美しい宝石の動画。晶洞(ジオード)の中には、紫色に輝くアメシストが映っていますが、実はこれ、本物の宝石ではありません。じゃあガラスかプラスチック?と思いがちですが、こちら実は何と「石鹸(せっけん)」なんです。

 ツイッターユーザーのpaper.mulberryさん(@papermulberry1)(以下、マルベリーさん)が制作した、本物の宝石にしか見えない「宝石石鹸」が注目をあつめています。

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 マルベリーさんは宝石石鹸作家として活動しながら、作り方のワークショップなども行っています。現在はコロナ禍の影響から活動の制限を余儀なくされており、出来た時間は作品作りにあてられています。

 気の向くまま欲しい石や作りたい石を透明石鹸という素材で作り、SNSで発信することを楽しんでいるとのこと。作品の販売は行っていません。

 今回のジオードに入ったアメシストも、そんな「気の向くまま」制作した作品のひとつ。丸いジオードに入った鉱物を模した石鹸を制作するのは初めての試みで、制作中はどんな作品にしあがるのかドキドキが止まらなかったそうです。

 作品づくりは作りたい石の画像や動画を探すところからスタート。アミノ酸の粉などからアミノ酸ソープ素地を作り、それができたら必要な量だけ切り取り、色付けという手順でおおよそ5時間で制作しています。

 今回は「インドのカダクワニ産アメシスト」をモチーフにしましたが、現物(本物)よりもシャープな形にして、アメシストだとわかりやすくアレンジ。ジオードの断面も本物の岩っぽく見えるよう、試行錯誤を繰り返したとのこと。

 見た目は本物の鉱物そのものなのですが、素材は硬度の低い石鹸。硬度のあるものを柔らかい材料で表現するには苦労がついて回るそうです。「でも作っている時やできあがった時のワクワクドキドキ感は癖になります」とマルベリーさんは言います。

 制作技術の粋を集めて制作した作品は、どう見ても本物の宝石のような出来栄え。作品には「本物かと思いました」「えっ?石鹸?本物以上に素敵!」と驚きの声が多数寄せられています。

 しかしながら「ジオードの断面もアメシストも、もっと完成度を上げられると反省しきりです」と、マルベリーさん。自身の技術や作品の出来栄えに、まだまだ満足はしていない様子で、制作を振り返っていました。

 ちなみにできあがった作品は専用のプラスチックケースに入れて、本物の鉱物標本と同様、紫外線による褪色を防ぐために日の当たらない棚の中で保存。コレクションとして時々眺めて楽しんでいるそうです。こうしてみると、ますます本物の宝石にしか見えませんね。

<記事化協力>
paper.mulberryさん(@papermulberry1)

(山口弘剛)