心理学において、ナルシズムは利己主義、自己中心主義、虚栄心などを特徴とする「悪い」性格だとされています。しかし、そんなナルシズムを抱える人は「最高経営責任者(CEO)に任命されやすい」という研究結果が発表されました。

The perks of narcissism: Behaving like a star speeds up career advancement to the CEO position - ScienceDirect

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1048984320301168

Narcissists make their way to CEO positions faster than their counterparts, study finds

https://www.psypost.org/2021/02/narcissists-make-their-way-to-ceo-positions-faster-than-their-counterparts-study-finds-59517

Narcissists Become CEO With More Speed Than Their Peers, Despite The Harm They Can Do

https://www.sciencealert.com/narcissists-climb-up-the-ladder-to-ceo-faster-than-their-peers-study-finds

イタリアのボゼン・ボルツァーノ自由大学のパオラ・ロヴェッリ氏らが行った調査は、イタリア国内のCEO172人に、外向性・自信過剰傾向・自尊心・支配傾向・権威主義傾向などを測定するアンケート調査・自己愛性パーソナリティ目録を受けてもらい、それぞれのナルシスト度合いを計測。このナルシスト度合いとキャリア遍歴を比較して、「CEOに任命される確率」を算出するというもの。

この調査の結果、ナルシズムがCEOまでの出世の速度に有意な影響を与えており、外向性などの各種のスコアが平均値よりわずかに高いだけでも、CEOになる確率が29%も高かったとのこと。さらに、ロヴェッリ氏らの予想に反して、家族経営の企業でも「ナルシストはCEOになりやすい」という現象が確認されました。



この結果について、ロヴェッリ氏らはナルシストはまるで「スター」のように振る舞うことから、指導的地位を求める可能性が高くなると分析。「ナルシズムは良くない特性として知られており、ナルシズムの傾向が強い人は金融犯罪、租税回避、協調性の低い社内文化などのマイナスの影響を企業に与える可能性が高いことで知られており、実際にナルシストがCEOである企業は従業員の満足度が低くなりがちです。さらに、ナルシストの昇進が早いことから、経験の浅い若いCEOが生まれる可能性が高くなるため、企業経営にとってもリスクがあります」とコメントしました。