伊藤健太郎

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増長を許した事務所

 10月30日の午後8時すぎ、俳優の伊藤健太郎容疑者(23)が釈放された。スーツとネクタイ姿の伊藤容疑者は東京湾岸署の中から出ると、報道陣のフラッシュを浴びながら深々と一礼した。

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「この度は自分が起こしてしまった事故のせいで、たくさんの方々に、ご迷惑をおかけしてしまったことを、深く反省しています。本当に申し訳ありませんでした。

 そして自分のせいでケガをしてしまった被害者の方々にもこれから僕自身、一生かけてつぐなっていきたいと思っていますし、これから、どのように償っていくべきか、しっかりと向き合って考えていきたいと思っています。この度は本当に申し訳ありませんでした」

伊藤健太郎

 最後に「失礼します」と言うと、迎えに来た黒のワゴン車に乗って去っていった。

 伊藤容疑者が、ひき逃げの容疑などで逮捕されたのは10月29日。釈放されたものの、今後も高い関心を集めるのは間違いないだろう。

 これまでの報道を振り返ってみると、彼の“人間性”も批判されているのが興味深い。内容の一部と見出しをご紹介しよう(全角数字を半角にするなど、デイリー新潮の表記法に合わせた、以下同)。

《先輩俳優もナメきっていて、あいさつをおろそかにするからこちらがヒヤヒヤする》

「ひき逃げ逮捕・伊藤健太郎容疑者に出るわ出るわ牴人優┘團宗璽畢畄歿蹴Π退の危機」(東スポWeb:10月30日)

マネージャーと決別

《現在の事務所は、人気俳優に成長した伊藤容疑者に“戻ってきてもらった”という立場。強くモノを言える人がおらず、伊藤容疑者は王様状態だった》

「なぜ…『王様状態』だった伊藤健太郎容疑者 仕事順調も素行悪化 4月に“育ての親”と決別」(スポニチアネックス:同)

《18歳でモデルから俳優へと転身した後、売れっ子俳優へと導いたマネジャーと19年夏に“決別”してから歯止めがきかなくなったと見る関係者も多い。そのマネジャーは、口酸っぱく「役者は人間性が問われる仕事」と伝え続けた1人。だが、伊藤容疑者がその後、朝まで飲んで酒の臭いを漂わせながら現場に現れて周囲を仰天させたことは一度や二度ではないという》

「伊藤健太郎容疑者という男…『役者は人間性問われる』助言からも逃げていた 昨夏マネジャーと“決別”で甘えに拍車」(スポーツ報知電子版:同)

《彼はもともと、やんちゃな性格で、酒癖がもの凄く悪い。焼酎、ビール、シャンパンなんでもござれで、酔うと他の席にいる見ず知らずの客を相手にケンカ腰で絡みだしたり、一緒に飲んでいた仲間に何も言わずに、勝手に帰っちゃうことも》

「【ひき逃げ逮捕】伊藤健太郎『現場に戻り、飄々とスマホをいじっていた』恋人・山本舞香への献身の陰で危惧されていた“マイルドヤンキーな素行”」(文春オンライン:同)

社長の兄は国会議員

 なぜ、傍若無人な男になったのか、原因は伊藤容疑者の事務所移籍にあるようだ。

 伊藤容疑者が現在、所属しているのは「イマージュエンターテインメント」(以下、イマージュ)という芸能事務所だ。

 1980年に「ボン イマージュ」がモデルエージェンシーとして業務を開始、2015年に俳優やスポーツ選手のマネジメントに特化した「イマージュ」が設立された。

 2社の代表取締役を務めるのは《1963年生まれ》という馬淵哲矢氏。その兄は立憲民主党の馬淵澄夫衆議院議員(60)だ。

 日本経済新聞が運営する無料情報サイト「NIKKEI STYLE」は19年3月、馬淵社長のインタビュー記事を掲載した。

「冨永愛・杏・福島リラ… スーパーモデル発掘の極意 ボン イマージュの馬淵哲矢社長」

事故車をプレゼント?

