ガーデニングの後に目のかゆみを訴えて医師の診断を受けた男性の目から、「うごめくハエの幼虫が10匹以上も摘出された」というおぞましい症例が、医学誌のニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに報告されました。

External Ophthalmomyiasis Due to Oestrus ovis | NEJM

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm2115416

A dozen squirming fly larvae cause man's 'itchy eye' | Live Science

https://www.livescience.com/fly-larvae-eye

症例報告によると、フランスに住んでいる53歳の男性はウマやヒツジを飼育する牧場の近くでガーデニングをしていた時、何かが目に入ったように感じたとのこと。男性はその後、数時間にわたって右目のかゆみを感じ続けたことから医師の診察を受けました。

そして医師が目の検査を行ったところ、目の結膜と角膜に「12匹以上の生きているハエの幼虫」がうごめいていることが判明したとのことです。

以下の画像をクリックするとモザイクが外れて、実際に目の表面をうごめく2匹のハエの幼虫が確認できます。幼虫は結膜や角膜を活発に動き回っており、これが男性の目にかゆみを引き起こしていたというわけです。



発見されたハエの幼虫は、ヒツジやシカの鼻に寄生する「Oestrus ovis(ヒツジバエ)」の一種であることが判明しました。ヒツジバエはヒツジやシカなどが生息する世界中の地域に分布しており、時には宿主動物ではないヒトに寄生する事例も報告されています。



この状態を治療する唯一の方法は「物理的に幼虫を除去する」ことしかないため、医師は鉗子(かんし)で目から幼虫を除去しました。また、ヒツジバエの幼虫は頭部に「体から抜け落ちないようにするためのフックや突起」を持っており、男性の角膜に損傷を引き起こした可能性があったとのことで、男性には局所的な抗生物質も処方されました。

10日後のフォローアップ検査では、男性の症状は無事に解決していたと報告されています。