「6、7割の力」で特大弾 脅威のパワー誇る鷹リチャードが挑む“振らずに飛ばす”進化
10日からスタートしたシート打撃でいきなり本塁打を放ったリチャード
ソフトバンクの宮崎キャンプ第3クール2日目。このキャンプで初めてとなるシート打撃で見事なアピール弾を放ったのは、期待の大砲候補リチャード内野手だった。
昨季1軍で40試合に登板していた泉圭輔投手との対戦。2ボールからの3球目、右腕が投じたカットボールを捉えた。「ちょっと先だったんですけど、打った瞬間にいったと思いました。2ボールになったのでめっちゃ集中して振りに行きました」。快音を響かせた打球は左翼スタンドへ一直線。特大の一発を放ち、キャンプでの猛練習の成果を発揮した。
このキャンプでは王貞治球団会長や小久保裕紀ヘッドコーチからアドバイスを受け、課された1日1000スイングのノルマをこなしてきた。王会長からはフルスイングではなく、力を抜いて素早くスイングするように助言を受けてきた。この日は「今日はボールを見ることと思い切り振らないこと」をテーマに打席へ。本塁打も「6、7割の力」で打ったというから、そのパワーはやはり尋常ではない。
王会長の助言とはいえ、半信半疑な部分も少なからずあるという。「今でも思い切り振らなくても飛ぶのかな、というのはあります。振ってないんで物足りなさもあります」との言葉が正直な心境だ。ただ、一発の後にも王会長から「あれくらいでも飛ぶというのが分かっただろ。いいスイングになっているから、これを続けていこう」と再び助言を受けていた。
育成選手から支配下契約を掴んだ昨季、1軍出場はなかったものの、ウエスタン・リーグで本塁打王と打点王に輝いたリチャード。12本塁打47打点は同リーグでも群を抜く成績だったが、「満足していないですし、こういう数字で(本塁打王と打点王を)取って恥ずかしいと思っていました」とまで言う。
「やっていることが身になったり、感覚として捉えられたりできるのは大事だと思う。やっていることで結果が出たので信じて続けること。先もあるんで1本出たからではなく、これからも結果を残せるようにね。練習で培っていかなければ自信にもならないだろうから、しっかり自分の中で結果も踏まえて噛み締めて、また明日もあるんで頑張って欲しいと思います」。工藤公康監督も、いきなりの実戦形式で本塁打を放った大砲候補に目を細めていた。
「キャンプでアピールして開幕1軍に入りたい。まだキャンプはあるんで数多くバット振って、人より多くボールを捕って、開幕1軍で試合に出られるように頑張っていきます」と意気込むリチャード。チームで求められる若き大砲の筆頭格が、これからも猛アピールを続けていく。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)