心のイライラやモヤモヤを解消する「FAP療法」とは

写真拡大

上司と部下との板挟みになって人間関係で悩んでいる。
心のモヤモヤ感が無くならない。
漠然とした不安や恐怖を抱えている。

など悩みの解決方法として、PTSD治療や医療、カウンセリングの現場で今注目されているのが「FAP療法」だ。

『本当の私よこんにちは FAP療法で過去を手放し「今」を生きる』(大嶋信頼、米沢宏、泉園子著、青春出版社刊)では、しつこい不安・恐怖、イライラ、人間関係のしがらみなどに効く「指押し」を使った心の傷の治療法である「FAP療法」を紹介する。

■感情が指先にあらわれる FAP療法の特徴

FAP治療法の大きな特徴は、「単純でない、複雑にからみあった感情を一度で把握できる」ことにある。

自分(カウンセラー)と相手(クライエント)は脳のネットワークでつながっている。また、自分の脳と内臓はつながっているため、クライエントの抱えた感情が原因でカウンセラー側に不安やストレスに由来する下痢などの不調が出ることがある。すると、内臓とつながっている「指先」にも反応が出る。指先の反応から「クライエントの感情」を把握することで、クライエントの複雑な感情が統合される。そして、クライエントが「どうでもいいか」と思えるようになり、短期間で解放されていく。本書によると、これがFAP治療の仕組みだという。

このFAP療法の仕組みを体系化していく中でわかることは、心的外傷にはいくつかの指のパターンがあり、それまで解決できなかった複雑な感情も、押さえる指の順番を変えることで統合できること。指先に反応が出るというのは、少しわかりにくいかもしれない。親指は身体的苦痛、人差し指は憎しみ、恨み、中指は孤独、薬指は見捨てられ不安、小指は怒り、というように、5本の指にはそれぞれ感情が出るのだという。

本書では、1分間で気持ちがスッキリしていく指押しの方法を紹介している。それは、何か「ムカつく」「嫌だ」「悔しい」といった不快感がわいてきたときに、手の指を押さえながら、頭の中で「〇〇が気になる」と4回唱えてみる、という方法だ。

たとえば、「夫のことがムカつく」という女性の場合は、まず、小指を押さえながら、頭の中で「夫のことが気になる」と4回唱える。終わったら、頭の中で「夫のことがムカつく」と思ってみる。小指は「怒り」の感情なので、ムカつきが消えれば、夫に対して怒りがあったんだとわかる。小指を押さえてもムカつきが消えなければ、ムカつきの正体は怒りではないことがわかる。

というように、順番に指の感情と照らし合わせながら、手の指を押していき、原因を探っていく。指を押さえて「〇〇が気になる」と4回唱えて、ムカつきがおさまれば、夫に対してどんな感情を抱いていたかがわかるのだ。

指押しによって記憶が適切な感情と結びつくと、過去を引きずったり、感情に振り回されることもなくなる。すると、「たいしたことはないかも」と気持ちが変わっていくという。

思いもよらないところに実際の本音が隠れていることが、指の反応を確認することでわかり、人生を変えるツールにもなるというのがFAPだ。本当の自分を知るためにも、FAPを実践してみてはどうだろう。

(T・N/新刊JP編集部)

【関連記事】

「疲れる組織」と「疲れない組織」は何がちがうのか?
名門スタンフォードで教える「自己肯定感」の育て方