20億円以上の資金をFacebookやAmazonがロビー活動に投じていることが判明、ビッグテックによるロビー活動の実態とは?
アメリカでは、Facebook・Amazonなどのビッグ・テックが巨額の資金をロビー活動へ投じていることが知られています。アメリカに拠点を置く消費者団体であるPublic Citizenは、Facebook・Amazon・Google・Appleが2020年に行ったロビー活動の詳細を調査。その結果、FacebookやAmazonがロビー活動に20億円以上の資金を投じていることが判明しています。
https://www.citizen.org/article/big-tech-lobbying-update/
以下は、Public Citizenが公開した2010年・2017年・2020年における、アメリカの企業がロビー活動に投じた金額のランキングです。FacebookとAmazonは、2010年と2017年には上位8企業に入っていませんが、2020年には1位と2位にランクインしています。また。Public Citizenは「2020年に上位8企業ランクインしている企業のほとんどは、2017年にも上位8企業に名を連ねています。このことから、FacebookとAmazonがロビー活動に投じる金額を急激に増加させたことが分かります」と述べています。
上位8企業の「ロビー活動へ投入した金額」をまとめるとこんな感じ。Facebookは1968万ドル(約22億円)、Amazonは1872万5000ドル(約21億円)もの資金をロビー活動へ投入しています。また、3位の
Comcastがロビー活動に投じた金額が1443万ドル(約16億円)であることから、Public Citizenは「FacebookとAmazonは、他の企業と比べて圧倒的な金額をロビー活動に投じています」と指摘しています。
以下のグラフは、2010年から2020年までのFacebook(濃いオレンジ)・Amazon(薄いオレンジ)・大手石油企業のエクソン(濃いグレー)・大手タバコメーカーのフィリップモリス(薄いグレー)がロビー活動に投じた金額の推移を示しています。グラフを確認すると、2010年の時点では、FacebookやAmazonがロビー活動に投じた金額は、エリクソンやフィリップモリスがロビー活動に投じた金額に比べて少なかったものの、2020年の時点では、FacebookやAmazonはエクソンやフィリップモリスの約2倍の金額を投じるようになったことが分かります。Public Citizenは「ビッグ・テックによるロビー活動が活発になる以前は、石油産業やタバコ産業によるロビー活動が目立っていました。ビッグテックによるロビー活動が目立つようになったのは、ビッグテックが多くの法規制上の問題に直面しているからだと考えられます」と主張しています。
以下のグラフは、Amazon(最下段)・Google(下から2段目)・Facebook(下から3段目)・Apple(最上段)が雇用したロビイストの人数の2010年から2020年までの推移を示しています。ビッグ・テックが雇用するロビイストの人数は上昇傾向にあり、2020年時点では、4企業で合計333人のロビイストを雇用しています。
また、2020年に活動したロビイストのうち、ロビー活動に投じた金額の多い上位10名のリストはこんな感じ。上位10名のうち、5名のロビイストがビッグテックの代理として資金を提供していたことが分かります。
以下は、「下院司法委員会」「下院エネルギー・商業委員会」「上院司法委員会」「上院商業科学運輸委員会」のメンバーがビッグ・テックの政治活動委員会(濃い緑)とロビイスト(薄い緑)から受け取った政治献金の金額を示すグラフです。Public Citizenよると、これらの委員会のメンバー142人中134人(約94%)がビッグ・テックからの政治献金を受け取っており、その合計金額は320万ドル(約3億5000万円)を超えるとのことです。
また、それぞれの委員会で民主党(青)と共和党(赤)の議員が受け取った金額の内訳はこんな感じ。「下院エネルギー・商業委員会」と「上院商業科学運輸委員会」では偏りが小さく見えますが、「下院司法委員会」と「上院司法委員会」では、民主党と共和党で大きな偏りがあります。
Public Citizenは、ビッグ・テックによるロビー活動が活発に行われている現状は、「政治的対応を必要とする社会問題を悪化させている」と主張。ビッグ・テックに対して政治活動委員会の縮小や政治献金の詳細開示を求めています。