約17年前に身体の95%に火傷を負った男性(画像は『Johnny 2020年4月5日付Instagram「Can you guys tell me something positive that happened to you lately?」』のスクリーンショット)

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4歳の時に身体の95%に火傷を負いながらも奇跡的に助かった21歳の男性が、『Special Books by Special Kids』『Bored Panda』などのインタビューに応じ、これまでの人生を振り返った。男性はいじめや拒食症に苦しんだ経験から「同じ苦しみを持つ人々を助けたい。将来は医学の道に進みたい」と明かしており、その前向きな生き方に多くの人がエールを送っている。

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米テネシー州シェルビー郡ミリントンにある一軒家の裏庭で2003年11月20日、納屋が全焼する火災が発生した。納屋では当時、4歳のジョン・クインさん(John Quinn)と7歳の姉ジョアンナさんが、犬の“マックス”と一緒に遊んでいた。2人は電気の代わりにとロウソクを持ち込んでおり、マックスの尻尾がロウソクに当たって倒れ、火が一気に広がったのだった。

ジョンさんはこの時、積み上げてあった干し草のてっぺんに乗っており、恐怖で身体が固まったまま意識を失った。ジョアンナさんは納屋のそばにあったバケツの水をかけたが火は消えず、母屋にいた当時23歳の姉リアさんに助けを求めた。

慌てて駆けつけたリアさんは、燃えあがる炎と煙の中、ほとんど手探りの状態でジョンさんを助け出した。しかしジョンさんはこの火災で身体の95%に火傷を負い、両耳、鼻、唇、両手の指、両足の指の一部などを失った。またリアさんも身体の25%に火傷を負い入院を強いられた。ジョンさんの身体の5%が無事だったのは、マックスがジョンさんの胸に被さるようにして寄り添っていたためで、マックスは自らの命を犠牲にしてジョンさんを救ったのだった。

ジョンさんは「生存の可能性は非常に低い」という医師の言葉にもかかわらず、火傷の専門病院の集中治療室で約6か月、その後は一般病棟で約6か月を過ごし、奇跡的な生還を果たした。

しかしこの火傷はジョンさんにとって身体的に精神的にも大きな傷を残し、思春期になると「なぜ自分は生き残ってしまったのか。あの時死んでいたら良かったのに」と酷く苦しむようになった。

ジョンさんは当時の心の葛藤や、その後の自分の変化について次のように述べている。

「自分が人と違うということを意識するようになったのは、10歳の頃でした。小さな子供は私のことを見ると叫んだり石を投げて逃げ、周りからは『モンスター』『フリーク(奇人)』などと言われていじめられました。自分の容姿が人と違うということが嫌でたまらなくなり、友達もできずいつも孤独でした。心無い言葉や態度に酷く傷つき『こんなに嫌な思いをするなら、いっそ自分の身体を傷めつけてやろう』と13歳で拒食症になりました。食事を摂らず、水しか飲まなくなり、それを家族には隠していました。あの頃は身長160センチ、体重は28キロしかありませんでした。」

「家族は私をリハビリに連れて行き、医師のもとに何度も通って支えてくれましたが、ティーンエイジャーになった私は家族に感謝することもせず、心を閉ざしました。でもある時、『自分を痛めつけることは、家族を傷つけていることと一緒だ』と自分の身勝手さに気づいたのです。きっかけは姉のリアと一緒に2012年に参加した、火傷を負ったサバイバーのためのキャンプでした。年に一度開催されるそのキャンプに参加するようになった私は、少しずつ自信を取り戻し、こう思うようになったのです。『もう自殺を考えるのは止めよう。人生を悲観してばかりの自分を変えなくてはいけない。自分は生きなくてはいけない。火傷で人生が終わったわけではない。火傷は私の人生の始まりだったんだ』とね。」

「それからの私は現実から逃避することを止めて全てを受け入れ、『私が生き残ったのには理由があるに違いない。今、自分に何ができるのかを考えよう』と思ったのです。」

ジョンさんは「苦境を脱した自分なら、同じように苦しんでいる人々に自信や希望を与えることができる」と、数年前から難病などで苦しむ人々の生活の質の改善などに取り組む団体「Courageous Faces Foundation」のアンバサダーをしている。「苦しい時に、自分がそばにいて力になってあげたいと思うのです。自分には必要な時にそんな友達はいませんでしたが、寄り添ってあげることが救いになるとわかっていますから」と語るジョンさん。現在は超音波検査士になるためにメディカルスクールに通っており、順調にいけば2023年には卒業できるそうで、夢や理想についてこのように明かした。

「病院での経験を活かせる仕事に就くのはずっと夢だったのです。私の皮膚は研究所で培養されたもので、これまで100回以上も手術を受けていますからね。」

「外見が人と違うからといって、不幸にならなければならないなんて間違っています。火傷をしたからって隠れる必要はないのです。だって人間は誰もがユニークで美しいはずだから。私は身体に火傷を負ったけど、魂まで焼けてはいないのです。そして火傷のサバイバーである前に、1人の誇りある人間です。私は自分に自信を持ち、人との出会いのチャンスを広げ、より強い人間に生まれ変わったのです。」

ちなみに21歳になったジョンさんはお酒を飲むことが可能になり、友達と集まってワイワイ騒いだり、冗談を言って人を笑わせることが大好きだそうで、最近のInstagramにこんなふうに綴っている。

「私は今の自分が好きで、誇りに思っているよ。今ほど幸せが長く続いたことはなかったと思う。本当に幸せだよ。」

そんな前向きなジョンさんには「君の生き方に感動したよ。これからも応援してる」「きっと夢は叶う。頑張って」「21歳。まだまだこれからだよ。君に勇気をもらったよ」「君は本当に美しく、強い」といったメッセージが多数届いている。

画像は『Johnny 2020年4月5日付Instagram「Can you guys tell me something positive that happened to you lately?」、2014年11月21日付Instagram「So 11 years ago from today」、2020年7月1日付Instagram「Well, I’m 21 now.」、2020年5月28日付Instagram「GUYS!!! I just got accepted into med school officially and I’m soo happy!!」、2015年11月13日付Instagram「Ive never shown these pictures before.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)