 これがタイトルだが、リードも紹介しよう。

《冨永愛、杏、福島リラ、すみれ、松岡モナ、森星……。世界で活躍する日本人のトップモデルや人気女優を次々と発掘してきた業界屈指の目利きがいる。国内の有力モデル・エージェント会社、ボン イマージュ(東京・港)社長の馬淵哲矢さん(55)》

 伊藤容疑者は2017年ごろ、イマージュから「aoao」へ移籍した。人気俳優としてブレイクしたのはaoaoに所属していた時だった。知名度を一気に上げたテレビドラマ「今日から俺は!!」(日本テレビ系列)は2018年に放送された。

 だが、若手俳優として人気が急上昇すると、伊藤容疑者は世話になった女性マネージャーと決別、古巣のイマージュに戻った。

 10月30日、ワイドショーの「情報ライブ ミヤネ屋」(読売テレビ制作/日本テレビ系列・平日・13:55)は「伊藤容疑者が事故を起こした車は、所属事務所が復帰を祝ってプレゼントした」と報じた。

違約金交渉の行方

 民放キー局で番組制作に携わるスタッフが言う。

「イマージュにとっては、とんだ貧乏くじでしょう。あの事務所には伊藤容疑者しか売れっ子はいません。冨永愛さん(38)や杏さんは(34)別の事務所に移籍しています。

 これから伊藤さんと共にドラマやCMで稼ごうとしていた矢先、いきなり事件が発生して逮捕されたわけですからね」

 違約金は5億に達するという報道もある。それを払うのは、どちらの事務所なのか。「aoaoが負担するのが普通だが、両社が協議する可能性もある」と報じたワイドショーもあった。

 だが、それとは別に、既にイマージュ側が勝ち取ったCM案件もあったという。

「大手の化粧品メーカーが来年、彼をCMに起用することが決まっていたそうです。CMの撮影には入っていたそうで、違約金の交渉は免れないそうです」(同・スタッフ)

 全ては伊藤容疑者の慢心が招いたことは言うまでもないが、イマージュ側の危機管理やタレント教育の不足を疑う声も広がっているという。

不用意な反論

 事故の取材をした記者が言う。

「YAHOO!ニュースを見てみると、例えば読売新聞の電子版は10月29日の午前9時53分に『伊藤健太郎容疑者をひき逃げ容疑で逮捕』と報じました。

 一方、午前10時ごろにはハフィントンポストが『伊藤健太郎さんが自動車事故を起こしたとの報道。事務所は「ひき逃げ」否定【UPDATE】』と配信しました。

 ハフポスの取材にイマージュ側は《事故現場からは立ち去っていない。間違った報道が出ていると弁護士の方から聞いている》と説明したことが、記事に明記されています」

 ひき逃げ容疑が冤罪なら、事務所は全力で反論すべきなのは言うまでもない。だが、見当外れの反論だったことが、その後に明らかとなっている。

「無理筋の反論は、『伊藤容疑者も事務所も反省していないのかな』と思われてしまいます。危機管理上は最悪の対応でした。

 そもそも人気俳優が車を運転するリスクは相当なものがあります。運転手つきの車を用意するならまだしも、車をプレゼントしたことが完全に裏目に出てしまいました」(同・記者)

「自分は商品だ」

 民放キー局の幹部は「大手事務所ほど、所属するタレントを厳しく教育するものです」と指摘する。

「ホリプロ、サンミュージック、研音、スターダストといった大手は、タレント教育をしっかり行います。

 石原さとみさん(33)や綾瀬はるかさん(35)といったレベルでも、タレント教育を修了したと判断するまではデビューさせませんでした。おかげで彼女たちは『自分は商品』であることを叩き込まれるわけです。

 スターダストのある幹部も、私たちテレビ局員の前で、とあるタレントさんに『中谷美紀(44)ぐらい稼げるまで、仕事に文句を言うな!』と怒鳴っていました」

 それに比べイマージュは、どれくらい伊藤を教育してきたのか……。今回の一件は弱小事務所が生んだ悲劇とも言えるのかもしれない。

週刊新潮WEB取材班

2020年10月31日 掲載