なぜ涌井は楽天で復活できた? 「31、32歳が潮目」ロッテ時代のコーチが語る理由
10度目開幕投手に「任されるべきであろう投手」
3月26日に開幕する今季のプロ野球。田中将大投手が8年ぶりに復帰した楽天は日本ハムとの開幕戦(楽天生命パーク)に涌井秀章投手が先発することが決定した。ロッテから金銭トレードで加入した昨季、11勝を挙げて3度目の最多勝を手にした右腕を、ロッテ時代のコーチの小林雅英氏が解説した。
小林氏は2015〜18年までロッテの1軍投手コーチを務めた。この4年間はいずれも涌井が開幕投手で、2015年には最多勝を獲得している。そんな右腕が今季、楽天で開幕投手に指名されたことに小林氏は次のように評している。
「昨年のパフォーマンスをみれば任されるべきであろうと思います。負けん気が強く、野球への取り組み方が素晴らしい投手です」
ロッテでの成績は右肩下がりだった。2016年から10勝→5勝→7勝→3勝。投球回数も年々減り、“限界説”もあったところで楽天に移り、復活を遂げた。小林氏はロッテでのラスト数年間は「潮目」だったと振り返る。
「とにかく練習をする選手。準備しすぎて疲れていたのではないかと思う。疲れるくらい練習するので」
30歳を過ぎて成績は下降線をたどった。「31、32歳ですよね。潮目というか人間の身体が変わる時です。はまってしまったんでしょうね。従来と同じ形で調整して疲労が少しずつ溜まって、これが抜けないまま登板するという繰り返し。結果が出ないとやり込む方なので、そのへんの身体と年齢のギャップがあったと思います」。
自分でメニューを作成してトレーニングするのが涌井流。「自分のルーティンをしっかり持ってやる。やらないと気持ち悪いんでしょうね。ただ、年齢を重ねて同じような形でやっては疲労が残ってしまう。そこを理解してバランスをうまく取れるようになったのでは」。
キャンプでは上々の仕上がりと見た。「チームが変わってリセットできたのでしょう。今年も普通にやると思います」と予測した。(片倉尚文 / Naofumi Katakura)