大阪地裁より保全管理命令を受ける

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1月7日付で裁判所の管理下に

 (株)ANGELO(TDB企業コード:648009415、資本金4億8700万円、姫路市南畝町1-41、登記面=大阪市中央区中寺1-2-23、代表大川護郎氏)と、グループ会社の(株)CALMO(TDB企業コード:617010457、登記面=姫路市下手野2-14-17)および(株)Ysng(TDB企業コード:331014215、登記面=姫路市南畝町1-41)の計3社は、2020年中に債権者より破産を申し立てられ、今年1月7日に大阪地裁より破産法による保全管理命令を受けた。
 保全管理人には小谷隆幸弁護士(大阪市北区西天満1-7-4協和中之島ビル5階、小谷隆幸法律事務所、電話06-6363-3328)が選任されている。

 (株)ANGELOは、2013年(平成25年)4月に設立した不動産賃貸業者。代表の大川氏が新聞配達員および販売店の店長時代から個人で始めた不動産賃貸事業を法人化したもので、姫路市を中心に、神戸市・大阪市などにマンションやテナントビル、月極駐車場など多数の物件を保有。プロサッカーチームのキャンプスポンサーを務めるほか、大川氏自身の著書出版やメディア出演などによる知名度向上もあって収益物件の取得を進め、2019年2月期には年収入高約13億7100万円を計上していた。

 しかし、新たに取得した賃貸物件の稼働状況が低調だったうえ、過剰な広告宣伝費や100億円を超える借り入れに伴う利息負担などが重なり、同期に約5億9200万円の当期純損失を計上し、大幅な債務超過に転落。この間に一部取引先への支払い遅延が発生するなど、ずさんな経営管理体制が露見していた。このため、2019年9月までに金融機関に対して返済猶予を要請するとともに、経営再建のために新たに賃料回収業務を不動産管理会社に委託したが、その不動産管理会社とも回収をめぐるトラブルが発生したことで資金繰りは一層悪化。弁護士を立て、改めて金融機関に借入金返済猶予の交渉を進めていたが、2020年9月に銀行取引停止処分を受けた。その後、所有不動産につき差押えを受けるほか、相次ぎ競売開始を申し立てられるなか、今回の事態となった。

 負債は、ANGELOが2019年2月期末時点で約125億3700万円。また、CALMOが2018年9月期末時点で約82億9700万円、Ysngが2018年10月期末時点で約38億1600万円、3社合計で約246億5000万円だが、不動産売却により減少している可能性があり流動的。

<保全管理命令とは>
 破産手続き開始の申し立てから破産手続き開始決定を受けるまでの間に、債務者が財産を処分または散逸させ、あるいは事業価値を毀損するような行為をしてしまう可能性がある。そこで裁判所は利害関係人の申し立てまたは職権により、破産手続き開始の申し立て後から手続き開始決定前に、債務者の財産に関し、保全管理人による管理を命ずることができる。