新型コロナ関連倒産が600件に 東京・渋谷区が最多、飲食・アパレル不振の影響大きく
新型コロナウイルスの影響を受けた倒産(法的整理または事業停止、負債1000万円未満・個人事業者含む)が全国で600件<法的整理519件(破産490件、民事再生法28件、特別清算1件)、事業停止81件>に達した。帝国データバンクが10月9日10時までに確認した。
負債総額は、2779億7300万円で、1億円未満の小規模事業者が276件(構成比46.0%)を占めた一方、100億円以上の大型倒産は(株)レナウン(元・東証1部、5月、民事再生法)など3件にとどまっている。下記5つのポイントから600件を分析した。
■第1号案件確認から226日で600件に
新型コロナウイルス関連倒産の第1号案件となった北海道三富屋(株)(北海道栗山町、コロッケ製造販売、2月25日に破産手続き開始決定)が確認されたのが2月26日。
以後、確認ベースでの累計件数は、4月27日に100件(第1号案件確認から61日後)、6月1日に200件(同96日後)、6月30日に300件(同125日後)、8月3日に400件(同159日後)、9月8日に500件(同195日後)と推移し、第1号案件確認から226日後となる10月9日に600件目を確認した。
■各種支援策の執行・浸透で発生件数はゆるやかな減少傾向
発生月(法的整理または事業停止となった月)別内訳は、2月(1件)、3月(16件)、4月(79件)、5月(72件)、6月(115件)、7月(112件)、8月(101件)、9月(98件)、10月(6件)となり、現時点では6月をピークにゆるやかな減少傾向にある。
全国での緊急事態宣言解除(5月)、都道府県をまたぐ移動自粛解除(6月)のほか、Go Toトラベル事業の開始(7月)を経るなどして、徐々ではあるが人の動きや経済活動が回復したこと、また、中小企業向け各種支援策の執行・浸透が大きな要因になっているとみられる。
■都道府県別では「東京都」、市区郡別では「渋谷区」が最多
都道府県別では、「東京都」(145件)が最多となり、以下、「大阪府」(64件)、「北海道」(30件)、「兵庫県」
(28件)、「愛知県」(27件)、「神奈川県」(26件)と続き、全47都道府県で発生している。
さらに市区郡別に見ると、「東京都渋谷区」(21件)が最も多く、以下、「東京都千代田区」(15件)、「東京都中央区」(12件)、「大阪市中央区」(11件)、「東京都港区」「神戸市中央区」(各10件)と続き、全国19区市において5件以上の関連倒産が発生している。
■業種別では「飲食店」が最多、所在地は東京都「渋谷区」「港区」が最多
業種別では「飲食店」(86件)が最多となり、以下、「ホテル・旅館」(59件)、「アパレル小売店」(43件)、「建設・工事業」(37件)、「食品卸」(36件)、「アパレル卸」(25件)と続いている。
また、アパレルと食品をそれぞれ3業態(製造・卸・小売)合計でみると、アパレルが87件、食品が78件となり、飲食店、ホテル・旅館とともに大きな影響を受けていることが分かる。
さらに、最多となった「飲食店」(86件)を都道府県別に見ると、上位は「東京都」(18件)、「大阪府」(11件)、「神奈川県」(6件)と続き、市区郡別では「東京都渋谷区」「東京都港区」(各5件)、「東京都中央区」(4件)、「大阪市北区」「栃木県宇都宮市」(各3件)が上位となった。
市区郡別で最多となった「東京都渋谷区」(21件)を業種別に見ると、上位は新型コロナの影響を大きく受けている「飲食店」(5件)、「アパレル小売店」「アパレル卸」(各3件)で占められている。
■業歴別では20年未満が4割を占める
個人事業者を除く566件の業歴(創業または設立の早い時期から倒産までの期間)を10年ごとに区分してみたところ、「10年未満」(115件)、「10年以上20年未満」(107件)、「40年〜50年未満」(69件)の順で多く、20年未満が全体の39.2%(222件)と約4割を占めた。
業歴が浅いほど倒産件数が多い傾向がはっきりと表れている。なかでも業歴30年を超える事業者は、90年代初頭のバブル経済崩壊や2000年のITバブル崩壊、2008年のリーマン・ショックなどを乗り越えてきた経験を有し、危機に対する適応力を培っている事業者が多い。
■今後のポイント
民間金融機関、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫などを窓口とした各種緊急融資をはじめとするかつてない規模の中小企業支援策の執行と浸透を背景に、新型コロナウイルス関連倒産の月別発生件数は6月(115件)をピークにゆるやかな減少傾向にある。
しかし、収束までの時間の経過とともに、一時は改善された事業者の資金繰りが再び悪化することとなれば、経営者の精神的ダメージも重なって、倒産を選択する事業者が再び増加する懸念は払拭できない。
また今後、消費者の購買意欲が回復に向かっても、コロナ禍において消費スタイル、選択意識などが大きく変化したことで、事業継続・利益確保のために抜本的な構造改革を迫られながら、資金やノウハウ面で対応できず、さらに業況悪化に陥る事業者の増加も懸念される。
■新型コロナウイルス関連倒産について
