粉飾決算が発覚するなど金融機関との交渉が難航していた

 昌和自動車(株)(TDB企業コード:580460095、資本金5000万円、大阪府大阪市西淀川区花川2-21-8、代表小椋基久氏)は、8月27日に大阪地裁より破産手続き開始決定を受けた。

 破産管財人は相沢祐太弁護士(大阪府大阪市北区堂島1-1-25、ふじ総合法律会計事務所、電話06-6456-0100)。
 
 当社は、1959年(昭和34年)7月に設立した自動車販売業者。ドイツの高級スポーツカーであるポルシェの正規販売店の運営を手掛け、新車・中古車販売および修理整備を行っていた。日本で最も長い歴史を持つポルシェディーラーの1社に数えられ、300万円台の中古車から主力となる911モデルなど幅広い価格帯の車両を販売、911においては2000万円以上のスペシャルバージョンの取り扱いもあった。店舗は兵庫県と大阪府内に4拠点を展開。業歴の長さからリピーターも多く、富裕層を中心とした顧客基盤を有していたほか、ラジオや新聞広告により年5回程度の展示会を開催するなど新規顧客の獲得にも注力し、当社公表によれば2018年12月期には年売上高約130億5800万円を計上していた。

 しかし、2019年に入って輸送トラブルが発生して販売計画の大幅見直しを迫られたうえ、幹部社員による横領が発覚するなど、ずさんな内部管理体制が浮き彫りとなっていた。収益が悪化するなか、50億円を超える金融債務が重荷になり、同年8月には金融機関に対して借入金の返済猶予を要請。その後、店舗不動産の一斉売却と他社への事業譲渡契約を締結するなかで、架空在庫や売り上げの過大計上などによる粉飾決算が発覚したことで信用が失墜。金融機関との交渉が難航していた。そうしたなか、2019年末をもって事業譲渡を断行。清算に向けて手続きを進めていたが、金融機関との溝は最後まで埋まらず、今回の措置となった。

 負債は金融債務を中心に約40億円が見込まれる。

 なお、当社が展開していたポルシェ販売事業は、別会社に譲渡されており、現在も同社のもと営業は継続している。