左から「ニッカ カフェジン」、「ボンベイサファイア」、「ボビーズジン」 | 食楽web

 すっかり秋めいてきて、食欲も酒欲も増す季節に突入しましたよね。やっと、飲食店で楽しむこともできるようになりましたが、このコロナ禍で家飲みを楽しむ人も多くなりました。

 前回は「ラムの楽しみ方」をご紹介しましたが、今回は「ジン」の楽しみ方を、都内で若いクリエーター達に人気のバー『LOBBY』さんに聞いてきました。

「最近はクラフトジンが流行り、居酒屋飯と合わせるのが人気だけど、飲み方のバリエーションが広がる1本はどれ?」。そんな疑問にお答えするとっておきの「ジン」と、相性抜群のお料理をご紹介させていただきます。

ジン初心者にオススメする王道の1本はこれ!

「サファイアジントニック」1100円、「〆のルーローハン」900円(すべて税・サービス料込、チャージなし)

 まずご紹介するのは、プレミアムジンの王道「ボンベイサファイア」。このサファイアブルーの美しいボトルを見たことがある人も多いのではないでしょうか?

 10種類のボタニカルが原料となっており、グラスに注いだだけで「カクテル?」と思うほど複雑で華やかな香りがします。「『ボンベイサファイア』は香りが豊かな割に、味わいは正統派でバランスがいい。 ルーローハンのようなスパイスを使った料理との相性が抜群ですね」と話すのは、『LOBBY』の経営母体である「and Supply」の倉嶋歩さん。

 早速、倉嶋さんイチオシの『ボンベイサファイア』を使った「ジントニック」と「ルーローハン」をいただいてみました。

シンプルだけど内装にこだわった店内は居心地がいい。バーカウンターではフレンドリーな店員さんとの会話も楽しめる

「ルーローハン」の豚肉はゴロゴロと食べ応えがあるのに柔らかく、五香粉のスパイシーさが心地よい一品。お酒のおつまみとしても負けないパンチのある味わいです。

 そこに、サファイアジントニックを流し込むと、口の中で2つの味わいが融合していくのが分かります。それもそのはず。「ボンベイサファイア」には五香粉の原料である甘草やカシア(肉桂)が含まれており、原料のボタニカルに共通点があるのです。まるで前世から一緒だったような運命的な出会い。思わずジントニックをおかわりしてしまうほど、絶品の組み合わせでした。

セカンドジンにおススメ! ボビーズジンを使った「ジンソニック」

 次にご紹介するのは、ジンを飲みなれてきた人におススメな「Bobby’s Gin(ボビーズジン)」。こちらはジン発祥の地・オランダが原産国で、世界中のバーテンダーに支持されている本格派です。ジュニパー、レモングラス、シナモン、クローブ、コリアンダーなど多数のフレーバーを付けたスピリッツをブレンドしているので、複雑な味わいながらもレモングラス由来のハーブが爽やかに香ります。

「Bobby’sジンソニック」1100円、「ハーブ香るソーセージのオーブン焼き」1200円

 こちらには「ハーブ香るソーセージのオーブン焼き」がオススメ! ペアリングにはボビーズジンをトニックウォーターとソーダで割った「ジンソニック」を。オレンジスライスとクローブを入れ、柑橘とスパイスの香りマシマシでいただきます。

 オーブンで焼き上げた熱々のソーセージの肉汁も、柑橘香る「ジンソニック」が洗い流してくれるので後味は爽やかです。ちなみにオレンジスライスとクローブを入れたレシピは「ボビーズジン」が推奨している飲み方なのだそう。このレシピを知っておくだけで、「ジン通」を語れますよ!

玄人好みの1本。中華や和食にベストマッチの「ジン」とは?

「ニッカ カフェジン ジンソーダ」1100円、「冷製よだれ鶏」650円

 最後にご紹介するのは、ウイスキーでお馴染み『ニッカウヰスキー』の「ニッカ カフェジン」。こちらはニッカウヰスキーがウイスキーづくりに使用する旧式の蒸溜機「カフェ式連続式蒸溜機」でつくられたもの。1830年頃に開発された機械だそうで、今ではこれを使っているメーカーは世界でも稀有な存在なんだとか。

 まず原液をテイスティングさせてもらったのですが、驚くのはその香り。あの鰻や焼き鳥の上にかける「山椒」の香りがとても強い! この香りだけで鰻重が食べられそうな強烈な山椒香です。

「『ニッカ カフェジン』は山椒や柚子などの和素材の香りがユニークなので、シンプルにソーダ割りがおススメです。和食やシンプルな中華料理など、日本の食卓に合わせた味に設計しているのでしょうね。当店では山椒の効いた『冷製よだれ鶏』との相性が抜群なんです」と倉嶋さん。

 早速「冷製よだれ鶏」をいただいてみると、ジューシーな鶏むね肉にピリ辛でスパイシーなタレが絡み合い、食欲が刺激されます。そこに、ニッカ カフェジンに粗びき山椒を追い増しした「ジンソーダ」をいただくと、香りとスッキリした味わいがベストマッチ! このジンソーダに出会えたことに感謝の念すら沸いてくる美味しさです。鰻や焼き鳥はもちろんのこと、山椒が合いそうな和食とのマリアージュをもっと試してみたくなりました。

 ジンには様々なボタニカルやハーブが使用されているので、ハーブやスパイスを使った和洋中どの料理とも相性が良さそうです。今回のマッチングを体験してみて、食中酒として一番優れているのは「ジン」なのではないか? と思った著者。ぜひ、お気に入りのジンと共にいろんなマリアージュを楽しんでみてください。

(撮影◎岩切卓士 取材・文◎Tomoko)

●SHOP DATA

LOBBY

住:目黒区東山3-6-15 エビヤビル1F
TEL:03-6303-4814
営:火~木曜19:00~0:30(0:00L.O.)、金曜19:00~1:00(0:30L.O.)
休:日・月曜
https://www.instagram.com/lobby_ikejiri/

●著者プロフィール

Tomoko
ソムリエ/フードコーディネーター
大手酒類メーカーに20年以上勤務。外食大好き、お酒も大好き。“勉強”と称し、訪れたお店の数は2500軒以上にわたる。「酒感(さけかん)」(お酒を飲む雰囲気が滲み出ている)のある店を好み、ファサード(店構え)を見れば良店かどうか見分けられる驚異の嗅覚を持つ。「酒感(さけかん)」の真骨頂は「BAR」ということで、都内「BAR」もかなりの数を巡っている