ポスティング制度でメジャー移籍を目指している鈴木誠也は、本来であれば移籍先はもう決まっていただろう。

 鈴木はすでに8〜15球団と接触していることが、代理人のジョエル・ウルフ氏によって明かされている。しかし、12月2日(現地時間:以下同)から始まった、オーナー側による球団施設のロックアウトは継続しており、選手の移籍交渉も中断されている。


ロックアウトにより、移籍交渉がストップしている鈴木

 鈴木の交渉期限も、当初の12月22日の東部時間午後5時から延期され、交渉期限はロックアウト明け後から20日間は伸ばされる。ただ、スポーツメディア『ジ・アスレチックス』によれば、オーナー側と選手会で話し合いが続く新労使協定の交渉は、来年の1月まで続く見込みだという。鈴木の移籍交渉もいつ再開されるのかはわからない。

 しかし、アメリカの各メディアは、鈴木の移籍先を予想する記事を日々掲載している。12月20日までの情報では、マリナーズ、レッドソックス、ヤンキース、ブルージェイズ、レンジャーズ、フィリーズ、ジャイアンツ、ブレーブスが候補先に挙がっているようだ。

 なぜ、これらの球団が鈴木の移籍先だと目されているのか。各メディアが語るそれぞれの予想を見ていきたい。

 まずはマリナーズ。同球団は、比較的早い時期から鈴木に興味を示していた。マリナーズの専門メディア『ルックアウト・ランディング』も11月3日の時点で、「鈴木と契約できれば外野は(攻守共に)劇的にアップグレードされる」と述べるほど、期待が寄せられていた。

 また、マリナーズが鈴木を望む理由は他にもある。それは、1998年から今季まで、四半世紀近くにわたる日本人選手の連続在籍記録の継続だ。このことは、地元紙の『シアトル・タイムズ』でも取り上げられ、マリナーズのジェリー・デュポットGMも「日本人選手なしでシーズンを迎えるつもりはない」とメディアに明かしている。これが本心であるかはさておき、マリナーズはすでに鈴木とオンライン面談を行なっている。この情報は、のちに紹介するどの球団よりも早かったことから、マリナーズの本気度が伺える。

【レッドソックスも有力だが......】

 一方で、「レッドソックス、ヤンキース、そして、ブルージェイズが鈴木の獲得に積極的に動いている」と、『ボストン・スポーツ・ジャーナル』が12月4日付の記事で伝えている。中でも、同メディアの地元であるレッドソックスはかなり有力と目されているようだ。右翼手のハンター・レンフローをトレードで放出したことに加え、今季途中にナショナルズから加入し、右翼手としても起用されていたカイル・シュワーバーもFAとなっていることが理由だ。

 別の地元メディア『CBSスポーツ・ボストン』も、「(鈴木は)レッドソックスの右翼手を5年任せられる可能性がある」とコメント。鈴木の守備力と強肩(5度のゴールデングラブ賞や今季セ・リーグ最多の13補殺記録)に期待を寄せる。ただ、鈴木にはメジャーでの実績がなく、契約金も6000万ドル(約68億円)以上とも言われていることから、同メディアはほぼ同額となるシュワーバーとの再契約も進言していた。

 鈴木とシュワーバーのいずれかを狙っている球団は他にもある。レンジャーズだ。このことは、地元紙『ダラス・モーニングニューズ』の12月11日付のコラムで言及されている。

 今季ア・リーグ西地区で最下位に沈んだレンジャーズは、11月29日までに、FA選手と総額5億6120万ドル(約637億9160万円)の超大型契約を結び話題となった。補強はまだ終わっておらず、今後は外野手の獲得が予想されているが、それほど大きな投資はしないようだ。そういった条件から、コラムでは「鈴木とシュワーバーが(予算的に)適している」と述べられている。ただ、「レンジャーズは左打者を必要とするかもしれない」とも書かれており、シュワーバーの交渉が優先される可能性も示唆されていた。

 他に鈴木の獲得に積極的だと噂されているヤンキースやブルージェイズについては、今のところ情報は少ない。特にヤンキースはすでに外野陣が埋まっている状態だ。それでもヤンキースの専門メディアは鈴木の獲得を進言するコラムをいくつも出しており、スポーツ専門メディア『オーダシー』も「ヤンキースは鈴木に興味を持つかもしれない」と、その動きに注目している。

【契約金が1億ドルに?】

『オーダシー』では、フィリーズについても言及している。鈴木はリードオフマン、あるいは今季ナ・リーグMVPに輝いた、ブライス・ハーパー外野手に続く打者としての役割が期待できると書かれている。これまでフィリーズが候補先に挙がったことはなかったが、同記事は「(鈴木は)彼らのリストの上位にいるはずだ」と予想している。

 ただ、鈴木にとって、フィリーズは「ふさわしくない」とも言われている。これは球団OBのトレバー・プルーフ氏がラジオで語っていた話で、フィリーズの専門メディア『フィリーズ・ネイション』がその詳細を紹介した。

 それによれば、フィリーズファンはヤンキースファン以上に残忍で、メジャー1年目の選手には厳しい環境になる、と書かれている。同記事はプルーフ氏の発言に「馬鹿げた話だ」と反論しているが、鈴木はプレー環境も条件のひとつに挙げている。フィリーズについては、それらも含めて動向に注目したい。

 最後はジャイアンツだ。『NBCスポーツ』は12月16日、『MLBネットワーク』のジョン・ヘイマン記者の「ジャイアンツやマリナーズを含む西海岸の球団が、鈴木の獲得戦に参加している」という発言を基に、同球団にとって鈴木はどのような魅力があるかを紹介した。それによれば、ジャイアンツは外野の層を厚くはしたいが、大型の補強は望んでいないとのこと。その条件の中で、契約金が6000万〜7000万ドルといわれている鈴木は、「球団の希望に適合している」というのが同メディアの主張である。

 しかし、12月17日以降、「鈴木の契約金は1億ドル(約11億円)になるかもしれない」という予想が現地メディアから出ている。そうなれば、「ジャイアンツは獲得を諦めるかもしれない」と前述の『オーダシー』は述べており、ジャイアンツがどう動いていくのか気になるところだ。

 ここまで紹介してきた球団はどこも、来季ポストシーズン進出の可能性があり、鈴木が希望する「勝てる球団」という条件には合っている。ただ、交渉に参加している球団はまだあるようなので、鈴木はこれら以外を選ぶかもしれないし、契約金次第では今後交渉から降りる球団が出てくる可能性も否定できない。実際、スポーツ専門メディアの『ファンサイデッド』は「鈴木が1億ドル以上ならば必要はない」と論じ、ブレーブスに争奪戦からの撤退を進言している。

 いずれにせよ、交渉が再開されれば、その詳細は続々と明かされていくだろう。はたしてどの球団が鈴木を射止めるのだろうか。現地の報道とともに、各球団の動きには引き続き注目していきたい。