イギリス・ケンブリッジ大学の研究チームが、80%が水にもかかわらず車にひかれてもたちどころに元の形状に戻るという「スーパーゼリー」を開発しました。このスーパーゼリーは、膝の軟骨の代替物として活用できると期待されています。

Highly compressible glass-like supramolecular polymer networks | Nature Materials

https://www.nature.com/articles/s41563-021-01124-x

‘Super jelly’ can survive being run over by a car | University of Cambridge

https://www.cam.ac.uk/research/news/super-jelly-can-survive-being-run-over-by-a-car

'Super jelly' that can survive being run over by a car could replace cartilage in worn-out knees

https://www.telegraph.co.uk/news/2021/11/25/super-jelly-can-survive-run-car-could-replace-cartilage-knees/

実際にスーパーゼリーの性能を実証するムービーが以下。

‘Super jelly’ can survive being run over by a car - YouTube

はんぺんのように見える白い物体がスーパーゼリー。



このスーパーゼリーを動かないように銅板で挟んで……



1200kgの車両でひきます。研究チームいわく、スーパーゼリーは「計算上は象に踏まれても問題ナシ」だそうですが、ムービーでは「象が手に入らなかったため車を使っています」とのこと。



ひく回数は一度ではなく、車を前後に移動させて何度も何度もひいています。



実験終了後、銅板を持ち上げると……



そこには実験前と変わらない姿をしたスーパーゼリーが。



スーパーゼリーは圧力をかけられても押しつぶされ変形することがない、超硬質の飛散防止ガラスのような非常に高い強度を示すハイドロゲル。ハイドロゲルは靱(じん)性や即時回復性を備えることから研究対象として人気が高い材料ですが、基本的には柔らかい質感です。圧力に対して高い強度を持たせることは困難とされていましたが、ケンブリッジ大学のZehuan Huang氏らはククルビットウリルという架橋剤を用いて、伸縮性と対圧縮性という相反する2つの性質を持つハイドロゲルを実現。水分含有量が80%のハイドロゲルは通常ならば圧力がかかると風船のように破裂するところを、象に踏まれても形状を保たせることに成功しました。

スーパーゼリーは柔らかいロボットを扱う研究分野「ソフトロボティクス」において有望視されているだけでなく、軟骨の代替物にもなり得ると期待されています。