医療法人愛成会(TDB企業コード:968062982、資産の総額741万2641円、大阪府枚方市山之上西町32-15、理事長井上慶子氏)は、2020年12月25日に大阪地裁へ民事再生法の適用を申請。同日同地裁より保全処分および監督命令を受け、同月28日に再生手続き開始決定を受けた。

 申請代理人は宮本圭子弁護士(大阪府大阪市北区中之島2-2-7中之島セントラルタワー24階、弁護士法人第一法律事務所、代表電話06-6227-1951)ほか2名。監督委員には嶋田修一弁護士(大阪府大阪市中央区南船場2-12-16ルグラン心斎橋9階、法修館法律事務所、電話06-6251-4858)が選任されている。

 当法人は、1972年(昭和47年)創業、2001年(平成13年)6月に法人改組した。人間ドックおよび生活習慣病予防健診を専門的に手がける「愛成クリニック」を経営。企業の健康保険組合や健康保険協会などを通じた健診のほか、個人健診、地元自治体からの委託による住民向けの市民健診やがん検診、内科や婦人科などを診療科目とする外来診療も受け付けていた。また、高齢化社会の進行を見据えて2014年には大阪市内に訪問診療を行う「めぐみクリニック」を開設(後に吹田市内へ移転)し、2017年12月期には年収入高約5億8900万円を計上した。

 しかしその間、企業健康保険組合が財政悪化により検査項目を削減する動きが強まり採算が悪化したことに加え、訪問診療事業では24時間365日対応する人員確保のための人件費がかさみ、収益は低調に推移していた。また、勤務医の退職による機会損失や台風による被害が発生した2018年12月期には大幅な欠損計上を余儀なくされ、一時債務超過に転落。過年度に調達した借入金の返済負担が重荷になり、金融機関に対して返済猶予を要請していた。さらに2020年に入ってからは新型コロナウイルス感染拡大に伴い、4月から5月にかけて休診を余儀なくされ、6月には健診を再開したものの、法的整理により抜本的な事業再生を目指すことを選択し、今回の措置となった。

 負債は2019年12月期末時点で約3億2000万円。

 なお、健診などの営業は従来どおり継続している。