2022年2月、名店ひしめく神楽坂の地に気鋭の鮨店が誕生。

風情漂うシックな佇まいで神楽坂の街に溶け込むが、オープン早々、鮨ツウから注目が集まっている。

新店にも関わらず、グルメな大人たちの間で大きな話題を呼んでいるのは、なぜなのか?その魅力に迫った!



※コロナ禍の状況につき、来店の際には店舗へお問い合わせください。


日本最高峰の店で研鑽を積んだ大将が魅せる、大器の片鱗

看板ネタの「ハチノミ」。食べ疲れないよう赤酢2種に梅酢を配合するなど、シャリにも気遣いがにじむ


店の裏手は東京理科大という、神楽坂の中でもこの上なく静かな立地で、なおかつ路面店。

物件難といわれるご時世に、奇跡とも言うべき場所で最高のスタートを切ったのは、『一宇』の大将、36歳・濱野紘一氏だ。

新鋭といってもキャリアは十分。『赤坂 菊乃井』、『銀座小十』を経て、熊本の星つきの鮨の名店『仙八』で修業を積んだ猛者なのだ。


経験に裏打ちされた完成度高きひと品に、身を委ねる幸せたるや

静謐な佇まいからも濱野氏のこの店にかける情熱がうかがえる


和食から鮨の世界へシフトしたきっかけは、「ネタとシャリのみでうまいという、究極なまでのシンプルさに惹き込まれてしまったから」。

『一宇』の看板として勝負するネタはマグロの脳天、「ハチノミ」。藁焼きで薫香をまとわせ、軽く漬けにした握りは、赤みの濃厚さと大トロの脂、両方を堪能できる稀有な一貫だ。

また、「熊本時代に天草で出会った小魚の魅力も伝えたい」と、鮨になってこそ活きる素材とも積極的に向き合っている。

コース序盤を彩る一品料理も、確かな和の技術に支えられながらも、新たな息吹きを感じさせるに十分。

若き鮨職人の挑戦は、始まったばかりだ。




メニューはおまかせコース(19,800円)のみ。

この日の一品料理は、坦々豆乳仕立ての「鶏団子」。神楽坂の老舗『かつのとうふ』の豆乳を使うなど、“地産地消”でのもてなしが心憎い。




飲食業不可の物件だったが、熱い想いを手紙にしたためてオーナーに直訴し、特別に許可を得たそう。

檜のカウンターなど和の設えでありながら、床にはテラコッタタイルを使うなど、温もりある雰囲気。

同世代の陶芸家、福村龍太作の皿も空間の美しさに貢献している。



神楽坂らしさのある、静謐でいてハイセンスな新店。

鮨好きの大人の“とっておきの一軒”になること間違いなしだ!

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