です。

もちろん若い頃よりは体力的にきついのは事実ですし、体のメンテナンスは必要ですが、前のめりに生きていこうと日々意識しています」

●なにもしたくない日は、お総菜やつくりおきに頼ることも

そんな忙しいなかでも、しっかりと家事をこなす小川さん。自身のブログにもたびたび料理の写真を載せています。

「家事のなかでもとくに料理は好きだから、意外とストレス発散になっていますね。でも、なにもしたくないな〜という日ももちろんありますよ。そういうときはお総菜やピザに頼ったり、余裕のあるときにつくりおきをしておいたのを使ったり。

どうしても気力がないときは、こっそり一人でゴディバのチョコレートを買ってきて食べて、3時間ぶっ通しで好きなドラマを見て、そういうことでチャージするとかね。もちろん、公演で家にいないときもありますから、夫婦で協力し合って家庭を回しています」

小川さんが今後目標にしているのは、『いくつになっても役者として声をかけていただくくことです』。

「劇場もジャンルも問わず、やっていきたいです。役者はどこの板に立っても役者だから、という心持ちでいたいんです。これは尊敬する女優・熊谷真実さんのスタンスでもあるのですが、私もそうありたいな、と。そうなれるように、いくつになっても自分を磨いていきたいと思っています」