輸入菓子の量り売り店「SWEET-FACTORY(スウィートファクトリー)」を運営する(株)スウィートファクトリージャパン(TSR企業コード:200306820、東京都、以下スウィートF)。甘いお菓子で人々を幸せにするはずの会社で、いま異変が起きている。
 給与が遅配する中で勤務を続けていることを従業員自ら公表し、店舗の存続危機を訴え、最後の望みとしてクラウドファンディングを4月20日まで実施した。ところが、目標金額に届かず、全店を休業したことがクラウドファンディングサイト上で明かされている。
 それによると、新型コロナに端を発した経営不振で資金不足に陥ったほか、「取引先お菓子問屋の倒産」でグミなどの仕入ができなくなり、商品販売数が激減した。このため、クラウドファンディングで200万円の支援を呼び掛け、仕入代金に充当するとしていた。
 だが、東京商工リサーチ(TSR)の取材では、スウィートFはコロナ禍の数年前から経営不振に陥り、一部の支払いがすでに滞っていた。
 クラウドファンディング募集中に、店舗が休業する異例の事態を取材した。


クラウドファンディングの背景

 スウィートFは、菓子の量り売りを手掛け、主要都市を中心に直営店やFC店を展開し、オンラインショップでも販売していた。カラフルで動物や果物、花などをかたどったグミやキャンディー、チョコレート、ラムネ、クッキーなどの輸入菓子を扱っていた。
 店舗では常時60〜100種類の菓子を取り揃え、2017年頃には年間売上高約10億円をあげていた。
こうしたなか、2021年3月20日になって、コロナの影響で店舗存続が危ぶまれるとして池袋店、横浜店の店長を中心に、クラウドファンディングサイトで資金調達を開始した。目標金額は200万円、募集期間は4月20日までの1カ月間としていた。
 スウィートFの輸入菓子の仕入れ先だった米国の菓子卸会社が新型コロナの影響で倒産し、商品数が10〜20種類に激減したと説明。商品不足だけでなく、外出自粛や休業に伴う大幅な売上減少で、仕入資金を調達することになったという。両店の店長は、「五感で楽しめる量り売りの楽しさを伝え続けたい。このプロジェクトが店舗存続をかけた最後の望み」と訴えていた。

‌たくさんの菓子が並ぶ店舗(19年12月撮影)

 クラウドファンディングについて、スウィートFの公式SNSでも大々的に宣伝。給与遅配を受けながらも、なんとか店を残したいという従業員の思いを伝えていたが、実際は新型コロナの感染拡大前からスウィートFの経営はひっ迫していた。数年前から売上は落ち込み、資金繰りに窮していた。
 複数の関係者は「数年前から取引先への支払いが滞り、事業の再建の道筋も立たない状況が続いていた」と語る。

不信感が残る対応

 クラウドファウンディングでは100名近くの支援者から約60万円を集めていた。だが、募集期間終了を目前に控えた4月13日、突然オンラインショップが止まり、同15日には池袋店が急遽閉店した。
 翌16日に横浜店を訪ねると、新型コロナの感染拡大対策として臨時休業に入っていた。クラウドファウンディングの今後の方針については、「プロジェクト成立時に発表する」と掲載した。支援者の一人は「応援していた横浜の店舗が突然閉鎖し、説明不足で不信感しかない」と怒りを隠さない。
 この件に対しスウィートFの本社に問い合わせたが、4月21日現在、電話の応答がない状況が続く。本社を訪問するとレンタルオフィスで、入り口で呼び出すが、応答はなかった。
 スウィートFが利用した(株)CAMPFIRE(TSR企業コード:298572290、渋谷区)が運営するクラウドファンディングサイトには、スウィートFから支援募集に至った経緯が掲載されている。ただ、コロナ前から支払いが滞り、トラブルを抱えていた等の記載はない。
 今回のクラウドファンディングによる支援はキャンセル扱いとなり、支援金は返金される予定という。


 スウィートFは「お菓子でみんなを笑顔に」をモットーに、お菓子を販売してきた。支援を募り、本当にみんなを笑顔にできるように店舗の存続を願っていたら、支援中の閉店や休業などの無責任な対応はしないだろう。
 クラウドファンディング未達のお知らせには、「どこかでお目にかかれることをスタッフ一同心より願っている」とし、店舗の再開も匂わせている。
 クラウドファンディングの前に、返済が滞っている取引先にどのように説明するのか。
 スウィートFの迷走は、クラウドファウンディングのあり方にも一石を投じている。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2021年4月23日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)