「新型コロナウイルス関連倒産」とは、新型コロナウイルスが倒産の要因(主因または一要因)となったことを当事者または代理人(弁護士)が認め、法的整理または事業停止(弁護士に事後処理を一任)となったケースを対象としている。個人事業主および負債1000万円未満の倒産もカウントの対象としているほか、事業停止後に法的整理に移行した場合、法的整理日を発生日としてカウントしている。
負債総額は、2779億7300万円で、1億円未満の小規模事業者が276件(構成比46.0%)を占めた一方、100億円以上の大型倒産は(株)レナウン(元・東証1部、5月、民事再生法)など3件にとどまっている。下記5つのポイントから600件を分析した。
新型コロナウイルス関連倒産の第1号案件となった北海道三富屋(株)(北海道栗山町、コロッケ製造販売、2月25日に破産手続き開始決定)が確認されたのが2月26日。
以後、確認ベースでの累計件数は、4月27日に100件(第1号案件確認から61日後)、6月1日に200件(同96日後)、6月30日に300件(同125日後)、8月3日に400件(同159日後)、9月8日に500件(同195日後)と推移し、第1号案件確認から226日後となる10月9日に600件目を確認した。
■各種支援策の執行・浸透で発生件数はゆるやかな減少傾向
発生月(法的整理または事業停止となった月)別内訳は、2月(1件)、3月(16件)、4月(79件)、5月(72件)、6月(115件)、7月(112件)、8月(101件)、9月(98件)、10月(6件)となり、現時点では6月をピークにゆるやかな減少傾向にある。
全国での緊急事態宣言解除(5月)、都道府県をまたぐ移動自粛解除(6月)のほか、Go Toトラベル事業の開始(7月)を経るなどして、徐々ではあるが人の動きや経済活動が回復したこと、また、中小企業向け各種支援策の執行・浸透が大きな要因になっているとみられる。
■都道府県別では「東京都」、市区郡別では「渋谷区」が最多
都道府県別では、「東京都」(145件)が最多となり、以下、「大阪府」(64件)、「北海道」(30件)、「兵庫県」
(28件)、「愛知県」(27件)、「神奈川県」(26件)と続き、全47都道府県で発生している。
さらに市区郡別に見ると、「東京都渋谷区」(21件)が最も多く、以下、「東京都千代田区」(15件)、「東京都中央区」(12件)、「大阪市中央区」(11件)、「東京都港区」「神戸市中央区」(各10件)と続き、全国19区市において5件以上の関連倒産が発生している。
■業種別では「飲食店」が最多、所在地は東京都「渋谷区」「港区」が最多
業種別では「飲食店」(86件)が最多となり、以下、「ホテル・旅館」(59件)、「アパレル小売店」(43件)、「建設・工事業」(37件)、「食品卸」(36件)、「アパレル卸」(25件)と続いている。
また、アパレルと食品をそれぞれ3業態(製造・卸・小売)合計でみると、アパレルが87件、食品が78件となり、飲食店、ホテル・旅館とともに大きな影響を受けていることが分かる。
さらに、最多となった「飲食店」(86件)を都道府県別に見ると、上位は「東京都」(18件)、「大阪府」(11件)、「神奈川県」(6件)と続き、市区郡別では「東京都渋谷区」「東京都港区」(各5件)、「東京都中央区」(4件)、「大阪市北区」「栃木県宇都宮市」(各3件)が上位となった。
市区郡別で最多となった「東京都渋谷区」(21件)を業種別に見ると、上位は新型コロナの影響を大きく受けている「飲食店」(5件)、「アパレル小売店」「アパレル卸」(各3件)で占められている。
■業歴別では20年未満が4割を占める
個人事業者を除く566件の業歴(創業または設立の早い時期から倒産までの期間)を10年ごとに区分してみたところ、「10年未満」(115件)、「10年以上20年未満」(107件)、「40年〜50年未満」(69件)の順で多く、20年未満が全体の39.2%(222件)と約4割を占めた。
業歴が浅いほど倒産件数が多い傾向がはっきりと表れている。なかでも業歴30年を超える事業者は、90年代初頭のバブル経済崩壊や2000年のITバブル崩壊、2008年のリーマン・ショックなどを乗り越えてきた経験を有し、危機に対する適応力を培っている事業者が多い。
■今後のポイント
民間金融機関、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫などを窓口とした各種緊急融資をはじめとするかつてない規模の中小企業支援策の執行と浸透を背景に、新型コロナウイルス関連倒産の月別発生件数は6月(115件)をピークにゆるやかな減少傾向にある。
しかし、収束までの時間の経過とともに、一時は改善された事業者の資金繰りが再び悪化することとなれば、経営者の精神的ダメージも重なって、倒産を選択する事業者が再び増加する懸念は払拭できない。
また今後、消費者の購買意欲が回復に向かっても、コロナ禍において消費スタイル、選択意識などが大きく変化したことで、事業継続・利益確保のために抜本的な構造改革を迫られながら、資金やノウハウ面で対応できず、さらに業況悪化に陥る事業者の増加も懸念される。
■新型コロナウイルス関連倒産について
「新型コロナウイルス関連倒産」とは、新型コロナウイルスが倒産の要因(主因または一要因)となったことを当事者または代理人(弁護士)が認め、法的整理または事業停止(弁護士に事後処理を一任)となったケースを対象としている。個人事業主および負債1000万円未満の倒産もカウントの対象としているほか、事業停止後に法的整理に移行した場合、法的整理日を発生日としてカウントしている。