茂木氏&田端氏、岸田ショックに言及「このままだと…」

写真拡大

10月6日にかけて大幅に続落した日経平均。岸田新政権の政策が株式に影響しているのではないかと話題になっています。茂木健一郎氏と田端信太郎氏もTwitterで言及しました。なぜ日経平均はここまで下落したのでしょうか。

日経平均が大幅下落 「新しい資本主義」が原因か

国際ニュース通信社ロイターの報道(※1)によると、「6日の東京株式市場で、日経平均は大幅続落となった。前日の米株高に連動し反発して始まったものの前場中盤から軟化。前日比で387円高から528円安まで急低下し、取引時間中の値幅は916円と乱高下の展開だった」とのこと。

大幅下落の理由として、“新政権の経済政策は、首相が就任会見で述べたように成長と分配を両輪とした「新しい資本主義」を目指すというものだが、現時点では、金融税制をはじめ具体的な施策は分配に関するものしか聞こえてこない”「分配だけでは経済が頭打ちになると考えられ、成長に関して具体的なシナリオが明らかにならなければ、株価が上値追いに転じるのは難しいと考えられる」と述べられていました。

岸田政権の発足後、連日株価が続落した理由は複数考えられますが、岸田政権が提唱している「新しい資本主義」で、金融所得課税を現行の一律20%から引き上げると明言したことは一因でしょう。

日本は所得が多いほど税率が高くなる累進課税制度が導入されています。しかし、株式などの金融商品は所得や資産の量に関わらず金融所得税が一律20%だったことで、1億円以上の所得を持つ富裕層は税負担が下がるという傾向にありました。

それを打破する目的として掲げられた政策のようですが、個人投資家の育成を阻むとして懸念の声も上がっているようです。

新自由主義の失敗にみる「新しい資本主義」の行方

岸田首相が、「新自由主義」を見直し、「新しい資本主義」を目指すことは歓迎したいが、日本では、そもそもその「新自由主義」自体が、自由な競争や市場原理とは程遠い中途半端なものであったことは、今後の日本を考える上での反省材料としたい。

- 茂木健一郎 (@kenichiromogi) October 6, 2021https://platform.twitter.com/widgets.js

茂木氏はTwitterで、“岸田首相が、「新自由主義」を見直し、「新しい資本主義」を目指すことは歓迎したいが、日本では、そもそもその「新自由主義」自体が、自由な競争や市場原理とは程遠い中途半端なものであったことは、今後の日本を考える上での反省材料としたい”とコメント。

本来、新自由主義を徹底するならば、すでにポジションを得た企業、既得権を持つ人たちもまた、チャレンジの対象にならなければならなかったが、むしろ、政治的な文脈などによって強化された人たちの立場が強まる方向に働いたのが日本的な「新自由主義」の欠陥、限界だったように思う。

- 茂木健一郎 (@kenichiromogi) October 6, 2021https://platform.twitter.com/widgets.js

さらに、“本来、新自由主義を徹底するならば、すでにポジションを得た企業、既得権を持つ人たちもまた、チャレンジの対象にならなければならなかったが、むしろ、政治的な文脈などによって強化された人たちの立場が強まる方向に働いたのが日本的な「新自由主義」の欠陥、限界だったように思う”とも考察しています。

新自由主義を徹底せず、雇用の流動化などの施策が、すでにポジションを持っている人、あるいは新たにポジションを得た人たちの立場、利益を強化する方向にだけ働く傾向があったことが、日本の試みの限界だったように思う。GAFAに相当する新企業が生まれるというよりは、ポジション強化につながった。

- 茂木健一郎 (@kenichiromogi) October 6, 2021https://platform.twitter.com/widgets.js

そして、「新自由主義を徹底せず、雇用の流動化などの施策が、すでにポジションを持っている人、あるいは新たにポジションを得た人たちの立場、利益を強化する方向にだけ働く傾向があったことが、日本の試みの限界だったように思う。GAFAに相当する新企業が生まれるというよりは、ポジション強化につながった」と分析し、日本における新自由主義がもともと利益を得ていた人たちに有利に働く傾向にあったとしました。

また、日経平均の下落について田端氏もTwitterを更新。

株式市場ボロボロやんか。まあ、百歩譲って、株式譲渡益課税するのは、所得額の区分次第で、まあ、いいけど、せめて儲けさせろよwww。

このままだと税率アップして税収ダウンするぞ、このヤロー。選挙で立憲民主党に入れちゃうんだゾ

- 田端@転職ブートキャンプ開校! (@tabbata) October 6, 2021https://platform.twitter.com/widgets.js

「株式市場ボロボロやんか。まあ、百歩譲って、株式譲渡益課税するのは、所得額の区分次第で、まあ、いいけど、せめて儲けさせろよwww。このままだと税率アップして税収ダウンするぞ、このヤロー。選挙で立憲民主党に入れちゃうんだゾ」と非難。

金融所得課税の税率が上がれば投資家の利益が減ってしまうため、日本の株式への投資を控える動きが生じるのではないかと示唆しました。

茂木氏と田端氏のコメントは、どちらも岸田氏が掲げる経済政策に疑問を呈するものでした。政府は2003年から「貯蓄から投資へ」というフレーズを掲げてきたにもかかわらず、このような投資を抑制するような政策は矛盾が生じているように思えます。実際に株式にも大きな影響が生じていることから、市場からも方向転換が求められているように感じられます。

投資ではなく貯蓄や資産をベースに課税したり、労働の立場が弱い人を守る政策を取り入れたりするなど、全体としてバランスの取れた見方をしていく必要があるのではないでしょうか。

※@kenichiromogi/Twitter
※@tabbata/Twitter
※1 日経平均は大幅続落:識者はこうみる/ロイター
※yoshi0511/Shutterstock